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『フラガール -dance for smile-』間もなく開幕!矢島舞美・富田望生 インタビュー

傑作映画『フラガール』が12年の時を経て、舞台『フラガール -dance for smile-』として甦る。
(東京は10/18日から27日まで日本青年館ホールにて、大阪は11月2日から4日までサンケイホールブリーゼにて上演)

映画『フラガール』は、第 80 回キネマ旬報ベストテン1位、第 30 回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。昭和 40 年という時代を背景に、エネルギーの石油化の中で、需要の下がる石炭を堀り続ける福島県いわき市の炭鉱町を描き、滅んでいく産業の中で働く人間が力強く生きていく姿をみごとに表現、常磐ハワイアンセンター設立までのエピソードを、フラガールに生まれ変わっていく少女達の笑顔と涙とともに描いている。

その舞台版として今回は、羽原大介と李相日のよる映画原作を新作舞台化、総合演出には河毛俊作。プロデュースと構成演出を岡村俊一が手がける。

そしてフラガールをはじめとするキャストは、フレッシュなメンバーが集まった。フラガールのリーダー谷川役に乃木坂 46井上小百合。彼女たちにフラダンスを教える平山まどか先生役に元℃-uteの矢島舞美。映画版で南海キャンディーズの山崎静代が演じた熊野小百合役に富田望生。そのほかAKB48チーム8の太田奈緒と劇団4ドル50セントの福島雪菜、さらに若手実力派の吉田美佳子や個性派女優の伊藤修子。男優陣には味方良介、SOLIDEMO のボーカリスト中山優貴、また有森也実や山崎銀之丞などのベテランが脇を固める。

この作品で平山まどかに扮する矢島舞美と熊野小百合役の富田望生に、稽古の様子や作品に向けての思いを話してもらった。

富田望生 矢島舞美

まどか先生も小百合も物語の中で成長していく

──この作品への出演を聞いたときはいかがでした?

矢島 映画は観ていたので、出演できることが嬉しかったです。でも平山まどか役と聞いて、ちょっとびっくりしました。これまではフラガールの側に近いような役柄が多かったので、教える側なんだ!私にできるかなと。

──矢島さんは℃-uteでもリーダーでしたから、ぴったりだと思います。

矢島 それが自分では、なぜ私がリーダーなんだろう?と思いながらやっていたほうで(笑)。まどかは男になんか負けないというような勝ち気な部分がある人で、私はそういう面は内にはあるとしても表には出せないほうなので。でも突っ張っているまどかはカッコイイなと思いますし、フラガールの子たちに昔の自分を重ねる台詞などは、私にもとても刺さります。

──それは例えばどんなところですか?

矢島 私は2年前に女優の仕事を選んだわけですが、アイドル時代のスポットライトを浴びて歌う感覚とか、舞台から見た客席とか、それは今も記憶に焼き付いていますし、その感覚はSKDのダンサーだった平山まどかの見た光景と重なるんです。だから彼女がそれをずっと引きずっていることも、どこか理解できるんです。

──まどかはそのSKD時代のプライドがあるので、素人の女の子たちを教えることにどこか抵抗があるのですね。

矢島 そうなんです。でも教える中で彼女自身も変わっていくし、成長していく。そして突っ張っていた心がほどけていく。その変化を表現することがとても大事だなと。台詞1つ1つがとても心動かされるし、良い言葉が沢山あるので、それをきちんと伝えたいですね。

──富田さんは故郷が福島だそうですね

富田 はい。常磐ハワイアンセンターは子どもの頃、何度も行きました。なにか良いことがあると家族みんなで行く場所でした。フラダンスが本当に華やかで迫力があって、憧れというか、こんな素敵な女性たちがいるんだという、小さな子が感じるワクワク感があって、それが脳内にずっと残っていました。だから今回、フラガールという言葉だけで、「あ、是非やらせていただきたいです!」と(笑)。

──その華やかな舞台を観たことが、この仕事に入るきっかけになったのですか?

富田 いえ、私はそういう夢は全然なくて、人前に出たいという夢もなかったんです。小学校の学芸会でも裏方で、拍子木を鳴らして「ようっ」と言って終わりでしたから(笑)。東京に引っ越してから、たまたま見かけた養成所の広告を見たことが、この世界に入るきっかけでした。あのまま福島にいたらフラガールのステージに立つこともなかったと思うので、本当に嬉しいです。

──小百合は引きこもりですが、フラガールになったことで表に出ていけるようになります。富田さんは明るくてそういう面はなさそうですね。

富田 でも私、喜怒哀楽が激しくて、楽しいときは楽しいのですが、嫌なときは学校に行かないとかあったんです。だから家から出たくないという気持ちはわからなくもないです。ただ、小百合は学校の同級生が恐いし、人間をどう信じていいのかわからない。そこは想像してつくる感じです。もともと私は映画を観たときから小百合役がとても好きだったので、とても楽しみですし、映画とはまた違う自分の小百合を作れたらいいなと。このメンバーの中で成長していく小百合を、自分の中に見つけていきたいです。

稽古場に向かうときは憂鬱、帰りは気がラク(笑)

──稽古場はどんな雰囲気ですか?

