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娯楽に徹した理屈抜きのショーを!『CLUB SEVEN ZERO III』玉野和紀、吉野圭吾、東山義久、西村直人、大山真志 取材会インタビュー

左/玉野和紀、上から東山義久、大山真志、吉野圭吾、西村直人

ソング、ダンス、芝居、タップ、ミュージカル、スケッチと、エンターティメントのあらゆる要素を詰め込んだ怒涛のジェットコースターステージとして愛され続けている『CLUB SEVEN』シリーズ。総合クリエーター玉野和紀が絶大な信頼を寄せるLEGENDメンバー、吉野圭吾、東山義久、西村直人を中心に「原点に返るオトナの『CLUB SEVEN』」としてスタートした『CLUB SEVEN ZERO』第三弾である『CLUB SEVEN ZERO III』が、6月6日から25日まで東京日比谷のシアタークリエで上演される(6月28日愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、7月3日~4日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでも上演)。

1幕のスケッチでA、B二つのバージョンが用意された『CLUB SEVEN ZERO』のスタイルは今回も健在。『CLUB SEVEN ZERO II』から出演の大山真志が続投し、元宝塚歌劇団宙組トップスターの凰稀かなめ、同じく元星組トップ娘役妃海風がこのフルスロットルステージに初挑戦するなど、更に進化した作品が期待されている。

そんな舞台に集う男性陣・玉野和紀、吉野圭吾、東山義久、西村直人、大山真志による取材会が開かれ、作品への意気込みや、これまでの思い出、更に演劇キックには、お互いの魅力と好きだったキャラクターについても語ってくれた。

新しいものにチャレンジする『CLUB SEVEN ZERO III』

──『CLUB SEVEN ZERO III』の構成についてお話いただける範囲で教えて下さい

玉野 基本的な構成は変わらないです。オープニングがあり、歌と踊りがあり、スケッチあり。二幕にはミュージカルがあって、50音順メドレーがある、オーソドックスな構成です。ただ、新作だっていうことは毎回同じなのですが、今回は前回のネタを練り直してということではなく、ネタ自体を新しいものにしていくことに挑戦しようとしていて、そこが今までと違うところですね。

吉野 挑戦ということなら、昆虫がやりたい。

東山 スケッチで?

吉野 いや、昆虫のミュージカル。しかも泣けるやつがいい。主役は玉野さんで、人間の男の子役。あとはみんな昆虫で。

東山 だったら僕は蝶がいいな。

大山 怖い蝶ですね!モスラみたい(笑)

吉野 ヨシ(東山)はカマキリだろう。

東山 じゃあ圭吾さん(吉野)は?

吉野 俺はイモムシ。

大山 でかいイモムシだな~(笑)。

西村 昆虫ならバッタがやりたいかなぁ。飛ぶから疲れそうだけど(笑)

東山 真志はカブトムシのメスじゃない?

大山 フォルムだけで言ってません?(笑)

玉野 真志はダンゴムシとかかな(笑)。でもそんなの絶対ミュージカルにできないだろう?

吉野 蚊だってミュージカルになったじゃないですか(笑)。

玉野 あの頃はチャレンジしすぎてたんだよ(笑)

東山 チャレンジするんなら、僕は『CLUB SEVEN』では、妖怪、アンドロイド、操り人形と人間以外の役、言葉ではなくダンスで表現する場面を毎回もらってたのですが、『ZERO』になってからは普通の人間の役が多いので、ダンスのミュージカルをやってみたいです。

玉野 台詞なしでってこと?

東山 いえいえ、台詞があってもいいし、5分くらいでもいいんだけど、ダンスで表現するようなミュージカル。素敵だったなぁと。素敵だったって僕がじゃないですよ!作品がですよ!(笑)

玉野 所謂「ダンスミュージカル」ってこと?

東山 そうです、そうです。

玉野 昔はダンスミュージカルやっていたもんね。だんだんダンスよりも芝居に寄っているけど。

吉野 まぁ体がね(笑)

玉野 そうそう(笑)

西村 (フライヤーを見ながら)宇宙防衛軍とか。

玉野 地球防衛軍!宇宙までは防衛できない!(笑)

大山 今回これやるんですか?

玉野 これね、衣装作っちゃったからね。

西村 作ってましたよね。ということは使わないと。

玉野 しかも、オーダーで作ったんだから。

西村 楽しみですね。

吉野 二幕頭とかにやりたいね。

大山 カッコイイですよ!

東山 このカッコイイ感じでムチャぶりをするといいんじゃない?

