岡田利規の話題作を本谷有希子が演出する『掃除機』3月に上演!
ドイツで高い評価を得た岡田利規の話題作を本谷有希子が演出する『掃除機』が、 3月 4 日~ 22 日、KAAT 神奈川芸術劇場 <中スタジオ>にて日本語として初上演される。
本作『掃除機』は、岡田利規が2019 年 にドイツの公立劇場ミュンヘン・カンマーシュピーレ劇場に書き下ろした作品『The Vacuum Cleaner』(ドイツ語上演)。自ら演出して、ドイツの演劇祭テアタートレッフェンで“最も注目すべき10作品 ”に選ばれた、今回はその待望の日本初演となる。
引きこもりの 40 代の娘、無職の 30 代の息子、80 代の父親が暮らす家の情景を「掃除機」の目線から描く本作は、日本のみならず世界的な社会問題として露わになってきた「8050 問題」が扱われている。この問題は、解決の困難さゆえに置き去りにし、忘れられがちな問題でもあることから、芸術監督・長塚圭史の掲げる<忘>シーズンにふさわしい演目として、今年度のプログラムにラインアップされた。
今回の演出を手掛けるのは、本谷有希子。本谷は、2000年に立ち上げた「劇団、本谷有希子」にて劇作・演出を手がけ、ストーリーの中に人間の内面やコンプレックス、自意識を描き出す独自の筆致とエンタテイメント性を兼ね備えた作風で、話題作を次々に発表。劇作家・演出家として注目され、小説家としても活躍の場を広げ、大江健三郎賞、三島由紀夫賞、芥川賞の純文学新人賞の三冠を受賞。2012 年の劇団公演ののちは、演出は暫く距離を置いて活動していたが、近年は自身の小説の舞台化を積極的に行い、静的なテキストを複数の俳優で演じ分ける方法などで立体化する取り組みを行うなど、新たな視点で演劇作品に取り組んでいる。
KAAT がプロデュース公演として、多層的な意味を持つ岡田の戯曲に取り組むにあたり、テキストの魅力と真摯に向き合い、描かれた多様なイメージを空間的に表現しうる演出家として、本谷に演出を委嘱することになった。演劇、文壇でともに活躍する2人の初めての顔合わせとなる。
《ものがたり》
ある一家の掃除機<デメ>の視点から、引きこもりの 50 代の娘<ホマレ>、無職の 40 代の息子<リチギ>、家族を見守る 80 代の父<チョウホウ>、それぞれの日常と、とある出来事を描く。
《登場人物》
ハノ・チョウホウ(80 代):モロ師岡、俵木藤汰、猪股俊明
ハノ・ホマレ(チョウホウの娘・50 代):家納ジュンコ
ハノ・リチギ(チョウホウの息子・40 代):山中崇
ヒデ(リチギの友人):環 ROY
デメ(掃除機): 栗原類
《『掃除機』上演へのアプローチ》
本作は、ある一家の掃除機<デメ>の視点での語りや、岡田戯曲の魅力でもある各役のモノローグで物語が綴られている。この作品を上演するにあたり、演出の本谷はこの戯曲の魅力を引き出す表現方法を模索し、2 年以上前からワークショップを重ねてきた。
本谷ならではのアプローチの 1 つが、ラッパー環 ROY による音楽。ミュージシャンとしてだけでなく、ダンサーとのコラボレーション、絵本出版等、ジャンルを越えて活躍する環が、本谷との初めての協働作業により、岡田の“言葉”にどんな変化を与えるのか…
環は、一家の長男の友人<ヒデ>役で俳優としても出演する。
一家の長女で、引きこもりの娘<ホマレ>役に、コメディエンヌとして独特の存在感を持つ家納ジュンコ、無職の息子<リチギ>役に、悪役から理想の上司まで自在に演じ分ける山中崇、そして 2 人の父親<チョウホウ>を、モロ師岡、俵木藤汰、猪股俊明という、ベテラン俳優が、3 人で 1 役を演じる。また、俳優として成長を続ける栗原類が、掃除機<デメ>役を演じる。
ワークショップを重ね、豊かな創作の時間を経て生み出される本作。本谷の思考や魅力が詰まった演出や、2010 年以降、社会問題となっている「8050 問題」を扱う点にも注目が集まる。
【公演情報】
KAAT 神奈川芸術劇場プロデュース『掃除機』
作:岡田利規
演出:本谷有希子
音楽:環 ROY
出演:家納ジュンコ 栗原類 山中崇 環 ROY
俵木藤汰 猪股俊明 モロ師岡
●3/4~22◎KAAT 神奈川芸術劇場 <中スタジオ>
〈料金〉一般6,500円 平日早割[3/7~10]6,000円 U24 チケット[24 歳以下]3,250 円、高校生以下割引1,000 円、シルバー割引[満 65 歳以上]6,000 円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※U24、高校生以下、シルバー割引はチケットかながわの電話・窓口・web にて取扱(前売のみ、枚数限定、要証明書)
〈お問い合わせ〉チケットかながわ0570-015-415(10:00~18:00)https://www.kaat.jp
〈公式サイト〉 https://www.kaat.jp/d/soujiki