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タクフェス第10弾『ぴえろ』上演中!


従来の演劇の枠にとどまらないエンターテインメント、宅間孝行がプロデュースするステージの第10弾が10月7日に東京・サンシャイン劇場で幕を開けた(16日まで。こののち札幌から福岡まで8都市で上演)。

今回も開演前の20分ほどはキャスト数人が客席と交流する。トークでじゃんけん企画を用意したり写真撮影OKコーナーを設けたりと趣向を凝らしていた。早めに席につけば始まるまでの時間も楽しめる。

作品は、宅間の作・演出で2001年、2005年に上演しテレビドラマ化もされた『ぴえろ』で、タクフェスには珍しいサスペンスコメディだ。

間抜けなコソ泥コンビの沢木(宅間)とヤス(佐野和真)は盗みに入った蔵前の寿司屋で思わぬ事態に陥ってしまう。寿司屋の姉妹(鈴木紗理奈、三戸なつめ)、見習い職人(竹内茉音)、隣家の夫妻(モト冬樹、柴田理恵)らとの交流で二人の心には何が芽生えるのか。

そこへヤクザな男とその女(浜谷健司、太田奈緒)が現れて店はピンチに。沢木に興味津々の花屋(太田/二役)や沢木を怪しむ刑事(浜谷/二役)も絡んで物語の行方は……。

『ぴえろ』の魅力は宅間の描く人間味ある登場人物とストーリーの面白さに加え、俳優の演技の凄みを堪能できるところだろう。優れた戯曲は結末がわかっていても面白く観られるものだと再認識させられる舞台になっている。

また、芝居だけでなくカーテンコール後にはダンスタイムが付いてとことん魅せてくれる。モト冬樹がギター演奏、他全員の激しいダンスも見逃せない。

写メタイムを作るなど、演劇の新しい形を長く模索してきた宅間が「お客様を楽しませるため」のフルサービスを提供するタクフェス。期待を裏切らないステージを体感したい。

【取材会】
この舞台の初日前日に公開ゲネと取材会が行われた。

──初日を明日に控えた気持ちは?
佐野和真/川村靖役
宅間さんの舎弟として寿司政にくる役で、1ヶ月とスピンオフを含めて積み重ねてきたものを出せるのが楽しみです。緊張もありますが、緊張3、楽しみ7くらいの感覚です。今日も(ゲネを)やって、すごく嬉しいです。一所懸命やりたいと思います。

宅間孝行/沢木裕次郎役
随分久し振りにやりますが大事な作品で、この新しいメンバーで皆さんにご披露できるのを嬉しく思っています。宣伝してほしいけどネタバレするなとお願いしちゃうことになります。そういうと何も載せられなくなっちゃうから困ったところです。

鈴木紗理奈/大友秋子役
今回の役どころは普段やらせていただく役とはかなり違う初めての役どころだったのですけど、宅間さんが1ヶ月真剣にお芝居に向き合わせてくれる稽古場でした。素っ裸になって飛び込むくらい信頼しています。1ヶ月、みんなで丁寧に作ってきた作品です。たくさんの人に観ていただけたら嬉しいです。

浜谷健司(ハマカーン)/小野寺役・広岡役
広岡役と刑事の小野寺役の二役をやらせていただいています俳優の浜谷健司です(「芸人だろ」とツッコミが入る)。この『ぴえろ』という作品大好きで演じていても2回目3回目と楽しみ方があるなと思います。次は沢木目線で観たり、秋ちゃん目線、春子目線で観たりして楽しめる作品です。広岡目線もありです。あと関西弁にチャレンジしているので、気合い入れてやりたいと思います。

三戸なつめ/大友春子役
お姉ちゃん(鈴木紗理奈)と姉妹で演じさせていただくんですけど、前回は恋敵の役でした。今回は姉妹愛をどれだけお届けできるかを頑張って、皆さんに温かい気持ちになっていだけたら嬉しいと思います。

太田奈緒/エリカ役・本庄純役
エリカと本庄純の二役をさせていただきました。本当に宅間さんの稽古についていくのが必死だったのですが、やっとここまで来られました。本当に温かくてこういう環境に居られることがありがたいと思っています。皆さんの足を引っ張らないように精一杯ついていければという思いです。

竹内茉音/明菜役
今回、金髪で下町のヤンキーを演じさせていただきました。明菜がすごく気合の入った女の子なので、明日からも気合いを入れて頑張りたいと思っています。

柴田理恵/藤原セツコ役
隣の銭湯のお母さんセツコをやりました。夫のモトさんと共に寿司政を守りに守るという役で、下町人情、人の情愛みたいなものをやれたらいいなと思っております。宅間さんの作品には何本か出させていただいていて、いつも「人を楽しませる」「あっと驚かせる」「楽しんでいただこう」という工夫がいろんなところで細かく出されています。きっと楽しんでいただけると思います。最後までこの役として生き抜いていきたいと思っております。

モト冬樹/藤原源太役
富士の湯の主人をやらせていただいています。タクフェスに何回か出させていただいてますが、今回はチームプレーが大変で血の出るような稽古をしてきました。いつもはあまり言わないんですけど2回3回観ていただいて楽しめる舞台になっております。特に「アレっ、あんな細かいことやっていたんじゃないか」というところを見ていただけたら。具体的にはそうですね、タオルを取ったりつけたりで仕事して帰ったなとかを表しています。色々楽しみ方があるので、楽しんでください。

──宅間さん、この作品を上演するきっかけは?
宅間 特にありません。思い入れはあります。いまなぜこれを?と聞かれるんですが、特段別に。

鈴木 そうなんですね、どうやって選んでいるんですか?