矢島 演出の河毛さんがとても優しいかたで、私たちが稽古をしていて、言い辛そうなところは言葉の順番などを替えてくれたり、別の言葉に言い替えてくれたりするんです。芝居というのは言葉の言い方ひとつ、目線ひとつですごく変わるのですが、色々なことを提案してくれるので、とても有り難いです。

富田 私は稽古場に向かう道中はすごく憂鬱なんです。でも引き返すわけにはいかないので(笑)。逆に稽古の帰りは、すごく気持ちがラクになっているんです。それはきっと稽古している時間の中で、なにか1つ気がラクになる要素を持って帰れているからで。でもそれが何かと聞かれてもこれと答えられるものではないのですが。小さなそれが積み重なっているから本番に行けるのだなと思いますし、1ヶ月という稽古期間で小さな変化を積み重ねていって作る。舞台はそこがとても良いなと思います。

──富田さんは初舞台が昨年の『ハングマン』ですが、いかがでした?

富田 この舞台に出てみて、全く違う作り方だったんだとびっくりしています(笑)。あちらは外国の戯曲を日本語訳で上演したので、まず言葉の意味をみんなが理解するために、最初の1週間半くらいは本読みをしました。ちゃんと解釈をして、言葉を伝えることが舞台の面白さという作品でしたから。今回は、まず全体の動きや立ち位置やダンスなど、動くことから始まったので、まったく違うのが面白いなと。でも最初から台本を離すとは思わなかったので、「わおー!」みたいな(笑)。それから、前回はセットが細かく作られていて、そのセットをどう生かして演技するかという作品だったのですが、今回はセットはほとんどなくて、出演者がどう動いてシーンを作っていくかという舞台なので、そこも新鮮で楽しいです。

──矢島さんは°C-ute解散後、舞台はもう6作目で、今回のプロデューサーで構成演出でもある岡村俊一さんの作品も3作目、岡村組で鍛えられたという感じでしょうか?

矢島 めちゃめちゃ鍛えられました(笑)。1作目の『LADY OUT LAW!』は本当に経験もないままで参加したので、自分ではもっと出来たはずだという悔しさがちょっと残っていたし、もう呼ばれないだろうなと思っていたんです。でも『銀幕の果てに』でまた主役をさせてもらえて。2作目なので共演の皆さんにも思い切りぶつかって行くことができて、本当に育てていただきました。岡村さんの現場はとても話しやすくて、皆さん言いづらい台詞などがあったら遠慮せずに相談に行くので、「あ、こういうふうにしていいんだ」と、私も積極的に自分の考えを話せるようになりました。その経験はほかの演出家の方の現場でも役に立っています。

本当の自分はどれなのか、わからなくなることが

──おふたりは初共演ですが、お互いの印象などは?

矢島 富田さんを稽古で見ていると、映像での経験が豊富で、場を変える、空気を変える力がすごいなと思います。製作発表のときも小百合役になりきって、「緊張で踊れなくなる」というお芝居をしてくれて、おかげで全員の緊張がほぐれました(笑)。そういう力がすごくて、小百合の1発のパンチがみんなの空気を変える瞬間というのが、よくあるんです。

富田 それは一緒に出ている皆さんから、「やってもいいよ」というか「やっちゃいなよ」というのが出ているのを感じるからで(笑)。それに、ちゃんと拾ってくれるので、私も楽しんでやれるんです。稽古中もそういうのが増えてきましたよね。アドリブも増えてきたし。

矢島 うん。すごくチームワークがいいから楽しい。

──富田さんは15歳でデビューして4年目、映画にドラマに大活躍ですが、この世界にはすぐ馴染めましたか?

富田 デビュー作が映画の『ソロモンの偽証』で、服装から髪型から体形から固められて、日常からそのままでいろという演出から始まったので、それがすべての土台になっていますね。最初がそうだったのでそういうものだと。こうしてほしいと言われたらそれをするのが俳優なんだと。

──役柄の幅も広いのに、どの役も自然でなりきっていますね。

富田 自分と似ている役ってやったことないんです。でもそのほうが楽しめますね。ただ、役の期間はちょっと性格が変わっちゃったりするので家族はたいへんです(笑)。部屋で寝なくなったり、ご飯を食べなくなったり、逆に食べ過ぎたり、口が悪くなったり(笑)。それはそれで面白いんですけど、せめて自分でいられるときは真っさらでいたいなと思ったり。でもなかなか自分でいられるときがなくて。

矢島 掛け持ちのときは、どうやって切り換えているの?

