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岩松了の最新作『青空は後悔の証し』間もなく開幕! 風間杜夫・豊原功補インタビュー

風間杜夫 豊原功補

「男たちは窓の外を語り、女たちは窓の中にいる男たちをみている。」。こんなキャッチコピーが、水面下に漂う不穏なさざ波のようなものを想像させる岩松了の最新作、『青空は後悔の証し』。

明後日プロデュースにより、いよいよ5月14日に東京シアタートラムで初日の幕を開ける。(29日まで、そののち6月4日・5日に大阪シアター・ドラマシティで上演)

この舞台で、パイロットを退職したロウという70代の父とその息子ミキオを演じるのは、風間杜夫と豊原功補。さらに石田ひかり、佐藤直子、小野花梨という実力派の女優陣も加わって5人で演じる舞台だ。

この作品と岩松戯曲の世界について、ともに岩松作品では常連の風間杜夫と豊原功補が語り合った「えんぶ6月号」のインタビューをご紹介する。

 

嘘は作り込んでいるから本当のことより惹きつける

──今回の台本を読んでみての印象はいかがですか?

風間 まだ台本は半分ぐらいしか貰っていないのですが、今の段階で手がかりになりそうなのは、ロウという人物が生まれた年が1949年で僕と同じだということ、老齢に差しかかったこの男が昔のことで甘い感傷に浸ろうとしているのを、息子が訝しがっているということで、これから先いろいろな秘密が出て来そうで楽しみです。

豊原 風間さんがおっしゃったように、父親のロウが浸ろうしているというか飛び込もうとしている時間というのが、息子のミキオからみると複雑な気持ちになる何かがあるんだろうなと思います。そして息子自身にも抱えている問題がある。そういう人間の奥深さや岩松さんならではの色っぽさが複雑に絡み合っている世界で、面白い作品になりそうだなと思っています。

──お二人とも岩松作品には何度も出演されていますね。

豊原 有り難いことに沢山出させていただいてます。風間さんとも他の座組みでは何度も共演させていただいてますが、岩松さんの作品では共演できていなかったので、やっとご一緒できて嬉しいです。

風間 僕は岩松作品は久しぶりで、『家庭内失踪』以来だから6年ぶりですね。

豊原 あれは面白かったですね。

風間 岩松さんの本は、自分が出演して稽古を毎日続けているうちに入ってくるんですよね。だからお客で観に行ったときはほとんどわからないまま帰ってくる(笑)。岩松さん本人にも、「岩松さんの芝居は出ないとつまんない」って言ってるんですけど(笑)。毎回、語り合っている顔の奥に何が潜んでいるかというのを探るのが、演じる側の楽しみでもあって。言いたいことはあまり表に出てこない、むしろ後ろに隠されているという本ですからね。それを岩松さんのもとで稽古場で繰り返していくことで発見していくわけです。

豊原 僕は一番最初に、『シェイクスピア・ソナタ』(07年)というお芝居に呼んでいただいたとき、「何かほかのこと考えながら違うこと言うことあるでしょ」と言われたんです。そういうことができそうだというので呼んでいただいたらしい。岩松さんには、「人は普段でも本当のことを言ってない、芝居してるでしょ」というのがあって、そういうのがふんだんに生かされてるのが岩松戯曲だと思いますね。

風間 それから会話のやりとりでリフレインする。それも直前のことじゃなくて、ちょっと前に言った言葉を「それはなんだ?」と。その聞き方が得意なんです。台本を読んでいて、なんで今これを聞くんだろうと思っていると、3行か4行前に言ってることについて言ってて、それで話が迷路に入っていったりする。その問い直しのテクニックが面白い。

豊原 僕なんか3行前どころか1日前とかのことを問い直したりするので(笑)、リアルですよ。俺はこういうところに引っかかるんだと。だから岩松さんの新しい台本をいただくたびに、面白くてたまらない。で、わかったつもりになってると危ないんですけどね(笑)。

風間 僕はわりとすぐ人の言うことを信じちゃうほうなんで、疑り深い人間たちが出てくるこういう戯曲は厄介ですね(笑)。この台本にも「嘘のほうが面白い」という台詞が出て来るけど、嘘のほうが作り込んでいるから本当のことより惹きつけるという、それがなんか岩松さんの本音みたいで(笑)。

豊原 面白いですよね、あの台詞。

──岩松戯曲には鋭い目線を感じますし、そこに怖さと面白さがありますね。

風間 いつも見透かされているようで、緊張を強いられるというか。そんなに考えなくていいはずなのに、彼の前だとつい言葉を選んだりして、なんかくつろげない。長年付き合っているのに(笑)。

