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【粟根まことの「未確認ヒコー舞台:UFB」】第124回「稽古着」

現在公演中の劇団☆新感線「狐晴明九尾狩」も東京公演が中日を迎えて後半に入りました。このままなんとか無事に最後まで、そして大阪公演まで終えられるよう、色々と気をつけて頑張っていきたいと思います。

さて、そんな演劇が本番を迎えるためには稽古期間が必要ですよね。そうなんです。皆さんが思うよりも長い期間を掛けて稽古は行われます。みっちりと台本を読み込んで、ぎっちりと段取りを決めて、しっかりと身体を動かして覚えていきます。
そんな演劇人たちの稽古着を特集して掲載している、ステージナタリーさんの連載コラム「ケイコレ~稽古着ファッションをお届け~」の第38回に私の稽古着を取り上げて頂きました。

https://natalie.mu/stage/column/445082

他の皆さんがオシャレにキメている中で、還暦も近い私の何の変哲もない稽古着でお目汚しをしておりましてすみません。まあ、昔から《稽古着は汚れても構わないモノ》と決めているので、シンプルさと動きやすさを重視しております。
でですね、せっかく写真付きで稽古着を載せて頂きましたので、ついでにこちらのコラムでも稽古着について書いておこうと思ったのですよ。

稽古着。つまり、演劇の稽古の時に着るウェアです。正直に言いますと、これはもう何でもいいんです。本人が動きやすければそれでいいんです。ただ、意外と人それぞれの隠れたこだわりがあったりするのが面白いですね。
私の場合は、上記の記事でも書いている通り「面白Tシャツにシンプルなアディダスのパンツに軽いニューバランスのスリッポン」が定番です。こだわりというほどのコトではないのですが、色々試して見た結果、自分にとって一番動きやすいのがこのラインナップというコトなんです。

まだ劇団が小さかった頃にはスタッフワークも全て自分たちでやっておりましたので、稽古着はすなわち作業着でもありまして、汚れるのが当然だったのです。当時はお金もないので、場末のスーパーで売っている上下セットで1000円くらいのペラッペラのスウェットセットとかを着ておりましたよ。どうせボンドや油でドロドロになるんだし。
本番中でも終演後には様々な作業をしておりましたから、衣裳を脱いだら稽古着に着替えておりました。その習慣は未だに続いていております。外部の公演などに出演してみますと、衣裳を脱いでそのまま私服に着替える方も多いのですが、いまだにそれができないんですよ。若い頃の習慣というのは中々抜けないモノです。

最近では出演者のほとんどが若いイケメンという舞台にも出させて頂くようになりましたが、みなさんオシャレなのね。パンツにしたってダボッとしたサルエルパンツとか、ピタッとしたヨガパンツの上に半パンとか。そして何やらよく判らない英字の入ったTシャツに、多分どこかのブランドのパーカーとかをさらりと羽織ってキャップを被っていたりね。もちろんツバが真っ平らで大きなステッカーが貼ってあるヤツよ。
自分が持っていないもんだから若干やっかみも入っておりますが、まあ気分がアガるのも大事ですからね。ホント、稽古着なんて自分が気に入っていて動きやすければ何でもいいんですよ。

とか書いておいてなんですが、稽古着が《何でも良い》とはいかなくなる場合もあるのです。それはもちろん特殊な衣裳の時ですよ。
例えば時代劇の場合、衣裳が着物ならば稽古では浴衣を着たりします。所作が全く変わってしまうからですね。侍役ならば稽古用の袴を履いたりもします。また、履き物が草履系ならば稽古中も草履を履きます。そのために五本指や足袋型のソックスを用意したりします。
現代劇でも役によってはスーツのジャケットやコートなどを着たりもします。女性役の場合のためにサイズの大きなスカートも持っています。いずれも本番の動きを想定しているというワケです。本番用の衣裳ではありませんが、稽古中からある程度イメージが掴みやすくなりますからね。

もっと特殊な衣裳の場合、例えばマントとか狩衣などの場合は衣裳さんや演出部さんが仮のモノを用意して下さったりもします。演技の上でも助かるのですが、もっと重要なのが殺陣がある場合です。マントの裾や着物の袂を捌く練習が必要なため、稽古中から本物に近い稽古着があるととても助かるのです。ありがたいことです。

如何でしたでしょうか。演劇に於ける稽古着というのが意外と多種多様であるコトがお判り頂けたと思います。基本は動きやすいこと、そして特殊な衣裳の場合は稽古の段階からある程度近いモノを着る。
そんなこんなの稽古着事情。本番は確かに疲れるし大変なのですが、ちゃんと稽古ができてちゃんと本番ができているコトのありがたさを感じる日々でもありますよ。

私の持っている稽古用の浴衣や袴の一部。なんかクシャクシャですみません。

 

【著者プロフィール】
粟根まこと
あわねまこと○64年生まれ、大阪府出身。85年から劇団☆新感線へ参加し、以降ほとんどの公演に出演。劇団外でも、ミュージカル、コメディ、時代劇など、多様な作品への客演歴を誇る。えんぶコラム「粟根まことの人物ウォッチング」でもお馴染み

 

 

【出演予定】
劇団☆新感線『狐晴明九尾狩』
9/17~10/17◎TBS赤坂ACTシアター
10/27~11/11◎オリックス劇場

 

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