【ノゾエ征爾の「桜の島の野添酒店」】No.74 「for what ?」
令和になって早々、少々気をもんでいる。
近所のそこそこナイスな緑道が、
「道路伸長工事」によって分断されてしまったのだ。
のどかで平和で、子供たちは小川で遊び、
小川には鯉とアメンボが泳ぎ、
休みの日には、ジョギングマンが行き交い、
春は桜が咲きほこり、今は新緑と花々で溢れている。
そんな緑道が、唐突にバーンと、分断された。
みんな、とっても、あたふたしている。
ジョギングにいそしむ大してスリムでもない人が、分断箇所で、これチャンスとばかりに、ジョギングを断じてしまっている。
これまでは危険ゼロで駆け抜けれていたちびっこ達のダッシュが、そこで断じられている。
30年前にこの緑道沿いにマイホームを購入して、このままのどかに終の棲家にするつもりだったと思しき初老のおじいちゃまが、完全に険しい表情で工事の様子を睨みつけている。
その道路が通れば、とっても便利になるということなのだろうが、
私もたまに車を運転したりはするが、
どう考えても、そんな大して便利にはならない。
どこかで渋滞が起きているわけでもない。
多くの人が、「この道路はなんの為に?」とスッキリしないまま、
緑道の一画が取り払われてしまった。
なんて悶々としてしまったので、せめて写真では気持ちよく!
あーこんな公園でゴロンゴロンしたい。
【著者プロフィール】
ノゾエ征爾
のぞえせいじ○1975年生。脚本家、演出家、俳優。はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降全作品の作・演出を手がける。2011年の『○○トアル風景』にて第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2014年には初の主演映画『TOKYOてやんでぃ』が公開された。
【今後の予定】
・脚本
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
「恐るべき子供たち」
原作:ジャン・コクトー
脚本:ノゾエ征爾
演出:白井晃
2019年5月18日〜6月2日
@KAAT神奈川芸術劇場大ホール
https://www.kaat.jp/detail?url=osorubeki
・ドラマ出演
テレビ朝日土曜ナイトドラマ
「東京独身男子」
毎週土曜日夜11時15分より。
https://www.tv-asahi.co.jp/tokyo-dokushin-danshi/
・脚本・演出・出演
世田谷パブリックシアター@ホーム公演
「チャチャチャのチャーリー ~10周年だよ、チャーリー誕生秘話~」
https://setagaya-pt.jp/performances/201906athome.html
▼▼前回の連載はこちら▼▼
http://enbu.co.jp/nikkanenbu/nozoe73/
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