玉野 みんなホント勝手なこと言うよな!でも作るのは僕だから!(笑)

大山 俺はとにかく、デブキャラ以外のものをやりたい!

玉野 それはこの中に入ったらしょうがないだろう(笑)

東山 それ何回も言っているけど、ダメだから。そういう枠だもん。

大山 そうなのかなぁ(笑)。

吉野 今頃気づいたの?

玉野 だって、この中で一番痩せたような役をやったらどうするんだよ。

大山 逆に面白いんじゃないですか?

玉野 あぁ、まぁね。

東山 だけど、それは最早誰でもいいってことだよ!(笑)

西村 真志、ドリフでいうと、自分がどのポジションだと思う?

大山 あーなるほど(笑)。納得しました。

玉野 もうちょっと太ってもいいくらいだから(笑)太っているのに動けるっていうところ

が真志の魅力だからね!

だんだん『CLUB SEVEN』用の身体になる

──『ZERO』シリーズになってからのとっておきエピソードなどはありますか?

玉野 これまでの2回だよね。アクシデント?

大山 アクシデントなら山ほどありますけど(笑)

吉野 大変は大変なんだけど、7人になって良くなりましたよね。

玉野 僕はすごくしんどくなったけどね、人手が足りなくて。

大山 前回『ZERO II』の時には、玉野さんが「50音メドレー」で僕にキャラクター系を振り分けて下さったから、一人足りなくなったんですよ!

玉野 「50音」で一人足りないのは大変だった、まともに踊らないといけない。

大山 自分でめっちゃ首絞めてるなって思いました(笑)。

玉野 だってしょうがないじゃない!一人いないんだもん(笑)。

西村 『ZERO』になってからAバージョン、Bバージョン日替わりでということになったのもあって、稽古に入る前には体力的にどうなのかな?って思うんですけど、だんだん『CLUB SEVEN』用の身体になって卒業していく。みたいなことが2年に1回ありますね。

玉野 以前は1年に1回だったんだけど、『ZERO』になって皆のスケジュール的なこともあって2年に1回で来たんで、ちょっと確かにそれはあるね。

東山 初日ギリギリ、2日前の通し稽古でやっとできたシーンもあったし。あれはヤバかったですよね。

西村 成功率が低かったからなぁ。

玉野 俺は、初日に芝居場面でバンと出たら全く台詞が出てこなくなった時があった。

吉野 下町の工場の話の時ですよね?

東山 さっき控室で圭吾さんが「あれは勘弁して欲しいんだよな」って言ってましたよね(笑)。

玉野 もう本当にあの時は大変だった。

吉野 ロボット(※芝居後半に登場した東山演じるアンドロイド)はいいなぁって思った。

玉野 ロボットな!しかも美味しいところ持っていくし。

東山 全部持っていきましたからね(笑)

大山 あと、衝撃的だったのが前回の『ZERO II』で幼稚園のシーンがあったじゃないですか。皆で幼稚園児になったんですけど、北翔海莉さんが自らメイクですごく作り込んでいて、びっくりしました!

東山 凄かったな、あの方は!

玉野 元宝塚の方ってどんどん、どんどんやりたくなってエスカレートしていくの(笑)。何か今まで「清く、正しく、美しく」でやってきた分、パーッと弾けるんだけど、みっちゃん(北翔)は特にすごかったね!今回ふうちゃん(妃海風)とは別の舞台でご一緒していて、面白くやってくれると思うし、かなめさん(凰稀かなめ)は「はじめまして」だけど、どんな風にみせてくれるか期待しています。

それぞれの魅力、それぞれのキャラクター

──大山さんから順番に、お隣の方(東山→玉野→吉野→西村→大山)に感じる魅力とお好きだったキャラクターを教えて下さい。

大山 ヨシさんはカッコいいのも、すごくダサいのも『CLUB SEVEN』の中で両立して出すのが魅力だなといつも感じています。一番好きなキャラクターはゾンビです。

玉野 ゾンビか!でもあれは『ZERO』じゃなかったよな?

大山 『ZERO』じゃないです。『CLUB SEVEN 10th』の時です!でもあれが一番好きですね。『ZERO』の中で言うなら、定番のツタンカメンです!今回もありますよね?

東山 いやどうだろう、新しいのに行くっておっしゃっているから(笑)。

大山 そうかぁ。でもそれも楽しみです!

