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夢を追う不屈の魂をショーアップさせた不朽の大ヒットミュージカル『ドリームガールズ』上演中!

名曲の宝庫と圧巻の歌唱力で、夢を追い続けるエネルギーを伝えるブロードウェイ・ミュージカル『ドリームガールズ』が渋谷の東急シアターオーブで上演中だ(16日まで)。

『ドリームガールズ』は、舞台のスターではなく、コーラスを踊るダンサーたちがオーディションに臨む姿を舞台にのせてその人生を綴った、ミュージカルの歴史に燦然と輝くメガヒットミュージカル『コーラスライン』を手掛けたマイケル・ベネットが、1981年に初演したミュージカル。黒人だけのものだったブラックミュージックのリズム&ブルースが、白人にも受け入れられるようになっていった時代。ソウルを重んじるリズム&ブルースを、よりポップな明るさを持ち込んだサウンドにアレンジすることで、広い大衆性を持たせようとした60年代の音楽シーンの一大ムーブメントを背景に、スターを夢見る女性コーラスグループ「ザ・ドリーメッツ」がスターとなっていく軌跡の光と闇を、圧巻のミュージカル・ナンバーで紡いでいく作品として、ブロードウェイで約4年間のロングランとなるヒット作品となった。

のちに2009年に映画化が実現。この映画化に際しての改変を踏まえ、同年11月「21世紀バージョン」として、ロバート・ロングボトム演出による新生『ドリームガールズ』が登場。LEDパネルを多用した映像、豪華な衣装、加えられたミュージカル・ナンバーと、よりスピーディに、スタイリッシュに、ゴージャスにブラッシュアップされた作品は、世界中で愛され続けている。日本にもこのバージョンの公演が2010年に初来日。2013年、2016年にも来日公演が実現し、多くの観客を熱狂させてきた。今回の来日公演は2020年、東京オリンピック・パラリンピックイヤーに合わせての上演で、よりパワフルで熱いパフォーマンスが繰り広げられている。

【STORY】

1962年ニューヨーク。シカゴ出身のエフィー(カディー・ジャ・オネ)、ディーナ(シャラエ・モールトリー)、ローレル(ベランド・ミラス)は、歌で成功することを夢見てエフィーをリードボーカルに「ザ・ドリーメッツ」を結成。地元のオーディションなどで優勝したのち、いよいよニューヨークハーレム、アポロシアター恒例のアマチュアコンテストに乗り込む。そんな三人の才能に目をつけた音楽業界への殴り込みを目論む男・カーティス(ジェレミー・アーウィン)は、裏金を使って三人がコンテストで落選するように工作。言葉巧みに女癖が悪くバックコーラスに逃げられ、早急に人材を探していた人気歌手ジェームス(通称・ジミー。アレックス・ギブス)のバックコーラスに三人を売り込む。はじめはバックコーラスなどいやだと突っぱねていたエフィーだったが、これを足掛かりにスターへの道を歩み出そうというローレルらの熱意に押され、ショービジネスの世界に踏み出す。

野心に燃えるカーティスはエフィーの弟でソングライターのC.C.ホワイト(イビン・V・デイズ)に白人受けをするソフトな楽曲を依頼。更に白人の保養地であるマイアミのホテルに粘り強く交渉し、ジミーと「ザ・ドリーメッツ」の出演にこぎつける。だが肝心のステージで白人客に迎合できないジミーは露悪的な表現を連発。ステージは大失敗に終わってしまう。

これを機にジミーを諦め「ザ・ドリーメッツ」を「ザ・ドリームズ」に改名し、単独で売り出すことを決意したカーティスは、映像にも打って出る為として、リードボーカルを歌唱力抜群のエフィーから、容姿の美しいディーナに交代させると言い出す。カーティスの手腕に惚れ込み恋人になっていたエフィーは大きなショックを受けるが、仲間たちの励ましで気を取り直し「ザ・ドリームズ」として活動を開始。豪華な衣装で華やかに歌ってデビューを飾った三人は、次々にヒットを連発していく。だが、はじめは突然の抜擢に戸惑っていたディーナがリードボーカルとして成長していくに連れて、カーティスの気持ちはディーナへと移っていき、傷心のエフィーは心身のバランスを崩していく。更に、完全に捨て駒にされたジミーと不倫関係にあるローレルの焦燥も加わり「ザ・ドリームズ」の三人の気持ちは次第に遠く離れてしまう。それでもトップスターの仲間入りをした「ザ・ドリームズ」のスケジュールは目白押しで、仕事を頻繁にキャンセルするエフィーにたまりかねたカーティスが、エフィーに代わるサイドボーカル・ミシェル(サリタ・クロウフォード)を雇い入れるに至り……

