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 歌舞伎座「八月花形歌舞伎」 第一部『加賀見山再岩藤 』に市川猿之助が復帰!

『加賀見山再岩藤』岩藤の霊=市川猿之助(C)松竹

歌舞伎座「八月花形歌舞伎」では、8月20日より休演していた市川猿之助が歌舞伎座 8 月公演「八月花形歌舞伎」の第一部『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』において復帰した。

市川猿之助の出演する『加賀見山再岩藤』は、澤瀉屋の家の芸「三代猿之助四十八撰」の中でも屈指の人気作。
江戸時代に加賀藩で起きた御家騒動を題材とした『鏡山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』の後日譚として、名作者・河竹黙阿弥の手により、安政 7(1860)年に初演。昭和 48(1973)年には三代目市川猿之助(現・猿翁)が台本に大幅な改訂を加え、早替りや宙乗りなどを駆使した新演出で上演し評判を博すると、上演のたびに改訂が施される人気作となった。

当月は従来の通し狂言から名場面を抜粋し、亡霊となってまで恨みを晴らそうとする岩藤のエピソードに焦点を当てた「岩藤怪異篇(いわふじかいいへん)」での上演。スピーディーに展開される物語に、初日以来大きな注目が集まっている。

演出も担う市川猿之助は初日に向けた筋書の演出家挨拶で、「様々な制約の中、今回は亡霊となった岩藤の復讐に焦点を当て、『怪異篇』としてお届けします。コロナ禍に於いては、長時間に及ぶ通し狂言はなかなか上演が難しいですが、逆に、コロナ禍でなければこの『怪異篇』は生まれなかったでしょう。閉塞感漂うこのような時代こそ、マイナスをプラスに変える発想の転換が何より必要なのではないかと、強く感じる次第です。とは言え、一日も早く、お客様の頭上を宙乗りで飛べる日が来ることを心から願っています」と述べていた。

その市川猿之助が 20 日より復帰、第一部『加賀見山再岩藤』は本来の配役での上演となっている。

加賀見山再岩藤』右より、岩藤の霊=市川猿之助、二代目中老尾上=中村雀右衛門(C)松竹

11 時開演の第一部、猿之助は序幕から登場し、元気な姿を見せた。

観客の熱い視線が舞台に集まる中、浅葱幕が振り落とされると、美しく桜咲き誇る花見の場に市川猿之助演じる、多賀家の領主・多賀大領が登場。待ってましたとばかりに、客席からは割れんばかりの大きな拍手が巻き起こります。複雑に絡み合う多賀家の御家騒動を、猿之助が六役の早替りで鮮やかに魅せていく。

多賀大領が舞台上手へ引っ込んだかと思うや、そのすぐ後に舞台下手より御台梅の方として登場。続いて奴伊達平、さらに御家横領を企む敵役・望月弾正、安田隼人、そして岩藤の霊まで、次から次へと男女の役を早替り、客席を魅了していく。

善悪が入り乱れる物語がテンポよく進み、「骨寄せの岩藤」の通称で知られる本作のみどころ、土手に散らばる岩藤の白骨が暗闇の中で集まり、中村雀右衛門演じる二代目中老尾上への恨みを晴らそうと亡霊になってまで姿を現す場面を経て、一幕目のクライマックスでは岩藤の亡霊が在りし日の局姿となり舞台上を“ふわふわ”と宙乗りする場面に、客席からは拍手が鳴りやまない。

扇を動かす仕草ひとつにも客席の反応が見え、猿之助の一挙手一投足に視線が集まる。尾上を草履打ちする場面では、憎々しい岩藤の姿に客席が沸き盛り上がりを見せる。多種多様な六役を早替りで魅せるだけではなく、舞台上で展開されるドラマティックな物語に客席は食い入るように見入っている。幕切れでは、善人に立ち返った猿之助演じる多賀大領が「我も迷いの雲晴れて」の台詞に続け、「めでたいのう」と声をかけると、場内も一体となり、猿之助の復帰を祝すかのようなめでたい空気に包まれ、万雷の拍手が送られた。

『加賀見山再岩藤』右より、望月弾正=市川猿之助、鳥居又助=坂東巳之助(C)松竹

猿之助の代役として、初日から六役早替りの大役を勤めた坂東巳之助は、本役の鳥居又助の初日を迎えた。序幕の登場では、猿之助の演じる望月弾正と相対する場面で盛り上げ、忠義一途に身を挺して御家の危機を救おうとする難役を熱演。熱い思いが込められた巳之助演じる鳥居又助に熱い拍手が送られた。また、初日から鳥居又助を勤め、本日が本役の蟹江主税で登場した中村鷹之資も、序幕で猿之助演じる奴伊達平と立廻りを見せ、勢いのある姿を見せた。

『加賀見山再岩藤』右より、蟹江主税=中村鷹之資、奴伊達平=市川猿之助

「八月花形歌舞伎」は28日まで歌舞伎座にて上演中。

【公演情報】
歌舞伎座「八月花形歌舞伎」
2021年8月3日~28日
※開場は開演の40分前を予定
休演/10日(火)・19日(木)

◎第一部 午前11時~

一、三代猿之助四十八撰の内
加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)

骨寄せの岩藤
多賀大領
御台梅の方
奴伊達平 猿之助
望月弾正
安田隼人
岩藤の霊

鳥居又助 巳之助
安田帯刀 男女蔵
蟹江一角 亀鶴
花園姫  男寅
蟹江主税 鷹之資
局浦風  笑三郎
お柳の方 笑也
花房求女 門之助
二代目中老 尾上雀右衛門

◎第二部 午後2時30分〜

遊亭円朝 口演より
一、真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)
豊志賀の死

豊志賀  七之助
お久   児太郎
新吉   鶴松
噺家さん蝶 勘九郎
伯父勘蔵 扇雀

北條秀司 作・演出
二、仇ゆめ(あだゆめ)

狸 勘九郎
深雪太夫 七之助
舞の師匠 虎之介
揚屋の亭主 扇雀

◎第三部 午後6時~

源平布引滝
一、義賢最期(よしかたさいご)

木曽先生義賢 幸四郎
九郎助娘小万 梅枝
下部折平実は多田蔵人 隼人
待宵姫 米吉
太郎吉 小川大晴(奇数日)
太郎吉 小川綜真(偶数日)
進野次郎 廣太郎
九郎助 錦吾
矢走兵内 片岡亀蔵
葵御前 高麗蔵

伊達競曲輪鞘當(だてくらべくるわのさやあて)
二、三社祭(さんじゃまつり)

〈鞘當〉
不破伴左衛門 歌昇
名古屋山三  隼人
茶屋女房お新 新悟

〈三社祭〉
悪玉 染五郎
善玉 團子

〈料金〉1等席15,000円 2等席11,000円 3階A席5,000円 3階B席3,000円 1階桟敷席16,000円(全席指定・税込)
未就学児童は、満4歳よりお一人様につき1枚切符が必要です。
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹(10:00-17:00)0570-000-489
または東京は03-6745-0888、大阪は06-6530-0333
チケットWeb松竹 検 索
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/722/

【写真提供/松竹】

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