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原田美枝子・八嶋智人・成河らで『桜の園』上演決定!

PARCO劇場開場50周年記念シリーズとして、本年8月に『桜の園』を上演することが決定した。東京・PARCO劇場を皮切りに、宮城、愛知、大阪、広島、福岡と巡演する。

今回演出を務めるのは、現在、イギリス・ロンドンのグローブ座(Shakespeare’s Globe)のアソシエイト・アーティスティック・ディレクター(準芸術監督)を務め、2022年春に近代古典の名作『セールスマンの死』の演出で、高度経済成長期の資本主義の歪みを重ね合わせた斬新な演出により、日本の演劇ファンを唸らせたショーン・ホームズ。『セールスマンの死』では主演の段田安則が、第30回読売演劇大賞 最優秀男優賞を受賞、さらに令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞をも受賞するなど、高い評価を得た。

ショーン・ホームズ

ショーン・ホームズは、2020年の『FORTUNE』ワールドプレミアでの初登場以来、日本での演出が3回目。今回は「チェーホフ四大戯曲」のうちのひとつであり、チェーホフの生涯最後の戯曲である『桜の園』を手掛ける。

サイモン・スティーヴンス

今回、ホームズが上演台本に選んだのは、これまで数々のタッグを組んできたサイモン・スティーヴンスが2014 年に発表したアダプテーション版。日本上演に向けてさらに推敲した台本で、日本の俳優とクリエイティブ・チームと組んでの国際的コラボレーション第3弾で、再び日本の演劇界に旋風を巻き起こす。

女主人のラネーフスカヤ役には、多くの巨匠たちからオファーを受け数々の作品に参加し、その確かな演技力で日本アカデミー賞など受賞歴多数の日本を代表する女優・原田美枝子。2019年の『MOTHERS AND SONS~母と息子~』以来、4年ぶりの舞台出演を果たす。

共演者にも魅力あふれる実力派俳優たちが結集、賑やかな顔合わせが実現した。

幼少からラネーフスカヤを慕っていた実業家ロパーヒン役は、コミカルな演技と軽妙なトークで、舞台やドラマ、映画、バラエティ番組など垣根を越えて活躍している八嶋智人。
新しい思想で娘アーニャに影響を与えるトロフィーモフ役は、ミュージカルから小劇場まで変幻自在に様々な役柄を演じ、昨年末には第57回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した成河。

養女ワーリャ役は、松尾スズキ演出『命、ギガ長ス』(初演/再演)や木野花演出『阿修羅のごとく』など、話題の舞台での好演が記憶に新しい安藤玉恵。
娘のアーニャ役は、ドラマ『アイシテル~海容~』で東京国際フェスティバル東京ドラマアウォード2009 新人賞を受賞し、現在舞台『キングダム』に出演中の川島海荷。

管理人のエピホードフ役は、日本でのショーン演出作『FORTUNE』『セールスマンの死』に続いて出演の若手実力派俳優・前原滉。
娘の家庭教師シャルロッタ役は、独特の存在感で観客を魅了、ミュージカル『おとこたち』(3/12開幕)に出演予定の個性派川上友里。
パリに同行していた若い召使いヤーシャ役は、舞台『ハリーポッターと呪いの子』への出演でも注目を集める竪山隼太。
メイドのドゥニャーシャ役は、栗山民也演出『ザ・ドクター』等舞台の好演が続く若手個性派俳優の天野はな。
近所の地主ピーシチク役は、味のある確かな演技で数々の舞台に出演し、2017年の三谷幸喜版『桜の園』ではロパーヒンを演じた市川しんぺー。

女主人の留守を預かっていた兄ガーエフ役は、多彩な才能で、TV、ラジオだけでなく、映画、舞台、イベント、エッセイ、イラスト、はたまた折り紙など、幅広い分野で活躍、『鷗外の怪談』で第56回紀伊國屋演劇賞個人賞、第29回読売演劇大賞 優秀男優賞を受賞した松尾貴史。
先代から仕える老召使フィールス役は、『獣唄 2021改訂版』『にんげん日記』にて第29回読売演劇大賞 優秀男優賞を受賞した稀代の名優・村井國夫と、舞台のみならず映像でも活躍する素晴らしい俳優たちの顔が揃った。

