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土田英生の人気戯曲を青木 豪が演出する舞台『相対的浮世絵』稽古場レポート

土田英生の人気戯曲を青木 豪が演出して、山本亮太(宇宙Six/ジャニーズjr.)が主演する舞台『相対的浮世絵』が、10月に上演される。
この作品は2004年に初演、2010年に再演され、今回が9年ぶりとなる。出演は山本亮太(宇宙Six/ジャニーズjr.)、伊礼彼方、石田明(NON STYLE)、玉置玲央、山西惇という実力派5人。
その稽古場レポートと稽古場写真が届いた

【稽古場レポート】

生きていると必ず、思いがけず辛く悲しいことに向き合わなくてはいけないときがある。そういう苦悩の時間を可笑しく描く悲喜劇の名手、劇団「MONO」の土田英生。その彼がおよそ15年前に書き下ろした秀作『相対的浮世絵』を、人の感情の機微を描くことに長けている青木豪が演出を手掛けるという。

彼らはいずれも観客の気持ちを巧みに揺り動かすが、どちらかと言えば土田は外向きで「陽」、青木は内向きで「陰」という印象。しかしながら青木は近年、劇団四季『恋におちたシェイクスピア』(2018年初演)の演出や、関ジャニ∞の安田章大や古田新太らの出演で話題になった音楽劇『マニアック』(2019年上演)の作・演出などからも分かる通り、作風に幅と厚みが増している。それだけに、興味が惹かれた。

そして初日開幕の2週間前、期待を胸に稽古場を訪ねた。数日前に初めて通し稽古を行って全体像を確認、あらためて冒頭の場面から細かく詰める稽古を行っているという。

青木は、キャストの立ち位置を1センチ単位で詰めていくほど細かく演出。セリフの裏側、登場人物たちの関係性や感情、ト書きの真意、芝居のテンポや間、声や動きの強弱……戯曲の奥深くまで読み解きながら一歩一歩と進めて、丁寧に着実に積み上げていく緻密な作業を行っている。

ある事件を境に、生死を分けた兄弟と友人たち。生き残った者の前に、彼岸にいる者が突如現れたら……。

事故で亡くなった岬達朗を演じるのは、ジャニーズJr.のユニット、宇宙Sixのメンバーとして活動、最近では外部舞台での活躍も目覚ましい山本亮太。あらゆる想いを静かに抱える役だが、内面にある複雑な感情と、得も言われぬ色気が自然と溢れ出ている。

大きな問題を抱えている達朗の兄・岬智朗を演じるのは、伊礼彼方。彼自身が持つ生命力の強さが強がって生きる智朗の姿と重なり、伊礼がパワフルであればあるほど、登場人物たちの背景にある物悲しさが助長する。

NON STYLEの石田明が演じるのは、智朗と共に生き残った関守。同じ言い訳ばかり繰り返し、自分自身を正当化しようとする難役。近年は演劇でも活躍する石田だけに、佇まいすら滑稽で単調さを可笑しく見せる。

劇団「柿喰う客」の玉置玲央は、達朗と共に亡くなった智朗の同級生・遠山大介を演じる。達朗をサポートする役どころだが、まさに山本をサポート。達朗と遠山の息の合ったシーンは、コミカルで微笑ましい。

笑いと生々しい人間の業、この作品の芯となる双方を担い、この座組を支えているのは、やはり山西惇だろう。達朗、遠山とは別の事故で亡くなり、ある使命によって、生き残った二人と死んでしまった二人を見守る野村淳をコミカルに、またシリアスにも演じ、登場人物たちの心の揺れを露わにしていく。

稽古途中にそっと退席。稽古場で涙してしまいそうになったからだ。言葉には表しにくい、この戯曲から与えられる感情を味わう体験は観劇時に取って置きたいと心から思い、稽古場を後にした。客席に身を置く日が、今から楽しみで仕方がない。(撮影:斎藤杏香 レポート:金田明子)

【あらすじ】
人生の曲がり角にさしかかり、それぞれにややこしい問題を抱えてしまっている岬智朗(伊礼彼方)と、高校時代の同級生、関守(石田明)。そんな二人の前に突然現れ、救いの手をさしのべたのは、20年前、高校生のときに事故で死んだはずの、同級生・遠山大介(玉置玲央)と岬の弟・達朗(山本亮太)だった。
どこかでうしろめたい気持ちを抱えながら、遠山と達朗の「ある力」を頼りにするようになる二人。そこへ現れたのは、自分の思い出ばかり語りたがる、やたらおしゃべりな初老の男、野村淳(山西 惇)。彼は、遠山、達朗と知り合いだという。
いつも一緒にいた高校時代の、他愛のない思い出話に盛り上がる4人。そして、そんな話に入れて貰えない野村。やて、話はかつての事故の話にさかのぼり…… 。
あの日、何が起こったのか。現在を生きる二人と過去のままの二人。四人の時間が交差した時、明らかになる真実とは・・・。

【コメント】
作:土田英生
作品は上演されなければ生きていることにならない。なので、僕の中ではこの作品はもう生き返ることはないのかな、と残念に思っていたところに、こうして再演の機会を与えていただいて、気に入っている作品なので本当に嬉しいです。
この作品の執筆のきっかけは個人的な想いからのスタートでした。執筆当時あまり元気がなく、周りに対してどうせみんな俺のことなんか大事にしてくれない、自分が被害者だ、という思いがあった時に、それを吐き出すようにして書いたんです。ただ、その思いだけでは作品にならないので、過去と現在の入れ替わる登場人物たちの人間関係の中で、いろんな立場の人が両方正しい、というつもりで作品を仕上げました。なのでタイトルは、絶対的ではなく“相対的”であり、“浮世絵”は現世の図、という意味なので、社会や人間関係、という意味で付けました。
今回の出演者の皆さんは、バラバラな文法を持つ人々。そんな5人が、稽古を経て本番までに演出の青木さんのタクトでひとつのアンサンブルとなるのが楽しみです。
青木さんが主宰していた劇団「グリング」も会話劇が中心の作品だったので、シンパシー感じています。青木さん自身この作品で何をしたらいいか大半分かってらっしゃると思うんです。なので、これをどのように会話劇として仕立て上げてくれるのか本当に楽しみです。

【公演情報】
『相対的浮世絵』
作:土田英生
演出:青木 豪
●10/25~11/17◎本多劇場
〈料金〉8,000円 (全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00~18:00)
●11/22~24◎COOL  JAPAN PARK OSAKA WWホール
〈料金〉8,000円 (全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.soutaitekiukiyoe2019.com/

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