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前川知大の新作『終わりのない』世田谷パブリックシアターにて開幕!

古代と未来の往還、日常と宇宙を繋げる旅。そこで人はなにと出会うのか――

劇作家・演出家 前川知大(イキウメ)×世田谷パブリックシアターのタッグによる期待の新作『終わりのない』が10月29日、世田谷パブリックシアターで開幕した。

小泉八雲の怪奇文学作品集「怪談」の短編5編を、“語り物”の手法を取り入れて構成した『奇ッ怪~小泉八雲から聞いた話』(2009年)。能や狂言の手法を取り入れ、現実と夢幻が交錯する世界を現出させた『現代能楽集Ⅵ 奇ッ怪 其ノ弐』(11年)。岩手県遠野地方に伝わる逸話・伝承を記した柳田国男の説話がモチーフとなった『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』(16年)──。劇作家・演出家 前川知大(イキウメ)×世田谷パブリックシアターのタッグによって生み出されてきた作品群に、今秋、新たな1ページが加わる。その待望の最新作は、『終わりのない』。
古代ギリシャの叙事詩 『オデュッセイア』を原典としたSF作品だ。

 

 

【あらすじ】
18歳の悠理は旅の途中で目的地を見失い、立ち止まっていた。
自分はなぜここにいるのだろう。
悠理は自分の人生を振り返ってみる。
短いけれど、沢山の楽しいことや辛いことがあった。
恋愛もした。
死にかけたこともあった。
尊敬できる両親に、いつも気にかけてくれる友達もいる。
かつて僕は世界と一体で、完全だった。
でも今は違う。
ある日、悠里は両親と友達に、湖畔のキャンプに連れ出される。
立ち止まったままの悠理には、時間だけが通り過ぎていくように思える。
過去に思いを馳せていると、いつの間にか悠理の意識はキャンプ場を離れ、見知らぬところで目を覚ます。
そこははるか未来の宇宙船の中。その船は人類の新たな故郷を目指して旅を続ける、巨大な入植船だった。
32世紀のユーリとして目覚めた悠理は、自分が誰で、どこにいるのかも分からない。
宇宙船から逃げ出した悠理の意識は、宇宙空間を漂い、地球によく似た見知らぬ惑星で目を覚ます。
自分そっくりの肉体の中で。
奇妙な旅を経て、悠理の意識は再びキャンプ場に戻ってくるが、その世界は自分の知っている世界とは少し違っていた。
自分はなぜここにいるのだろう。
帰りたい。
悠理は自分の世界で、目的地を探そうとする。
始まりもなければ、終わりもない。時間と空間。無限の世界。
命は繰り返され、つねに旅の途中にある。
歴史はいつ始まり、物語はいつ終わるのか。
旅、世界、物語。終わりのない。

 

出演者は前川作品初登場の、山田裕貴(悠理役)と奈緒。また、これまでもイキウメ作品に出演してきた清水葉月、村岡希美のほか、安井順平、浜田信也、盛 隆二、森下 創、大窪人衛のイキウメ劇団員が全員顔を揃えている。そして「奇ッ怪」シリーズほか、前川作品には欠かせない存在の仲村トオルが新たな魅力で参加している。

【コメント】

その公演で脚本・演出を務める前川知大と出演者の山田裕貴・奈緒・仲村トオルによる、初日を終えた心境や作品の魅力を語ったコメントが到着した。

前川知大(脚本・演出)
カーテンコールの瞬間に、お客様に伝わった感覚がありました。今回の作品には沢山のテーマが含まれているけれど、お客様それぞれに受け取るところがあると思います。
当然舞台は言葉で台詞で説明をしていくけれども、お客様には何を伝えたいというよりも「体感」してほしくて、今回のテーマじゃないけれど、観てる人の無意識に届けばいいなと思っています。
そういう点では、多くは説明しない、シンプルで、ただドーンと大きな玉をお客様の心の中に投げるような美術もすごく合っていて、是非体感しに来てほしいです。
もっともっと良くなっていくと思う。良い初日でした。

山田裕貴[ユーリ/川端悠理役]
“終わりのない”旅が、舞台が、始まったっていう感じです。自分が届けられるものを探しながら、お客さんに何を持って帰ってもらえるだろう、という旅ですね。とにかく、感想が気になります。今回の稽古場は“おウ
チで一緒にお芝居のことを考えている”ような感覚でした。それぐらいあったかいし優しい時間が流れていて、居心地が良かったです。
僕がこうやって世田谷パブリックシアターに立てているなんていうのは、もう想像もしていなかったので、そこにも感動を覚えています。本当に観てもらうだけで感謝ですし、お客さんの心に届くものになればと願って一生懸命やるので、皆さん、何か持って帰ってほしいです。

 

奈緒[アン/能海杏役]
舞台って、始まったらみんなで突っ走って終わってしまうんだな、と感じています。お客さんの反応がない中で稽古をしていて、「ああ、こういうところで笑ってくれるんだ」とか「こういうところで反応が返ってくるんだ」というのがすごく新鮮で、お客さんが作っていくってこういうことなんだな、と思いました。
前川さんの作品は、本当に不思議なのに、最後に「ああ自分の話だな」と思えるくらい引き込まれるところがあって。自分がその中に参加させてもらって、初舞台で前川さんとご一緒できて、本当にしあわせな気持ちでいっぱいです。
この作品は、観てくださる方がいて、みんなで一緒に旅をしていくような舞台となっていると思います。ぜひ劇場で私たちと一緒に旅をして下さい、

 

仲村トオル[シロウ/山鳥士郎役]
稽古場の後半から、多分これは素晴らしいものになるだろうなと感じていて、今日初日を終えて、やっぱりその通りだったと思いました。
最初にこの話を聞いた時は、神話、神様、宇宙、と壮大な風呂敷を広げたなと思いましたけど、「神と人類」の話であり「親と子」の話でもあるので、壮大でありながら、本当に身近な芝居になったと思います。誰もが親がいる、誰もが誰かの子である。誰も人ごとではない芝居なので、皆さんに何か感じるものがあると思います。
個人的なことを言えば、2005年に初めて世田谷パブリックシアターの舞台に出て以来、前川さんの「奇ッ怪」シリーズをはじめ様々な演出家の方の作品に出たりと、とにかくここには良い思い出しかないんです。きっと今回もそうなるんだろうなと感じています。

【公演情報】
世田谷パブリックシアター+エッチビイ『終わりのない』
脚本・演出:前川知大
原典:ホメロス「オデュッセイア」
監修:野村萬斎
出演:山田裕貴 安井順平 浜田信也 盛隆二 森下創 大窪人衛/奈緒 清水葉月 村岡希美/仲村トオル
●10/29~11/17◎世田谷パブリックシアター
〈料金〉一般S席(1階席・2階席) 7,500円  A席(3階席) 5,500円/高校生以下S席 3,750円 A席 2,750円/U24 S席 3,750円 A席 2,750円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)他各種割引あり
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515(10:00~19:00)
〈HP〉https://setagaya-pt.jp/performances/owarinonai20191011.html
●11/23・24◎兵庫 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
●11/30◎新潟 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場
●12/4◎宮崎 宮崎メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)
 

世田谷パブリックシアター+エッチビイ『終わりのない』/撮影:田中亜紀

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