豊原 僕も聞いてもらいたいことがあって、2人きりでお酒を飲んだとき、やっぱりすごく言葉を選んでポツリポツリと話していって、ほとんど話し終えようとしたときに、「豊原くん、良い状態だね」と。

風間 ははは(笑)。

豊原 悩んでいるその状態を、豊原功補という人間より俳優としての良い状態と見られてしまう。それがすごく印象に残ってますね。

文学性だけでなく、さらに演劇性が強くなりそうな舞台

──お二人は今回父子という関係ですが、俳優としてのお互いについて語っていただけますか。

豊原 やめてくださいよ、そういうの(笑)。

風間 功補は色っぽいですよね。それとどっか人を殺しそうな顔をしてる。色気があって狂気があって、これは強いですよ。

豊原 そのまま風間さんにお返しします(笑)。共演しているときはいっぱいいっぱいでそれどころではないんですけど、岩松さんの芝居に出ていらっしゃる風間さんを拝見すると、独白のときの台詞の言い方や演技とか、自分もあんな風に出来ないかなと思いますし、自分もあそこに一緒に居たいなという思いがつのるんです。それに風間さんは落語もおやりになってますし、僕も落語が好きなので、台詞廻しや声とか、お手本にさせてもらっているところがありますね。

風間 豊原くんが落語愛が強いのは僕もよく知ってて、彼が構成・演出した芝居噺『名人長二』も観せてもらったんですけど、ドラマチックに構成してて面白かった。恐るべき人ですよ。

──そんなお二人が岩松戯曲での初共演が楽しみです。最後に観てくださる方へのメッセージを。

豊原 まだ全部はできてない台本なのですが、一読したとき「あ、凄い本だな」と思いました。岩松さんの作品が好きな方にはもちろん、演劇が好きな方は、絶対に見逃さないでいただきたいです。

風間 岩松文学と言われているように、岩松戯曲には演劇における文学性を感じるんですが、聞くところによると、この本の中で夢なのか現実なのか、小野花梨ちゃんの役の少女が塔の上からこちらに飛んでくるところがあるんです。岩松さんはそこで映像を使うかもしれないと。そうすると文学性だけじゃなく、さらに演劇性が強くなるというか、舞台の表現がダイナミックになるかもしれないなと。岩松さんは最近そういう視覚的な仕掛けもよく使っているので、今回もそういう部分でも楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。

■PROFILE■

風間杜夫 豊原功補

かざまもりお○東京都出身。77年以降、つかこうへい事務所の舞台に出演。映画の『蒲田行進曲』では、多数の賞を受賞。舞台、映画、TVドラマ、ナレーションとマルチに活躍。25年前から落語に取り組むなど実力派俳優として第一線を走り続けている。最近の舞台は『リトル・ナイト・ミュージック』『唐版 風の又三郎』『黒白珠』『女の一生』『セールスマンの死』『白昼夢』『ベンガルの虎』『ひとり芝居 帰ってきたカラオケマン』『泥人魚』。文化庁芸術祭賞演劇部門大賞、読売演劇大賞最優秀男優賞、菊田一夫演劇賞大賞などを受賞。10年に紫綬褒章を受章。

とよはらこうすけ○東京都出身。俳優として数々の映画やドラマで活躍。ナレーターとしても活躍、音楽活動も行っていて99年にはシングル『星空』でバンドデビュー。映画『受験のシンデレラ』では、「モナコ国際映画祭」最優秀主演男優賞を受賞。最近の主な出演作品は、映画『ヤクザと家族 The Family』、『とんび』、ドラマ『TOKYO VICE』、舞台は『シブヤから遠く離れて』『空ばかり見ていた』など。芝居噺『名人長二』と芝居噺弐席目『後家安とその妹』では企画・脚本・演出・出演、『またここか』では演出を手がけた。

【公演情報】
『青空は後悔の証し』
作・演出:岩松 了
出演:風間杜夫 石田ひかり 佐藤直子 小野花梨 豊原功補
●5/14~29◎東京公演 シアタートラム
〈料金〉8,000円 トラムシート4,000円 U-22 4,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※U-22 (ローソンチケットのみ/当日指定引換券/枚数限定/要身分証明書提示/税込)
●6/4・5◎大阪公演 梅田芸樹劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉8,500円 U-22 4,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※U-22 (ローソンチケットのみ/当日指定引換券/枚数限定/要身分証明書提示/税込)
〈お問い合わせ〉Mitt:03-6265-3201(平日12:00~17:00)
〈公式サイト〉https://asatte.tokyo/aozora/

 

【構成・文/宮田華子 撮影/中村嘉昭 ヘアメイク/今野ふき子 スタイリング/髙木阿友子】

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