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前衛舞踊家・田中泯『村のドン・キホーテ』東京芸術劇場プレイハウスで12月に上演!

地を這う前衛として知られる世界的な舞踊家であり、今年の東京国際映画祭では主演を務めた『HOKUSAI』がクロージングを飾るなど、近年は俳優としても注目を集める田中泯が、満を持して“ドン・キホーテ”に挑む作品『村のドン・キホーテ』が、東京芸術劇場プレイハウスで12月に開催される。

「我は求める。死の中に生を
労(いたつき)の中に健やかさを
獄(ひとや)の中に身の自由を
幽閉の身に舞い上がる翼を」
~ミゲル・デ・セルバンテス『ドン・キホーテ』前編より

人間はなぜ、古代より踊りを踊ってきたのか?  田中泯の活動の根底にある、一貫した「踊りの起源」へのあこがれとこだわりはとどまることを知らず、身体の「生きる場所」そのものにも疑いを持ち、踊り続けてきた。その時々に執着した「形」は、ダンスといわれる枠をはるかに超え、世界中で披露されてきた……。

田中泯 (c) Madada Inc./Rin Ishihara

そんな田中泯が、2006 年以降の劇場公演からの離脱に終止符を打ち、2018 年 11 月、東京芸術劇場の舞台へ「形の冒険」として戻ってきた。さらに2020 年 1 月、『形の冒険Ⅱ  – ムカムカ版』を上演、オーディションで集まった若者たちと協働するという舞台づくりにも果敢に挑戦した。

しかし、その後に全世界を瞬く間に覆った新型コロナウイルス感染拡大。ニューオーリンズ、ニューヨーク、パリ、そして日本各地で予定されていた踊るべき場を奪われた田中泯は、住まいのある山梨で田畑を耕し、作物の種を蒔き、茶を摘みながら、静かに自らと向き合う時間を過ごしていたという。

劇場で踊ることは、どんなダンスでもスタッフが関わる、踊りを共にする者もいる、そうした関係者や観客の安全を考えると、公演をすることに逡巡する思いもあったという田中泯だが、それでも「世界はこれでいいのか、人類はこれでいいのだろうか」という、沸々とたぎる思いを抑えきれず、敢えて再び舞台に立つという決意に至った。

松岡正剛 (c) Tomokazu Sasaki

そんな時、長きにわたって知と身体を巡り、様々な表現、文化、アートの場面で交流を続けてきた盟友・松岡正剛が自著新刊『千夜千冊エディション  物語の函』の口絵撮影を田中泯に持ち掛けた。その『物語の函』の内容は、オデュッセイアー、神曲、リア王、ドン・キホーテ、カラマーゾフの兄弟──ギリシア古典からロシア文学まで、まさに松岡の世界読書術の極みというべき知のタペストリー。松岡はその口絵で田中泯をドン・キホーテとして登場させた。セルバンテスの創造したドン・キホーテの世界、それは単なる奇矯な人物の冒険譚ではなく、尊厳ある人間の観念を通して見た社会の矛盾や不合理 への批判にこそあり、まさに田中泯がその“オドリ”を通して希求してきたものでもあった。

『意身伝心 コトバとカラダのお作法』という濃密な対談本を出している松岡正剛と田中泯、2015年にはパルコ劇場で『影向 yowgow』という舞台を共にしていた二人にとって、まさにこの瞬間、運命の羅針盤は「ドン・キホーテ」を示していたのだ。トポスに踊る田中泯、ロゴスに遊ぶ松岡正剛。ダンサーと編集工学者、“意身伝心1”の二人によるコラボレーションは、どんな「見果てぬ夢」を描くのだろうか。

【公演情報】
芸劇 dance
田中泯 『村のドン・キホーテ』Yo,  Don Quixote
空間演出:田中泯
言語演出:松岡正剛
出演:田中泯 石原淋/
続木淳平 手打隆盛  高橋眞大 野中浩一 藤田龍平 山本亮介
チェロ演奏:四家卯大/  佐々木恵 友田唱 平間至
●12 月 4 日19:00/5 日15:00/6 日15:00◎東京芸術劇場 プレイハウス
〈料金〉一般5,000 円 65 歳以上3,500 円  25 歳以下2,500 円 高校生以下1,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉東京芸術劇場ボックスオフィス  0570-010-296(休館日を除く 10:00~19:00)
〈劇場HP〉 https://www.geigeki.jp/t/

 

 

 

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