原田美枝子 八嶋智人 成河 安藤玉恵 川島海荷 前原滉 
川上友里 竪山隼太 天野はな 市川しんぺー 松尾貴史 村井國夫

そして、美術・衣裳には『セールスマンの死』の美術で鮮烈なインパクトを残したグレイス・スマートを再び招聘し、新たな作品世界を創造する。さらには今回も、広田敦郎(翻訳)、小野寺修二(ステージング)、かみむら周平(音楽)をはじめ『FORTUNE』『セールスマンの死』に続いて集結する日本のクリエイターとがっぷり四つに組んだ演出を画策している。

ロシアの劇作家アントン・チェーホフが1903年に執筆、翌年、モスクワ芸術座で初演された『桜の園』。
第一次世界大戦前夜の不穏な世界を予言するようなチェーホフの戯曲は120年の時を経て、新型コロナの感染症に始まり、ウクライナでの戦禍など、当時の不穏な世界の空気に似ていると言われる今こそ、上演するにふさわしいといえる。
社会が急速に変容し、人々がその急流に押し流されそうな現在。私たち同様に「既存の価値観との決別」と「新しい価値観の受容」という課題に直面する『桜の園』の登場人物たち。ショーン・ホームズは120年前の物語が、時代を超え、国境を越え、今なお現代に生きる私たちに問い掛けてくる「声」を掘り起こし、2023年に響かせる。

4幕の《喜劇》と銘打たれた近代劇の代表的傑作は、長年にわたり世界各国であらゆる翻案・演出により上演され続けている。
そして今回、サイモン・スティーヴンスが現在の俳優が語るにふさわしい軽妙な台詞に書き換えながらも、チェーホフが何を表現したかったのかを率直に捉え、戯曲を古典文学としてではなく現在の劇場で上演するものとしてアダプテーションした。
『セールスマンの死』を新たな解釈で魅せたショーン・ホームズが、その演出手腕でどのように立ち上げるのか。ショーンが日本のクリエイティブ・チームと組む国際的コラボレーションの第3弾に期待が高まる。

《あらすじ》
20世紀初頭の南ロシア。サクランボの花は満開だが、外はまだ凍えるように寒い5月。
領主のラネーフスカヤがパリから5年ぶりに、ふるさと“桜の園”に帰ってくる。
帰還を喜ぶラネーフスカヤの兄ガーエフ、養女ワーリャ、老召使フィールス、近くの地主ピーシチクたち。
だが領地を任せたガーエフに経営の才はなく、ワーリャが取り仕切るも、負債は膨らむばかり。借金返済のため、銀行は8月に領地である“桜の園”を競売にかけようとしている。
“桜の園”の農夫の息子だったロパーヒンは今や実業家。彼は桜の木を切り払い、別荘地として貸し出せば、競売は避けられると助言する。
しかし、美しい“桜の園”を誇りにするラネーフスカヤとガーエフは破産の危機も真剣に受け止めようとしない。
以前より管理人のエピホードフから求婚されていたメイドのドゥニャーシャは、ラネーフスカヤに仕えてパリで暮らしていた召使ヤーシャに惹かれるようになる。
一方、競売まで一か月と迫り、ロパーヒンは重ねてラネーフスカヤとガーエフに、領地を別荘地にして競売を避けるようにと説くが、二人は承知せず、あてにならない話にすがろうとする。
母ラネーフスカヤと共に戻ったアーニャは、同行していた家庭教師シャルロッタの無駄なおしゃべりや手品に退屈していたが、大学生であるトロフィーモフが抱く新しい思想に触れて、“桜の園”の外で新しい生き方を選ぶことを考え始めていた。
“桜の園”競売の当日にもかかわらず、相変わらず呑気なラネーフスカヤたち。そこへガーエフとロパーヒンがやってきて、競売の結果を報告するのだが……。

来たるべき新しい時代を見据えて変革を厭わない人々。対して、落ちぶれてもなお、過去にすがり現実を見ようとせず時代の波に取り残される領主貴族たち。それぞれが向かう先とは……。

【公演情報】
PARCO劇場開場 50 周年記念シリーズ『桜の園』
作:アントン・チェーホフ
英語版:サイモン・スティーヴンス
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
出演:原田美枝子、八嶋智人、成河、安藤玉恵、川島海荷、前原滉、川上友里、竪山隼太、天野はな、市川しんぺー/松尾貴史、村井國夫
●8/8~29◎東京公演 PARCO 劇場
※8月7日(月)プレビューオープン
※宮城、愛知、大阪、広島、福岡公演あり

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