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サファリ・Pの新作『透き間』2都市ツアーを京都・東京にて上演!

京都を拠点に活動する劇団 サファリ・Pは、新作『透き間』を、本年3月4日~5日に京都府立文化芸術会館にて、3月11日~13日に東京芸術劇場 シアターイーストにて上演する。

サファリ・Pは、パフォーマーに俳優とダンサーが混在していることを活かし、身体と最小限の舞台美術、最小限のテキストのみを使用し、文字だけで立ち上がっていた原作世界の、意外な、しかし間違いなくそこにある要素を立ち上げることを得意とするカンパニー。

これまでにテネシー・ウィリアムズやアゴタ・クリストフ、江戸川乱歩らの作品に取り組んできたサファリ・Pが今回取り上げるのは、アルバニアの代表的な作家イスマイル・カダレの小説『砕かれた四月』(Ismail Kadare, Prilli i Thyer)。

約2年間の準備過程の中で、バルカン半島に住む人々への聞き取りや、研究者を招いての研究会を行い、また2021年1月には『砕かれた四月 ‐プロトタイプ‐』と題して、その中間的な成果をTHEATRE E9 KYOTOにて発表してきた。

『砕かれた四月』プロトタイプ 2021年1月上演@THEATRE E9 KYOTO 撮影:松本成弘

『砕かれた四月』プロトタイプ 2021年1月上演@THEATRE E9 KYOTO 撮影:松本成弘

『砕かれた四月』プロトタイプ 2021年1月上演@THEATRE E9 KYOTO 撮影:松本成弘

本作は、カダレの小説を出発点としつつも、それを原作として舞台化するのではなく、山口茜によるオリジナル作品として書き下ろされる。原作に描かれる死に見つめられた男、傷痍軍人であった山口自身の祖父、本作の準備過程で行ったコソボ紛争体験者の若者との対話。これらの交錯する物語を通して、”名も声も姿も残らなかった人々の語る戦争”に耳を傾けることはできないかという問いに向き合う。

【あらすじ】
殺し合いが義務付けられた世界で。
人殺しを免除してもらおうと市役所に相談にやってきた男。しかし窓口の職員は冷淡に陳情をはねつける。諦めずに通ううち、職員もまた、この掟に翻弄されてきたことがわかり……。

【コメント】
演出家・山口茜

死者の語る戦争
『砕かれた四月』は、古から続く掟(カヌン)により仇討ちが義務付けられた場所で、死を宣告された男と、彼を想う既婚女性との出会いと別れを描いた小説のタイトルである。2020年から2021年にかけて、サファリ・Pは、この小説をモチーフに創作した小作品を発表した。この小説に惹かれたのは、現代もまだ、この掟が続いているからだ。小説を読み込むうち、死に見つめられた若い男とそれを取り巻く人間模様が、日本の特攻隊と似ていることに気がついた。

2020年夏には、20年前におきたコソボ紛争を実際に体験した若者と、戦争を体験していない私たち日本人との対話を行った。そこで私は、必死で目新しいことを聞き出そうとしている自分に気付いてしまう。正直にいって、実際に経験した人の話であるにもかかわらず、そのどれもが、書物で読んだことのあるものだった。それは私にとって「刺激的」ではなかった。そのことに失望すると言う私の情けなさと、戦争の加害・被害は、不思議と似通るのだと言うこと、この2点が明らかになった。

そこでようやく気がついた。
私たちの知る戦争は、主に生き残った人によって語られたものだ。あるいは死んでしまったとしても、遺書や写真を遺した人々の名や声や姿、それを私たちは戦争と呼んでいる。しかし実際にはほとんどの亡くなった人々が、ただ死んでいった。彼女ら、彼らは何も遺さないので、私たちは何が起きたのか、知ることができない。

今、私たちの課題は、名も声も姿も残らなかった人々の語る戦争に、耳を傾けることではないか。しかし死んだ人は、語らない。では私たちは一体、何に耳を傾けるのか。声なき声に耳をすまし、姿なき姿に目を凝らし、もう誰も呼ぶことのない名を口にする、とはどう言うことか。

私には、傷痍軍人として帰国しながら、死という猿轡をかまされた祖父がいる。彼は何も語らず、語ることを許されず、廃人のように死んでいった。そのことが今の私の生につながっている。彼に取材してみてはどうだろうか。
死に見つめられた男、目新しく残虐で酷く悲哀に満ちた言葉を求める私、そして語らない祖父。この作品はこの3つのクロストークで進んでゆく。

【公演情報】
サファリ・P 第8回公演『透き間』
イスマイル・カダレ『砕かれた四月』より
上演台本・演出:山口茜
作曲:増田真結
振付:足立七瀬
出演:高杉征司・芦谷康介・達矢・佐々木ヤス子・大柴拓磨
●3/4・5◎京都公演 京都府立文化芸術会館
〈一般発売日〉1月29日(土)10:00
〈公式サイト〉http://stamp-llc.com/safari_p/
〈公式Twitter〉https://twitter.com/stampllc

●3/11~13◎東京公演(芸劇dance) 東京芸術劇場シアターイースト
〈料金〉一般/前売 3,500円 当日 4,000円 U25/前売 2,500円 当日 3,000円(整理番号付き自由席・未就学児入場不可)
〈一般発売日〉1月29日(土)10:00
〈芸劇先行〉(WEB先着/東京のみ)1月22日(土)10:00
〈チケットお問い合わせ〉東京芸術劇場ボックスオフィス(東京のみ)
電話:0570-010-296(ナビダイヤル)(休館日を除く10時~19時)
窓口: 休館日を除く10時~19時
Web:http://www.geigeki.jp/t/  *24時間受付(メンテナンスの時間を除く)

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