東山 玉野さんの魅力は、さっきもおっしゃっていたけれども「自分が踊らないとダメになっちゃった」っていう思考、舞台をよくする為には自分にも平気で鞭打つところですね。もう全部自分で考えていらっしゃるんだから、自分を守ることもできるのに守らない。この作品の方が自分より大事っていうその気概が、僕はすごく嬉しいです。だからずっと僕らがついていける。玉野さんがリーダーで、僕たちの中心だっていうことを誰よりもわかっているので、きっと今回もたくさん踊って下さると思います!

玉野 おいっ!(笑)

東山 そういうところがすごく素敵だなと。キャラクターで好きなものは色々あるんだけど、圭吾さんと二人でやるおばあちゃんとおじいちゃん。

吉野 将棋のやつ?

東山 そうそう。ああいうコントなんだけど、真剣にやっていて周りが笑うのが面白いです。決して笑わそうとしていない、必死でやっているところにほっこりと笑える、僕にはできないものが好きです。

玉野 下町の哀愁みたいなのだね。

東山 あとは、映画監督も好きです!

玉野 あれは声が大変なんだよ!

東山 それも決めたのは自分でしょう?(笑)

玉野 圭吾の魅力はやっぱり一生懸命さですよね。決して器用ではないんだけれども、一生懸命、あんなに稽古するってすごいなっていうほど稽古をして、それが形になった時って誰よりも輝くんですよ。自分でも「不器用ですから」って言っているんだけど、その魅力っていうのは唯一無二ですね。二枚目をさせたら本当にカッコイイし、面白いところもヨシなんかは本当に面白くするんだけど、圭吾はちょっと違うところにいく。「そっち?」って(笑)、僕も思いつかなかった!みたいなことが結構出てきて、それが面白いです。色々な意見もどんどん言ってくれて、直人(西村)はずっとそれをやってくれている僕の右腕なんですけど、圭吾もそういうことをどんどんやってくれるようになりましたし、あのいつまでも一生懸命な姿勢は学ぶべきですよね。好きなキャラクターはヒドいんだけど、ご長寿のおばあちゃんかな(笑)。

東山 あれはヤバい、ちょっと止めろ!って言われる(笑)。

玉野 圭吾はいつもギリギリのところいっているから。

吉野 オトナのショーだからね。

玉野 そこをオトナで括るな!(笑)でも今年はやらない(笑)

大山 ないんですか?

東山 好きだったのになぁ。

吉野 違うところで頑張る。

玉野 あれは止めても止まらないんだもん。『CLUB SEVEN』の上演時間を長くしているのは圭吾だよね!

吉野 そんなことはない!(笑)直人さんは僕の憧れなんです。僕が一番はじめに『CLUB SEVEN』に出たのって三十代半ばだったんですけど。オープニングで使う映像を色々撮ったんです。そこで「ニャンコ先生」が登場して。エアロビの先生で。

玉野 最初はそういう設定だったよね。

吉野 そこでちょっと猫みたいな振付をやったんですけど「この人はなんなんだろう!?」って(爆笑)。役に対する入り込み方が凄いんですよ!奥が深いし、やめようとしない(笑)。ずっとそのまんまでいるんです。その時「僕はこういう人になりたい!」って思って。

西村 マジで?

吉野 そう。でも当時はまだ若かったから、役で喋っていてもちょっと疲れるとすぐ砕けちゃう自分がいて。でも直人さんは砕けない!

西村 挫けないかな(笑)。

吉野 そうだ、そうだ!挫けないんだ!役のまんまでいられる。それは本当にすごいことで。役者とはこうあるべきだ!と思った瞬間だったんです。

西村 それでこんなになっちゃったの?(爆笑)ごめんね。

吉野 ごめんって(笑)。直人さんを見ながら、こうでありたい、こうでありたいと思ってやってきました。だから負けないように僕は頑張ってるわけです。

東山 それですごいモンスター(ご長寿のおばあちゃん)が生まれちゃったんだ!(笑)。

吉野 そんな直人さんのキャラクターはどれもいいんですよね。直人さんはどの役も自分のものにしちゃうから、これとは決められないけど、ご長寿のおじいちゃんも、幼稚園の子供の「直子ちゃん」も本当に上手で、勉強になります!

西村 もうおなかいっぱいです!

玉野 めっちゃ褒められたね!

西村 褒められた!真志くんにはね『CLUB SEVEN』のおじさんたちの中に入っている理由があると思うんですよね。それでか!と思ったのは、子役からやっていますから、この年齢なのにキャリアが長くて、同世代の子たちとちょっと違うんです。若いんですけど大人っぽくて、こっちに寄ってこられる。だから真志はここにいられるんだなっていう、しっかりしたものを持っていて、実力も持っているのが最大の魅力じゃないですか。

大山 ありがとうございます!

