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「東京芸術祭 2022」9月~12月に開催、主要3演目公開!

東京芸術祭は、東京の多彩で奥深い芸術文化を通して世界とつながることを目指し、毎年秋に豊島区池袋エリアを中心に開催している都市型総合芸術祭。東京の文化の魅力を分かりやすく見せると同時に、東京における芸術文化の創造力を高めることを目標とし、今年で7年目を迎える。本年は9月~12月に東京都豊島区池袋周辺エリアで開催される。

ディレクターを務めるのは、フランスで開催されるエクサン・プロヴァンス音楽祭でもオペラ演出を手掛けるなど世界的にも評価の高い宮城聰。「ひらく」「きわめる」「つながる」という 3つのキーワードを掲げている。これらを体現する今年の主要3作品が上演される。

《小野寺修二が挑む、新作 野外劇『嵐が丘』》
野外劇は、劇場を「ひらく」アクションとして、2018年、東京芸術祭のメインプログラムのひとつとなった。会場は池袋駅からほど近い池袋西口公園にあるGLOBAL RING THEATRE(グローバルリング シアター)で、チケット代はワンコイン(500円)。“日常に出現する非日常のスペクタクル”をテーマに、これまで劇場に足を運んだことのない人々が初めて舞台演劇に触れる機会と、まちなかの賑わいを同時に創出するプログラム。ふらりと立ち寄って、一流のアーティストによるハイクオリティーなパフォーマンスに触れられることは、芸術祭ならではの醍醐味と言える。
また、出演のチャンスをより広く多くのアーティストに「ひらく」ため、出演者の多くをオーディション方式で決定している。

「東京芸術祭 2022」の野外劇は、カンパニーデラシネラを主宰する演出家・振付家の小野寺修二を迎え、新作『嵐が丘』に挑みます。英国の女流作家エミリー・ブロンテによる文学史上の名作「嵐が丘」を大胆に再構成し、野外という特性を活かしてスケールの大きなスペクタクルに仕上げる。出演者は王下貴司、宮下今日子、片桐はいりなど。

片桐はいり 小野寺修二

小野寺のマイムの動きをベースとした身体表現による独創的な世界観に、言葉、光と音、空間を最大限に活かす演出が相乗効果として作用し、1847年に英国で発表された物語が現代の物語として立ち上がる。街の只中で、夕景から夜に掛かる時間、喧騒さえも芝居の一部になる都会の野外劇。その異空間を堪能したい。

《鬼才プルカレーテの2作品》
独自の表現を究め、世界の頂点を極めると言って過言ではない「きわめる」アーティストや作品が集結。なかでも注目は、ルーマニアの鬼才シルヴィウ・プルカレーテ演出により東京芸術劇場で上演される2作品。

シルヴィウ・プルカレーテ

ひとつめは、シビウ国際演劇祭を揺るがせた四代目鶴屋南北「桜姫東文章」を原作とする『スカーレット・プリンセス』をジャパンプレミアで披露する。ふたつめには、日本が誇る実力派俳優・佐々木蔵之介と『リチャード三世』以来の再タッグで、モリエールの傑作喜劇『守銭奴 — ザ・マネー・クレイジー』。

シビウ国際演劇祭は、2008年に故・十八代目中村勘三郎が平成中村座を率いて歌舞伎を上演したのち、まつもと市民芸術館芸術監督でもある串田和美が作品を発表、東京芸術劇場芸術監督・野田 秀樹が『One Green Bottle』を上演するなど、その演劇祭の始まりから日本との深いつながりを築いてきた。

プルカレーテは、国立ラドゥ・スタンカ劇場制作の『ファウスト』や、2017年の東京芸術劇場における『リチャード三世』(主演:佐々木蔵之介)、2020年の『真夏の夜の夢』など、古典を現代的に解釈した演出で大きな話題を集めてきた。また、招聘した『ルル』(2013)、連続上演『ガリバー旅行記』『オイディプス』(2015)でも日本の演劇ファンに強烈な印象を残している。