『ドリームガールズ』の背景には、それまで白人の主導する世界とは隔絶されていたブラックミュージックが、音楽シーンに革命を起こす60年代~70年代にかけてのモータウン・レコードの隆盛の時代がある。言語も人種も越えて分かり合えるものであるはずの音楽世界にも、この時代には厳然とした壁があり、それを越えようとする野心に満ちた男と、歌でビッグスターになろうとする女性コーラスグループとの、思惑や駆け引きが作中のドラマを大きく動かしていく。非情な采配もあれば、裏切りもあり、裏金も飛び交う。

けれども「ザ・ドリームズ」の三人はもちろん、登場する人々、更にカーティスでさえもが単純な悪人に見えないのは、誰もが夢を信じ続ける不屈の魂とエネルギーを持ち、世界を変えようとして突き進む姿に心を打たれるからに他ならない。更に良いのが、このドラマが名曲の宝庫であるミュージカル・ナンバーによって、怒涛のように進められる構成の巧みさだ。例えばメンバー交代を告げられたエフィーがここを去るつもりはない、もう一度私を愛して欲しいと絶唱する1幕のビッグナンバー「And I Am Telling You I’m Not Going」等のナンバーはもちろん、歌手であるメインキャストたちがステージで歌うという形をとったナンバーにも、その時々の登場人物の心理や、想いが巧みに表現されていて、あくまでもショーアップされたエンターテイメントの中に浸っているだけで、作品を堪能できる趣向が素晴らしい。だから決して内容は重く感じられない中で、失意のエフィーが再生していく過程、カーティスの「商品」になってしまったと感じたディーナが、アーティストとして歩み出そうとする思い、不毛な恋を断ち切って前を向こうとするローレルの決断などが、止まらない華やかなステージの中でしみじみと胸を打つ。

特にLEDパネルを駆使したゴージャスな映像表現に、パフォーマーたちが全く負けていず、映像を従えていると感じられる実力者たちが揃っているのが、よりショーアップされた21世紀の『ドリームガールズ』を完璧なものにしている。エフィーのカディー・ジャ・オネの役柄を体現した圧巻の歌唱力は、前述の「And I Am Telling You I’m Not Going」、2幕の「I Am Changing」にショーストップの魅力を惜しみなく披露したし、ディーナのシャラエ・モールトリーは、はじめは自信なさげだったディーナが、リードボーカルとしての自身の魅力に目覚め、更に地に足のついた女性に成長していく過程をしっかりと見せた。また、ローレルのベランド・ミラスが、大スタージミーに恋をし、自身がスターとなってもジミーとの結婚を夢見る役柄を、コケティッシュな愛らしさ全開で演じているのも作品の軽やかさにつながるなど、2020年版来日キャストも絶好調。アンサンブルと呼ぶのはどうなのか、と思うほどそれぞれに働き場の多いキャストたちの地力も素晴らしく、「Dreamgirls」「One Night Only」等々、耳に馴染んだ楽曲が目にも耳にも強く訴えかけてくる、夢を信じることの尊さを思い出させてくれる熱いステージとなっている。

【公演情報】
ブロードウェイ・ミュージカル
『ドリームガールズ』
脚本・作詞◇トム・アイエン
音楽◇ヘンリー・クリーガー
構想・オリジナル演出版演出・振付◇マイケル・ベネット
補筆◇ウイリー・レアーレ

●1/29~2/16◎東急シアターオーブ

〈料金〉S席14,000円 A席12,000円 B席10,000円(全席指定・税込)
※未就学児童入場不可、字幕スーパーあり、生演奏

〈お問い合わせ〉Bunkamura 03-3477-3244(10時~19時)
〈公式ホームページ〉https://dreamgirls2020.com

取材・文/橘涼香 舞台写真/(C)DREAMGIRLS 2020TOKYO by GEKKO

 

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