富田 現場に行くと監督さんとかスタッフさんがいるから、そこでその役に切り換えるんです。

矢島 どれが自分がわからなくなるとかない?

富田 逆に何作か掛け持ちしているほうが1つの役に影響されないので、自分でいられる時間があるんです。

矢島 私は時々どれが本当の自分なのかわからなくなることがあって。親といるときの自分、友達といるときの自分、仕事場の自分、どれも本当ではないようで、でも、そう考えると本当の自分ってあるのかなと。どれも演じている気もするし。

富田 わかる気がします(笑)。

女性の力で町を復興させていく、笑顔とエネルギーを届ける舞台

──この作品の見せ場であるフラダンスですが、とても難しいそうですね。ダンス経験は豊富な矢島さんにとっても手強いですか?

矢島 手強いです。ダンスの癖が逆に邪魔になるというか、ダンスの場合は上半身も使っていかに格好いい形で踊るかですが、フラは上半身を動かしてはいけなくて、頭の高さはここでキープというのがあるんです。教えてくださる先生を見ていると、胸の下から動かしていて、重心が下にあるんです。だから太腿とかつらいですね(笑)。

富田 痩せますよね(笑)。しかも体が絞られるので綺麗な痩せ方ができるんです。そのぶん休憩に入るとみんなで何か食べはじめて(笑)。とくに私は、女優としてのイメージもあってあまり痩せてはいけないので、一生懸命食べてます(笑)。

──美味しいものがいっぱいありそうな稽古場ですね。では最後に見てくださる方たちにメッセージを。

矢島 私たちが生まれる前のいわきの話ですが、今にも通じることが沢山出て来ますし、女性が今よりちょっと下に見られていた時代に、女性の力で町を復興させていくというのが素敵だなと。登場人物1人1人が色々な事情を抱えているのですが、抱えながらも強く生きていく、乗り越えていく。その姿が見てくれた方の勇気や希望になったり、背中を押す力になったらいいなと思っています。笑顔とエネルギーを届ける舞台です。

富田 有名な作品で私も映画で見ましたが、舞台の生の迫力はまた特別ですし、その興奮は舞台だからこそ味わえるものだと思います。フラが好きな方も映画が好きな方も満足していただける、一緒に踊りたくなるような、そういう舞台を私たちで作っています。ぜひ劇場にいらしてください。

富田望生 矢島舞美

やじままいみ○埼玉県出身。02年ハロー!プロジェクト・キッズに選ばれる。05年アイドルグループ『℃-ute』結成。07年2月デビューシングル「桜チラリ」をリリース。同年末、第58回NHK紅白歌合戦に初出場。2017年℃-ute解散。現在は女優として活躍中。主な出演作品は、ドラマ『グッドモーニング・コール』『プリティが多すぎる』『BLACKFOX: Age of the Ninja』、舞台『LADY OUT LAW!』『銀幕の果てに』『上にいきたくないデパート』など。

とみたみう○福島県出身。映画『ソロモンの偽証』(15年 成島出監督)で映画初出演。1万人が参加したオーディションで、主要キャストの浅井松子役に選ばれる。その後、映画『チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話』(17年 河合勇人監督)、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18年 大根仁監督)といった話題作のメインキャストに抜擢。他にもドラマやTV番組など幅広く活躍中。現在公開中の『HiGH&LOW THE WORST』(久保茂昭監督)12月公開の『男はつらいよ お帰り寅さん」(山田洋次監督)にも出演。

【公演情報】
『フラガール -dance for smile-』
作:羽原大介、李相日
総合演出:河毛俊作
構成演出:岡村俊一
出演:井上小百合(乃木坂46)/矢島舞美/富田望生 /太田奈緒(AKB48)福島雪菜(劇団4ドル50セント)/味方良介、中山優貴(SOLIDEMO)/吉田美佳子、伊藤修子/有森也実/山崎銀之丞 ほか
●10/18~27◎日本青年館ホール
〈料金〉 S席9,500円 A席8,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉Mitt 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
 チケットぴあインフォメーション0570-02-9111(10:00~18:00)
●11/2~4◎サンケイホールブリーゼ
〈料金〉9,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
〈公演 HP〉http://www.rup.co.jp/

 

【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】

 

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