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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第105回「ライブビューイング」

すでに発表されている通り、新型コロナウイルスの更なる被害拡大を防ぐために「偽義経冥界歌」は2/28~3/10の期間を休演させて頂いております。この期間にご観劇頂く予定だったお客様には大変なご迷惑をお掛け致しております。誠に申し訳ありません。

3/12からは通常通り上演が再開される予定です。関係者一同、心を引き締めて再開に向けて準備中です。3/12には皆様にお目に掛かれることを楽しみにしております。

無事に再開されますれば、3/19には「ライブビューイング」も行われます。ライブビューイング? コレが今回ご紹介したい用語なのですが、ここ数年よく聞く単語ですね。というよりも十年ほど前まではあまり使われていない言葉でした。

用語の意味としては「生中継を大人数で見る」ということでしょうか。サッカーブームの頃から街角やスタジアムに設置された大型ディスプレイ、あるいはスポーツバーなどで生中継を皆で見ながら盛り上がる「パブリックビューイング」が流行りましたよね。よく考えれば、昭和30年代のテレビ黎明期に行われた街頭テレビがパブリックビューイングの始まりだったのかもしれません。

大まかに言えば、パブリックビューイングを進化させて、一般の放送ではない限定的なコンテンツを映画館などの設備の整った会場で行うのがライブビューイングとなります。

本来、舞台作品は生でしか見られないものでした。それがテレビの舞台中継番組などで自宅でも見られるようになり、さらにビデオ化やDVD化によって繰り返し鑑賞できるようになりました。しかし、やはり舞台は生で見たい。とはいえ会場には人数制限がある。

そんなニーズに合わせて生み出されたのが、かつて第三舞台さんやキャラメルボックスさんが行っていた「クローズドサーキット」です。本会場での公演を数台のカメラで捉え、衛星回線などを利用して全国の別会場に送り、ほとんど同時に大人数で鑑賞できるようにしたのです。

この、ほぼ同時に、というのがミソ。演劇のビデオ上映会や、あるいは新感線もずっと行っているゲキ×シネ(映画館での上映会)とは違って、今現在、本会場で行われている本番をほぼ同時に見られるという即時性が興奮を呼ぶのです。DVDなどのパッケージ化にはどうしても数ヶ月の時間が必要ですから、この盛り上がっている今、上演期間中に行われるコトが重要なのです。

また、どうしても東京に偏りがちな公演を、全国で(といっても主要五都市などでしたが)見るコトができ、東京まで来なくても作品をリアルタイムで楽しむコトができたのでした。

ただ、クローズドサーキットを行うには相当な予算と準備が必要であり、またデリケートな衛星回線などを使用することからそう簡単には実現できなかったことも事実です。

時代は流れ、最近の映画館ではデジタル上演が普通になりました。映画って、昔はフィルムで上映していたのですよ。1リールで約15分の上映フィルムを、二台の映写機で交互に上映しながらリールを取り替えていたのです。

それが、今ではデジタルデータを上映できるシステムが全国に普及しました。さらに、インターネットを使った大容量データの通信も可能になりました。

そういったインフラの普及によって劇場からの生中継が比較的容易に可能になったのです。その成果として、この10年程で普及してきたのがライブビューイングなのです。

ライブビューイングならば、東京まで来ずとも比較的近所の映画館で(なんなら海外でも!)鑑賞できますし、前の人の頭も気にならないし、アップもあるし、舞台よりもチケットが安いのです。そしてなによりも、より多くに方々に見て頂けるのです。もちろん本当は劇場で生で見て頂きたいのですが、一つの選択肢としてアリなのではないかと思います。

そういった利便性が受けて、観客動員の多い2.5次元舞台などで頻繁に使用されるようになり、より一般的になってきたのですね。

劇団☆新感線でもIHIステージアラウンド東京での「髑髏城の七人」や「メタルマクベス」でライブビューイングを行いました。実は、楽屋の廊下にも一台、ライブビューイングモニター用のテレビが置いてありまして、出番でない俳優やスタッフが群がって興味津々で見ていたのです。いやあ、なにしろ自分の出ている作品がライブ配信されるなんて初めての体験でしたから楽しかったのですよ。

「偽義経~」のライブビューイングは3/19。ほぼ全国の(お近くに無い方、申し訳ありません)108もの会場で行われます。煩悩と同じ数です。煩悩を全開にして、この機会に是非お越し下さいませ。そしてその頃には公演がちゃんと再開されていることもお祈り頂ければ幸いです。

本文とは関係ありませんが、以前にも書きましたが、渋谷の宮下公園がますますスゴイコトになってきています。

 

【著者プロフィール】
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み。

【出演情報】
2020年劇団☆新感線39興行・春公演 いのうえ歌舞伎『偽義経冥界歌』3/12〜24◎TBS赤坂ACTシアター、4/4〜28◎博多座

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