西村 特に『CLUB SEVEN』が今後存続していけるかどうかのギミックを持っているので、体形はキープしておいて欲しい(爆笑)。好きな役は、いつも僕は扉の後ろで聞いているんですけれども、スーパーテニス選手に扮した捨て台詞ですね!(笑)あのひと言で、いつも気分よく出ていけるんですけど、今回あります?

玉野 ちょっと変えようかなって思ってる(笑)。新しいのに挑戦したい!

西村 じゃあ20周年の記念公演に期待します!(笑)。あれはなかなか他の人にはできないと思う!

東山 真志にしかできないですよね!

お客様と一緒に、みんなで全力を尽くして終わる

──では改めて『CLUB SEVEN ZERO』シリーズを初めてご覧になる方に、見どころとおススメポイントをお願いします。

大山 僕たち自身も何が出るか分からない、おもちゃ箱をひっくり返してみるまで、何が出てくるか分からないという魅力があります。全力で楽しんでもらうことが『CLUB SEVEN』の一番面白いところだと思うので、それを楽しんでいただいて。こういう世の中ですけど、笑顔になって帰っていただけたらなと思っています。

東山 キャストが7人しかいないというところがまずすごく大きいかなと思っています。7人でショーを作っていくので、僕たちも全部の感情を出してお届けするんですけど、観ているお客様もおそらく同じように、楽しんだり、怒ったり、悲しんだり、いろいろな感情で見てもらえるんじゃないかなと。これがこの『CLUB SEVEN』の一番面白いところだと思っていますので、楽しみにしていてください。

吉野 こんなにステージ上で命が燃えている姿を見られる舞台はなかなかないんじゃないかなと思います。そういう姿を見ていただきたいと思っています。

西村 僕、おかげさまで、『CLUB SEVEN』を観たことないんですけど(笑)、リピートしたくなる魅力があると思うんです。それが何なのか、僕は見たことないので分からないんですけど(笑)。でも例えば、僕、ラーメンが大好きで、おいしいお店っていっぱいあるんですが、「また行きたいな」というお店は何軒かしかないんですよ。「おいしかったな」と思って帰るんですけど、「もう一回行こう」と思うと、あまり足が進まなかったりする。その中で、リピートしたくなる魅力というのは、手間隙かけて、時間をかけてじっくり作ったスープと、麺にも具にもこだわったもので。そういう逸品の料理が『CLUB SEVEN』だと思うんですよね。どれが欠けても成立しない一杯。このおいしい一杯、リピートしたくなる一杯を我々は作っているんだという自信があります。その自信がなくなったら、店を畳まなきゃいけないときだと思うんですが、みんなもその一杯に向けて、いい出汁を作っていると思うので、おいしい一杯を食べに来ていただきたいと思っています。

玉野 『CLUB SEVEN』って唯一無二の舞台だなと思います。日頃ミュージカルをご覧になっているお客様も、全然違う出演者の顔を見られる。もちろん役というのもあるんですけど、個々の自分らしさをショーでは出していかなくてはいけないので、役と素の俳優を行ったり来たりしながら、一景、一景、全部キャラクターが違いますので、次はどんな顔が見られるんだろうという、そんな楽しみもあると思います。何の先入観もなしに、本当に楽しんでいただく、娯楽に徹したショーを作りたいと思ったのが『CLUB SEVEN』をはじめるきっかけだったので、なんでもありという感じですね。心揺さぶられて、お客さんもおそらく疲れると思うんですよ。「お疲れ様でした!」と言いながら、みんな帰っていくし(笑)。僕たちも「出演」というより「出場」という感じなんですね。ですからお客様も観劇というよりも、一体感を持ってみんなで全力を尽くして、汗を流して、お客様と一緒になって終わるというものです。特に今はコロナ禍なので、元気を出していただきたい。フライヤーも「コロナなんて俺たちが、『CLUB SEVEN』がやっつけてやる!」という思いがあって、これを思い付いたので、コロナのことをこの三時間近くの間は忘れてもらえるような舞台になればいいなと思っています。是非観に来ていただきたいです!

【公演情報】
『CLUB SEVEN ZERO Ⅲ』
脚本・構成・演出・振付◇玉野和紀
出演◇玉野和紀、吉野圭吾、東山義久、西村直人、大山真志、妃海風、凰稀かなめ
〈料金〉11.000円(全席指定・税込)
●6/6~25◎東京・シアタークリエ
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●6/28◎愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
●7/3~4◎大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈公式サイト〉https://www.tohostage.com/club_seven/

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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