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『オリンピックコンサート』開催中! 9年連続ナビゲーターを務める藤本隆宏インタビュー

本年1月に行われた東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに『オリンピックコンサート2020 プレミアムサウンドシリーズ』が名古屋、広島、大阪、仙台、札幌で開催されている。オリンピックコンサートは、1997年から6月23日のオリンピックデーを記念して毎年東京で開催されてきたが、2020年は「輝く夢に向かって」をテーマに全国6都市で7公演が上演される。

今回、愛知芸術劇場コンサートホールの公演終了直後に、9年連続でナビゲーターを務める藤本隆宏に話を聞くことができた。自身もソウルオリンピック、バルセロナオリンピックの2大会に競泳選手として出場した経験があるオリンピアン。オリンピックコンサートやオリンピックへの想いを語ってもらった。

オーケストラが奏でる音楽だからこそ、オリンピックの映像とうまくマッチできる

──素晴らしいコンサートでした。『オリンピックコンサート2020 プレミアムサウンドシリーズ』は、今日が2回目の公演となりますが、今年はオリンピックイヤーということで、いつもと違う雰囲気はありますか?

今年は「プレミアムサウンドシリーズ」と銘打っていますので、生音でオーケストラの音を届けることができるコンサートとなっています。会場もオーケストラのコンサート用のホールですから、そのあたりはお客さんの反応がいつもと若干違うなと感じます。音の良さを体感していただいている感じがしますね。

──確かにオーケストラの生演奏の迫力を感じることができるコンサートでした。

やっぱり生の良さ、ライブの良さというのはありますよね。オリンピックでも、テレビで見るのと会場で見るのとでは全然違うと思いますから。今回のプレミアムサウンドシリーズは、オリンピックの映像もさらにライブ感が感じられるように見ることができているような気がします。

──オーケストラとオリンピック映像のコラボレーションが魅力のオリンピックコンサートですが、昔のオリンピック映像や東京2020大会に出場を予定しているアスリートたちの練習風景など、普段見ることができない映像がたくさん登場しました。

そういう意味では幅広い世代の人たちに楽しんでもらえるコンサートとなっています。オリンピックに対する思いというのは、世代によってさまざまだと思います。特にご年配の方々は、特別な思いで見るものもあるのではないでしょうか。子どもたちにとっては、分からない部分があるかもしれませんが、今回のコンサートを見ることで音楽に興味を持ったり、スポーツに興味を持ってもらえればいいなって思っています。

写真:アフロスポーツ

──オリンピックの映像に音楽を合わせることでさらに感動的になり、改めて音楽の力はすごいと思いました。藤本さんがこのコンサートでおすすめしたいところは、どんなところですか?

音楽と映像が本当にマッチングしているし、うまく作り込まれていると思います。僕がミュージカルに魅了されたのは、オーケストラの音楽があったからというのもありますので、ポップスとかロックでは表現できない、クラシックだからこそ表現できるものがオリンピックの映像と融合できているところを、皆さんにおすすめしたいです。
クラシックを聴いたことがない人もまずは来ていただいて、弦を弾いている人の指遣いや、ホルンを吹くときの息遣い、指揮者の流れる汗など、そういったものを全部見ることができるので、そうしたライブ感に注目していただきたいと思います。

オリンピック出場経験があったからこそ、俳優としての今の自分がいる

──もう一つの注目ポイントは、藤本さんとゲストオリンピアンとのトークコーナーです。公演ごとにゲストは変わりますが、どんなことを意識してお話をされていますか?

やっぱりアスリートも、アーティストであるということを知ってもらいたいというところがあると思います。オリンピックを終えた後の人生が、スポーツをやってきたからこそ活きているということを皆さんに知っていただきたいと思っています。今日は、元フィギュアスケート選手の小塚崇彦さんと元陸上競技選手の室伏由佳さんがゲストでしたが、現役のオリンピアンが来てくださることもあります。ゲストの方々に合わせて、質問を工夫したりするようにしていますね。

──藤本さんご自身もオリンピアンでいらっしゃいますから、アスリート同士、通じるものがあるのだなあとトークを聞いて感じました。

そう言っていただけるとありがたいですね(笑)。ただアスリート同士は、いろいろ分かり合えるのでいいのですが、その想いをお客様に届けるのが、なかなか難しいです。なるべくスポーツの良さを分かっていただけるように、話を進めていきたいと思っています。僕も舞台をやっていて、どういう演技をすればお客さんの反応がいいのか、何となく分かっているつもりなので、お客さんの反応を見聞きしながら進めていくことを心掛けています。

──9年連続ナビゲーターを務めていらっしゃいますが、ナビゲーターが持つ役割は何だと思いますか?

