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『熱海殺人事件 バトルロイヤル 50’s』稽古場公開レポート

紀伊國屋ホールにて、8月4日~20日、『熱海殺人事件 バトルロイヤル 50’s』が上演される。

1973年に発表され、誕生から今年で50周年を迎えるつかこうへいの代表作『熱海殺人事件』は、1974年に岸田戯曲賞を受賞し、その後つか本人の手による上演のみならず、様々なカンパニーでも上演され、1986年には映画化されるなど長きにわたり愛され続けてきた戯曲だ。

紀伊国屋ホールにとっては、59年の歴史の中で最も上演回数の多い作品という深い縁で結ばれた作品でもある。

記念すべき50周年に上演される『熱海殺人事件 バトルロイヤル 50’s』の演出は、2011年から13年に渡り紀伊国屋ホールで『熱海殺人事件』をプロデュースし続けている岡村俊一、総合演出にはフジテレビエグゼクティブディレクターで、2001年にテレビドラマ版『熱海殺人事件』の演出を務めたことのある河毛俊作。

今回は、スタンダード公演・エキサイト公演・フレッシャーズ公演に加え、誰がどの役で出るかは幕が開いてからのお楽しみというキャストを大胆に入れ替えたシャッフル公演と、総勢9名のキャストによる様々な組み合わせで上演される。

本番に先立ち稽古場公開が行われ、全出演者が登壇し、稽古の様子を報道陣に向けて公開した。

【稽古シーン公開】

まず、池田純矢が木村伝兵衛、佐々木ありさが水野朋子として登場。「恋するカレン」が流れる中、2人のシーンがスタート。今回が『熱海~』初挑戦となる池田は一癖も二癖もありそうな独特の存在感を見せ、エキサイト公演で水野役を務める佐々木はクールな雰囲気の中に色気が絶妙に混在するヒロインぶりを見せた。

途中、木村伝兵衛は池田から荒井敦史、水野朋子は佐々木から新内眞衣へと役者が入れ替わり、そこに熊田留吉役の高橋龍輝と大山金太郎役の多和田任益が加わった形で芝居が続けられた。これまで木村伝兵衛を3度演じてきた荒井は、さすがの安定感で堂々たるセリフ回しには貫禄すら感じさせる。そして水野を演じるのは今回が3回目となる新内は、相対する役者たちの芝居をすべて受けて立つ柔軟さと懐の深さを見せていた。高橋は熊田の新任刑事らしい血の気の多さを体当たりの熱演で見せ、多和田はサングラスをかけてハードボイルドを気取った大山を、茶目っ気をのぞかせながら演じていた。

「よろしく哀愁」に乗せて歌い、踊り、セリフをしゃべるという名物シーンの途中で、再び役者がチェンジ。木村伝兵衛は池田が務め、フレッシャーズ公演で水野を演じる小日向ゆか、熊田役をダブルキャストで演じる三浦海里、フレッシャーズ公演で大山役を演じる北野秀気が登場した。短いシーン披露ではあったが、小日向と北野はフレッシャーズという名称にふさわしい瑞々しさにあふれ、三浦は先に演技を披露した高橋とは異なる柔らかい雰囲気で熊田の若さを表現していた。

『熱海殺人事件』の醍醐味の一つが、マシンガンのように次から次へと発せられる怒涛のセリフの応酬だ。圧倒的なセリフ量とスピード感の中、セリフという弾丸を撃ち合う役者たちの姿は、まさに「バトルロイヤル」の様相を呈していた。本番ではどのような熱き“戦い”が見られるのか、期待が高まる稽古場公開だった。

《挨拶と質疑応答》

高橋龍輝 池田純矢     三浦海里 小日向ゆか 
北野秀気 佐々木ありさ 荒井敦史  新内眞衣 多和田任益

荒井敦史 『熱海殺人事件』という戯曲が50周年ということで、その節目に出演できること、このメンバーでできることがありがたい。個人的には4回目の出演なので、精一杯責務を全うしようと思っています。

新内眞衣 私は3度目の挑戦となりますが、稽古中や本番中は、毎回毎回本当にしんどいと思いながら、本番が終わると「すごくよかった」と思ってまたやりたくなる作品。50周年ということで、シャッフル公演だったりイベントがあったりもするので、ぜひそのへんも楽しんでいただけたら。50年も『熱海~』が続いているということは、本当に作品に力があるということだと思うので、私も精一杯演じさせていただきたいです。

池田純矢 紀伊國屋ホールはこれまで何度もやらせてもらっているなじみ深い劇場で、大先輩にあたるつかこうへい先生と『熱海殺人事件』という戯曲、そしてこの記念すべき年に伝兵衛をやらせていただけることはとてもありがたいことだと思うので、全力でやらせていただきたい。息継ぎなしでトライアスロンをやっているような役なので、周りのキャストに助けてもらわない限りは一歩も前に進めない。信頼し合ってこの物語を最後まで完遂したいです。

