KAAT公演 コクトーの『恐るべき子供たち』が白井晃演出で開幕!

白井晃 松岡広大 南沢奈央 柾木玲弥 馬場ふみか
KAAT神奈川芸術劇場芸術監督の白井晃が、就任以来取り組んでいる近現代戯曲を現代視点で蘇らせるシリーズ。4月に上演された『春のめざめ』の再演に続いて、『恐るべき子供たち』がKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオで上演中だ。(5/18・19プレビュー公演、5/21~6/2)
本作『恐るべき子供たち』は『春のめざめ』同様、思春期の少年少女を主人公に、フランスの詩人・小説家・劇作家にジャン・コクトーが1929年に上梓した中編小説で、コクトーの代表作の1つ。小説だけでなく、詩、映画、批評などあらゆるジャンルの文学に精通しているコクトーの作品の中でも、古典文学の悲劇を思わせるという点で最もコクトーらしい作品とも言われている。
演出は白井晃、上演台本はノゾエ征爾、出演者は子供たちに南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大、馬場ふみか、それを囲む大人たちに、デシルバ安奈、斉藤悠、内田淳子、真那胡敬二という顔ぶれだ。
【あらすじ】
美しくも残忍で傲慢な姉エリザベートと、青白い肌の美しい弟ポール。ある日、雪合戦の最中、憧れの同級生ダルジュロスが投げた雪玉がポールに命中し怪我を負う。ポールの友人・ジェラールは、ダルジュロスが故意に雪玉に石を入れたと主張するが、ポールはダルジュロスをかばう。その怪我が原因で、ポールは学校に通うことが出来なくなり、家で自由気ままな日々を送る。
病気の母が亡くなり、モデルとして働き始めたエリザベートは、モデル仲間のアガートを時折家に招くようになる。ポールはダルジュロスに似たアガートに密かに思いを募らせるが、姉に悟られまいと、あえて彼女を邪険に扱う。やがて、エリザベートが、亡くなった夫の莫大な遺産を継ぐと、エリザベート、ポール、ジェラール、アガートの4人の奇妙な生活が始まる。
【コメント】
その初日に先駆けて、5月17日に公開ゲネプロ及び囲み取材が行われ、出演の南沢奈央、柾木玲弥、松岡広大、馬場ふみか、演出の白井晃が登壇した。

南沢奈央(エリザベート役)
カンパニーとしては和気あいあいで、皆さんが今回適役で、普段のポジションも役のポジションに沿っているようで、例えば柾木さんは本当の弟のようで、ちょっと優しくしようとすると照れて、のど飴あげると言ったのに「いらない」と返されて、「受け取ってよ~」というやりとりがあったり(笑)、松岡さんは最年少なのにしっかりしていて、皆の間を取り持ってくれて本当に助かりました。馬場さんは、異なる二役を演じているのですけれど、まったく違う雰囲気で、私も楽しませてもらっていますし、お芝居がとても好きなのだなあと感じます。
私が演じるエリザベートは、これまであまり演じたことのない役柄なのですが、稽古が始まってキャストの皆さんと打ち解けて、遠慮しなくなったころから何かが変わりました。その頃に、白井さんからも「エリザベートらしくなった」と言っていただけて。稽古をしていく中でいろいろな発見があったり、白井さんからのヒントを頼りに役を作り上げてきた感じです。
照明や装置から音楽、キャストやスタッフの皆さんも含めてとても素敵な環境で作品に携わらせてもらっているなと思っています。こんなにセットの何もない舞台は初めてで、まるでリングに立たされているよう(笑)。子供時代の雪合戦のシーンから物語が始まるのですが、そこから私たちも全力なので、そして最後までそのエネルギーに満ちた状態で終える作品にしようと思っていますので、ぜひ劇場に足を運んでください。

柾木玲弥(ポール役)
(製作発表時には、これから本をよく読みこむと。また稽古場では普段もまるでポールのようだったと。役をつかむことが出来たのか?)何かのきっかけがあってということではありませんが、稽古で皆さんと合わせていくうちにだんだん自分の中でポールができあがってきたと思っています。ぜひ劇場に、生の舞台を体感しに来てください。

松岡広大(ジェラール役)
今回、ストレートプレイに初挑戦ですが、一つ一つの言葉の意味を理解して、これまで以上にエネルギーを使って大切に演じていかないと、と感じています。これまでのミュージカルでも勿論大事にしてきましたが、より言葉の大切さを意識していかないと、伝えたいこと、この作品の良さがお客様に伝わらないのでは…と思っています。明日からのプレビュー公演で「表現の幅」をもっと広げて臨みたいです。

馬場ふみか(ダルジュロス/アガート 二役)
(二役演じることの面白さや難しさは?)二つのまったく異なる視点から、この作品を考えられるこという面白さがあります。一方で、ワンシーンごとにその切り替えをしなくてはいけませんので、スイッチングの難しさを感じました。ぜひ二役の違いにも注目していただきながら、この作品全体を楽しんでもらえれば嬉しいです。

白井晃(演出)
『恐るべき子供たち』は、『春のめざめ』に続いて思春期にある人たちの心の状態を表現する作品です。ですが、大人になる途上での葛藤や苦悩を描いた『春のめざめ』に対して、この作品は大人になることを拒否している子供たちが、それでも大人にならざるを得ない自分を殺してしまうという、全く違うアプローチになっています。上演台本を小説から戯曲化してくださったノゾエ(征爾)さんは、ジェラールの目線で描いてくれて、そこが面白いと思いました。
今回のキャストの皆さんはとても大人に感じました。俳優としても真面目ですし、こちらの要求に対してレスポンスも早くて、むしろそれだけこちらの要求も多くなってしまって(笑)。プレビュー公演を経て、もっとブラッシュアップしていきたいと思います。

Tweet