宅間 そろそろアレやっていないからやろうかな、来年新作やろうかなとか。お客さんが泣ける作品をすごく求めてらっしゃっていて、あまり号泣できないと許してもらえない空気が昨今漂っておりまして……。この作品は切ないというよりはサスペンスで、最近の本流から若干外れているかなというところがあります。でも、ずっとやりたかったんです。旧いお客様からのどうしてもという声もありまして、満を辞して、『ぴえろ』をやろう!って思っちゃった。

鈴木 じゃあ今回お客様の声があって再演が叶ったという感じで書いていただいて……。

浜谷 文章はこの人たち(客席の記者陣)が考えるんだから!

宅間 お客さんの熱い要望に応えたかたちで今回再演することになりました(笑)

──佐野さん、6年ぶりの舞台出演の手応えはいかがでしたか?

佐野 宅間さんが怖いという話はちらほら入ってきていたんですが、怖いというより愛情がすごくあって。例えるならサウナだなと思いました。やっている時、稽古中は熱いじゃないですか。出たら「はぁーっ」て感じでスッキリする、そんな感じです。

宅間 暑苦しい?

佐野 いや、暑苦しくはないです。

鈴木 心の汗をいっぱいかくね。(心の汗は涙じゃないかと突っ込まれ)今回は誰も泣いてないよね!

宅間 そういうのが記事になるからやめて!

一同 (爆笑)。

──いま皆さんに披露したいなと思っていることは?

佐野 一番はお客さんのことを考えるということです。そこに対しての熱量をたくさん感じて、お芝居も頑張らなきゃなということですね。

鈴木 テンポ感がすごく速いので、色々準備が頭の中でごっちゃになることがあるんですけど、寿司政のチームプレーでみなさんを巻き込んでいきたいです。

柴田 あれ全部計算なんだろうね。動きも緻密に考えられている。

──太田さんも毛色の違う役だったと思います

太田 関西弁は京都出身でもともとだったのですが、本庄純の方は広尾にお住いのお嬢様なのでそれがすごく難しいなと思いました。

──稽古のご様子など教えてください

柴田 若いって素晴らしい。そして、宅間さんがみんなの芝居を一つ一つつけながら、全部愛情を持ってものすごい熱量でやっているっていうのは素晴らしいことです。それに応えているみんなもすごいと思っています。

鈴木 普通手を抜いてもそんなにバレないじゃないですか。すぐバレる。

一同 (笑)。

鈴木 手を抜いたことはないですけど、ちょっと疲れちゃったなみたいな時。

宅間 はははは!

──紗理奈さんもいつもと違う役だったと思うのですがいかがでしたか?

鈴木 私はテレビのバラエティが仮の姿で本来はこういう女性なんです。全然役作りも何もせず……(笑)

宅間 茉音のやっている役にも「ちげえんだよ」って……

鈴木 そうなんですよ。ラリルレロを舌を巻かないから最初に注意しました(笑)。

──最後に皆様にメッセージをお願いします

宅間 今回スピンオフドラマを作りました。3~5分を19本。TikTokとYouTubeで無料でご覧いただけます。来る前にそれをご覧いただくと、より楽しく観られます。あと2本あったのですが、柴田さんが病気で出られなくなりましてモトさんもやりたがっていたのに幻の2本になりました。

鈴木 それをうまい具合にみなさんのプロの文章の筆力で「舞台の前にドラマ見るなんて新しい」みたいに書いていただいて。

モト 大将が生きていますんで。

宅間 寿司屋の大将は金田明夫さんにお願いしまして、秋ちゃん春ちゃんのお父さん役でスピンオフだけ出てもらっているという贅沢なことをしております。芝居をどんなものかなと思う方はスピンオフから見て、来ていただきたいなと思います。

 

話題のスピンオフドラマはスマホで見やすい縦仕様で観劇前はもちろん観劇後に見ても楽しい前日譚が満載となっている。(http://takufes.jp/pierrot/

【公演情報】
タクフェス第10弾『ぴえろ』
作・演出:宅間孝行
出演:宅間孝行 佐野和真/鈴木紗理奈 浜谷健司(ハマカーン)/三戸なつめ 太田奈緒 竹内茉音
柴田理恵/モト冬樹
西村佳祐 真田和輝
※※名古屋公演の大友秋子役は梅宮万紗子
●10/7~16◎東京公演 サンシャイン劇場
〈料金〉S席8,900円 TAKUFESシート6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
●10/22◎仙台公演 電力ホール
●10/25◎青森公演 弘前市民会館
●11/5◎福岡公演 ももちパレス
●11/18~19◎札幌公演 道新ホール
●11/23~27◎大阪公演 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
●12/3◎足利公演 あしかがフラワーパークプラザ(足利市民プラザ)・文化ホール
●12/9~11◎名古屋公演 ウインクあいち(愛知県産業労働センター)
〈公式サイト〉http://takufes.jp/pierrot/

 

【取材・文/佐藤栄里子 舞台写真/友澤綾乃】

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