《『スカーレット・プリンセス』がついに初来日》

そして、2022年、新型コロナウイルス感染症による公演中止を乗り越え、新たな生命を吹き込まれた『スカーレット・プリンセス』の初来日公演が実現する。海外で生まれたまったく新しいこの作品は、歌舞伎の隠された一面を日本人が再発見し、日本の演劇がもつ底力を国内外に発信する、またとない機会となるだろう。

『The Scarlet Princess』(2018年)  撮影: Ovidiu Matiu

『スカーレット・プリンセス』は 2018年、シビウ国際演劇祭でワールドプレミアされ、ヨーロッパでも大きな話題を呼んだ。四代目鶴屋南北「桜姫東文章」が原作で、歌舞伎のエッセンスに忠実でありながらもヨーロッパの演劇人たちが挑戦した、まったく新しい “本歌取” としての演劇作品が誕生した。シルヴィウ・プルカレーテの特徴でもある大胆で挑戦的なスペクタクルな演出は、まさしく日本の “傾(かぶ)く” という精神に通じる。同時に、テキストへの深い読解、日本文化への豊かな知識とリスペクトに基づいた細やかな作品アプローチが、この作品を唯一無二のものとし、観る者の魂を揺さぶる。

《佐々木蔵之介との再タッグ『守銭奴』》

もう1つの作品はモリエールの傑作喜劇『守銭奴』。端正なルックスとエネルギーあふれる演技で、日本が誇る実力派俳優・佐々木蔵之介。その蔵之介が徹底的に惚れ込んだ演出家が、ルーマニアの巨匠シルヴィウ・プルカレーテ。2017年の東京芸術劇場による『リチャード三世』以来、5年ぶりにふたりのタッグが復活。プルカレーテが日本で発表した作品が、読売演劇大賞を受賞するなど国内での評価も定着している。

佐々木蔵之介

『守銭奴』は、生誕400年を迎えたフランス三大劇作家のひとりモリエールの戯曲。数あるモリエールの戯曲のなかでも人気が高く、上演回数も多い優れた性格喜劇。佐々木蔵之介が、あらゆる金を出し渋る “ドケチオヤジ” を過剰なテンションで熱演し、プルカレーテのスラップスティックな演出で、コロナ禍の鬱憤を吹き飛ばす爆笑コメディが展開されることだろう。

《『守銭奴』あらすじ》
極度の倹約家のアルパゴン(佐々木蔵之介)は、召使を始め、息子と娘にまでそれを強要し、家族の我慢も限界に達している。そんなある日、アルパゴンは再婚をしたいと申し出る。その相手は、実の息子が恋した相手と重なっていた! けちんぼ親父とその息子と娘、それぞれの恋人たちとの七転八倒のやり取りの最中で、思いがけず秘密が明らかになる。

プルカレーテの作品は、世界中の劇場やフェスティバルで上演され、多くの観客を魅了している。招聘公演『スカーレット・プリンセス』との連続上演で、プルカレーテの世界を存分に堪能できる またとない機会となるはずだ。

【公演情報】
東京芸術祭2022 直轄プログラム
野外劇『嵐が丘』
作:エミリー・ブロンテ
演出:小野寺修二
出演:王下貴司、久保佳絵、斉藤 悠、崎山莉奈、菅波琴音、竹内 蓮、丹野武蔵
鄭 亜美、辻田 暁、富岡晃一郎、中村早香、西山斗真、塙 睦美、宮下今日子
片桐はいり
●10/17~26◎GLOBAL RING THEATRE (池袋西口公園野外劇場)

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション
『スカーレット・プリンセス』 The Scarlet Princess
上演台本・演出:シルヴィウ・プルカレーテ
原作:鶴屋南北「桜姫東文章」
出演:オフィリア・ポピ ユスティニアン・トゥルク、ルーマニア国立ラドゥ・スタンカ劇場カンパニー
●10/8~11◎東京芸術劇場 プレイハウス

東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション
『守銭奴 — ザ・マネー・クレイジー』
作:モリエール
翻訳:秋山伸子
演出:シルヴィウ・プルカレーテ
出演:佐々木蔵之介 ほか
●11/23~12/11◎東京芸術劇場 プレイハウス

東京芸術祭ホームページURL:https://tokyo-festival.jp
東京芸術祭実行委員会事務局 TEL:050-1746-0996(平日10時-18時)

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