オリンピックといえば、スポーツに焦点が当たりますし、勝ち負けの話になってしまいがちですが、そうではなくて、参加することに意義があるということを皆さんに分かりやすくお伝えしたいですし、オリンピックはスポーツと文化の祭典だと思っているので、文化の面も合わせて伝えることができればと思っています。
僕自身はメダルをとっていないので勝ち負けのことはあまり言えないんですけど、でも、その経験があったからこそ、俳優として活動できているところがあります。そういうところも伝えられたらと思いますね。

──藤本さんご自身は、オリンピックに対してどのような想いがありますか?

僕は、ソウル・バルセロナと2大会に出場しています。メダルを目指して人生をかけてきましたが、結局メダルを取ることができませんでした。やはり日本代表として出場したプライドがありましたから、しばらくはオリンピックだけでなくスポーツ競技全般を見ることができなくなりましたね。

──オリンピックに出場するだけでもすごい! と思ってしまいますが…。

確かにオリンピック選手だといったら、「あ、すごいね」といわれます。でも当時は演劇の世界に入るんだ、ゼロからやるんだと自分のプライドを全部捨てるためにやっていました。自分が持っていた日本記録がしばらく残っていたこともあるので、その未練から、また水泳の世界に戻ってしまうかもしれない…という気持ちがありました。でもゼロから演劇の世界でやろうと決めたので、自分の過去を忘れるために、しばらくの間オリンピックはもちろんのこと、スポーツ全般を見なかったのかもしれません。

──見られるようになったきっかけは何ですか?

ある程度俳優として役をいただけるようになってからですね。自分が持つ日本記録が2000年くらいに破られたので、それもきっかけになったかもしれません。「水泳の藤本」ではなく、俳優として認めていただけるようになってきた頃に、スポーツをまた見るようになりました。

写真:©フォート・キシモト

──今年はオリンピックイヤーです。東京2020大会で藤本さんが注目している競技は何ですか?

(即答で)全部です! 世界の人たちと唯一交流ができる場所がオリンピックです。日本の選手だけを応援するのではなくて、いろいろな国に目を向けて応援する姿勢を持てば、スポーツはもっと変わるような気がします。日本人はおもてなしの心がありますから、東京2020大会ではやってくれると思いますよ。

──最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。

たぶん「オリンピックコンサート」って何だろう? と思っている方は多いと思います。このコンサートは名前だけで感じるものとは違いますし、アスリートだけでなくオリンピックを支えてくれる人たちも登場して、こういう人たちがいるからオリンピックが成り立っているんだと映像が伝えてくれます。感動して涙できるコンサートだと思いますので、ぜひ足を運んでください。

ふじもとたかひろ○競泳でオリンピック2大会(ソウル・バルセロナ)連続出場。早稲田大学卒業後、劇団四季を経て、数々の舞台に出演。NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』で軍神・広瀬武夫役に抜擢され注目を集める。その後も『仁-JIN-』『ガラスの家』『花子とアン』『家族狩り』『99.9』『真田丸』『西郷どん』等、数々のテレビドラマへ出演し、映画『記憶にございません!』舞台『江戸は燃えているか』『魔界転生』等、活躍の幅を広げている。オリンピック・パラリンピックフラッグ掲揚式司会やフラッグツアーアンバサダー等、幅広く活躍。歴代最年少でウォーバックス役を務めたミュージカル『アニー』に4年連続出演予定。「オリンピックコンサート」でナビゲーターを9年連続で務める。

【公演情報】
『オリンピックコンサート2020 プレミアムサウンドシリーズ』
オリンピックコンサート2020 in 札幌
■3月29日(日)開演17:00(開場16:15)
札幌コンサートホールKitara 大ホール
【指揮】原田慶太楼
【オーケストラ】札幌交響楽団
【ナビゲーター】藤本隆宏
【合唱】HBC少年少女合唱団
【ゲストオリンピアン】
原田雅彦(スキー/ジャンプ)
伊藤みき(スキー/フリースタイル)

■オリンピックコンサート2020 in 東京
4月4日(土) 開演18:00(開場17:15)
東京オペラシティ コンサートホール
【指揮】齊藤一郎
【オーケストラ】新日本フィルハーモニー交響楽団
【ナビゲーター】藤本隆宏
【ヴォーカル】
守谷由香(ソプラノ)
下園理恵(メゾソプラノ)
村上公太(テノール)
北川辰彦(バスバリトン)
【ゲストオリンピアン】
小谷実可子(水泳/シンクロナイズドスイミング※)
大林素子(バレーボール)
狩野舞子(バレーボール)

〈料金〉S席5,000円/A席3,900円/B席2,020円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈公式サイト〉http://www.harmonyjapan.com/joc-classic/

 

【構成/彩川結稀 取材・文・撮影/咲田真菜】

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