多和田任益 『熱海殺人事件』は2017年と2021年に熊田、2020年に「モンテカルロ・イリュージョン」で伝兵衛、と来て今回4度目で初めて大山をやらせていただきます。これで『熱海~』の男性の役は制覇したということで、本当に光栄だと思うのと同時に、「多和田の大山もよかったね」ではなく「多和田の大山も、大山だったな」と思っていただけるように、これまで大山を演じて来た方々の印象を意識しつつ、自分にしか出せない色を探して、この50周年というタイミングで大きな作品として届けられたらと思っています。

高橋龍輝 今回はダブルキャストということで、三浦海里くんと一緒に熊田をやりますが、海里くんの熊田には負けないように頑張りたいです。

三浦海里 2021年の『新・熱海殺人事件』に大山役で出演して、今回熊田として『熱海殺人事件』に参加できることを嬉しく思います。気持ちはフレッシュに、でもフレッシャーズという言葉に甘えずに、高橋龍輝くんに負けないように頑張ります。

佐々木ありさ 誠実に丁寧に、役とも人とも作品とも向き合って素敵な作品に仕上げたい。エキサイト公演なので、エキサイトしたいです。

小日向ゆか 水野朋子という役にすごくプレッシャーを感じています。毎日必死に稽古を頑張って、温かい皆さんに支えられながら頑張っているので、本番も観客の皆さんに何か伝わるように、何か持って帰っていただけるように頑張りたいです。

北野秀気 大学の図書室で初めて『熱海~』の台本を読んだときから「やりて~」と思っていたので、今は最高に幸せ。精一杯頑張ります。

──熱量の高いお芝居ですが、真夏の紀伊國屋公演に向けてどのような対策をしていますか。

荒井 全力で対策をしています。稽古から一生懸命やることが対策です。

北野 稽古中に水を1リットル飲んでいます。

新内 稽古場でやるのと紀伊國屋ホールでやるのは、全然照明の暑さも違うしお客様の熱気も違うと思うので、今から全力でやるというのが対策です。

──女性キャストは今回トリプルキャストということで、お互いに意識していることはありますか。

新内 意識というか、仲良くやらせてもらっています。自分にないものを持っている2人なので、いいところがあったら私もマネしてみようかな、と自分流に取り入れたりして、2人を見て私も勉強している感じです。

佐々木 私もお2人にすごく勉強させていただいていますし、この戯曲はそれぞれの個性がちゃんと反映されながらも、それぞれが水野に見えるところが面白くて、この作品すごいな、と思っている。それは水野だけじゃなくて他の役もそうなので、だから3公演見に来て欲しい。

小日向 新内さんは3年もやられているということで安定感があって、見ていてすごく勉強になる。ありちゃん(佐々木)は勢いがすごくて、刺激をもらっている。私はまだ経験が浅いが頑張っているので、ぜひ3公演見に来てください。

──春に上演されることの多い『熱海~』ですが、今回は夏の『熱海~』ということで目標を一言ずつ。

高橋 自分を超える。

池田 失神しない。

荒井 さらなる高みへ。

新内 全員から愛をもらって、全員に愛を伝えていきたい。

多和田 「よき20代のシメにしたい」と「あとは水野だけだな」。

三浦 喉をつぶさない。

小日向 汗をたくさんかく。

佐々木 一生懸命がんばる。

北野 田園を見せる。(※観客が夏をイメージできるようにしたい、の意)

──お客様へのメッセージを。

荒井 このキャストでやれる『熱海殺人事件』に感謝しつつ、つかこうへい先生にも感謝しつつ、最高の夏にできるように頑張りたい。今回、スタンダード・フレッシャーズ・エキサイト・シャッフルとあって、もしかしたらどこかで多和田くんの水野を見られるかも……? あと、それぞれの回に出演していないキャストも劇場にいるんじゃないか、劇場に来れば全員見られるかも、ということを匂わせつつ、よろしくお願いします。

 

高橋龍輝 池田純矢     三浦海里 小日向ゆか 
北野秀気 佐々木ありさ 荒井敦史  新内眞衣 多和田任益

【公演情報】
50 周年記念特別公演
『「熱海殺人事件」バトルロイヤル 50’s』
作:つかこうへい
総合演出:河毛俊作
演出:岡村俊一
出演
木村伝兵衛部長刑事:荒井敦史・池田純矢
婦人警官水野朋子:新内眞衣(スタンダード公演) 佐々木ありさ(エキサイト公演)小日向ゆか(フレッシャーズ公演)
熊田留吉刑事:高橋龍輝・三浦海里
犯人大山金太郎:多和田任益 北野秀気(フレッシャーズ公演)
●8/4~20◎東京・紀伊國屋ホール
〈料金〉7,500円 学生料金 3,000 円 熱海 50 周年記念割引 5,000 円(税込・全席指定・未就学児童入場不可)
※学生料金(学生証提示・当日引換・8/15、16 除く)
※熱海 50 周年記念割引(8/8、9、13、18 のみ)
〈チケット問い合わせ〉 Mitt 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
〈公式サイト〉 http://www.rup.co.jp/

 

【取材・文/久田絢子 写真提供/RUP】

 

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