『志らくひとり舞台』舞台フォト到着!
全身落語家立川志らくの『志らくひとり舞台」が4月22日・4月23日、下北沢・本多劇場で上演された。
今回は昨年上演した新作落語「不幸の伊三郎」の続編にあたる「不幸の家族」 で、落語的演出・了見で挑む。志らく憧れの向田邦子の「あ・うん」をリスペクトした男の友情物語である。
志らくが演劇で、但し普通の演劇ではなく、落語家の了見で、落語的演出で演劇を越えた、これこそ現代の新作落語と呼べるエンターテイメントを作り上げている。
「不幸の家族」とは…
2025年の物語。第三次世界大戦へ突入寸前の日本。初老の二人の男の物語。日常のちょっとした不幸の連続が彼らにとっては戦争よりも重大な出来事であった……
2016年に主宰する劇団下町ダニーローズでこの「不幸の家族」を公演。出演は立川志らく、モロ師岡、ぜんじろう、他。喜劇、人情噺、ラブストーリー、サスペンス、イリュージョン、落語、ナンセンス、毒舌、社会風刺、狂気、涙、あらゆる要素のつまったエンターテイメントとして高く評価を受け、翌年2017年も再演。その「不幸の家族」をひとり舞台に仕立てている。
立川志らくは、年間約200本の高座、テレビはレギュラーのTBS「ひるおび !」以外に100本以上の番組に出演、キネマ旬報をはじめとする連載を月4本、昭和歌謡にも造詣が深く、昭和歌謡曲博士、さらには寅さん博士の異名も持つ。平成30年度文化庁芸術祭で優秀賞を受賞、キネマ旬報ベストテンでは5回目となる読者賞を受賞した。来年2020年に落語家生活35年を迎える。
【立川志らくコメント】
どんなに素晴らしい新作落語を作っても評価の上において古典落語を凌駕出来ない原因は、古典落語のスタイルの中でやっているからだと思います。座布団に座って扇子と手拭いを使って上下を切って喋るのは古典落語のスタイル。
この問題を打破するために着物を現代的にアレンジしたり、高座の上で転がってみたり、柳家花緑のようにスーツ姿で椅子に腰掛けて語ってみたり、色々ありました。
私の出した答えは「落語はひとり話芸の元祖であり極みである」です。だからあらゆるひとり芸の要素を駆使して表現してみました。講談で使用する釈台を用い、時には立ち上がってひとりコントの要素を入れ、ひとり芝居のように一人称で会話を成立させ、楽器の演奏を自らおこない、語りの部分も入れ、演劇のように音楽や照明も使い、勿論古典落語の上下を切る表現方法も使う。そして出来上がったのが新しい新作落語、つまり現代落語です。
初演は2016年の「不幸の伊三郎」。今回上演する「不幸の家族」は2016年に上演した志らく演出脚本主演、下町ダニーローズの「不幸の家族」の落語版です。初演は2017年。「不幸の伊三郎」の続編に当たります。
このあらゆるひとり芸の要素をベースにした現代落語は従来の落語ファンも落語としてそれほど違和感なく聴け、落語未体験の人には古典落語のルールがないので新しいひとり演劇としてすんなり観る事が出来ると評判になりました。
ちなみに「不幸の伊三郎」は平成30年度文化庁芸術祭において優秀賞を受賞しました。
【公演情報】
『志らくひとり舞台』
トーク「志らく 半生を語る」 ひとり芝居「不幸の家族」
作/演出 立川志らく
●4月22日・4月23日◎下北沢・本多劇場
Ⓒ小川峻毅
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