嘘の薬とまことの恋。幸せな気持ちになれるロマンティック・コメディ!ドニゼッティ『愛の妙薬』間もなく開幕!
ベルカント・オペラの代表作として知られるドニゼッティの傑作『愛の妙薬』が、2月7日から、新国立劇場オペラハウスにて開幕する。
愛の媚薬で恋に落ちる『トリスタンとイゾルデ』の話を聞いた青年ネモリーノが、村一番の美人アディーナに恋し奮闘する物語。恋心を思うように伝えられない主人公ネモリーノの人物像やアディーナの心が揺れ動くさまが、音楽の力で素直に伝わってくる。
最大の聴きどころであるネモリーノの名アリア「人知れぬ涙」、敵役の軍曹ベルコーレの明るい持ち味、ドゥルカマーラの軽妙なキャラクターなどドニゼッティの音楽の冴えを実感できる箇所が随所にあり、合唱のきびきびした歌声も舞台を盛り上げる。チェーザレ・リエヴィ演出(2009 年初演)は、9 メートルもある本や文字、実物大の小型飛行機などを舞台上に登場させ、遊び心と的確な心理描写で好評を博したプロダクションの公演だ。
アディーナには国内きっての人気ソプラノの砂川涼子、若々しく甘美な声が持ち味の中井亮一がネモリーノ、アメリカを中心に大活躍中の大西宇宙がベルコーレで待望のオペラパレスデビュー、ドゥルカマーラにベテラン久保田真澄が出演するなど、旬の歌手たちが揃った。
【ものがたり】
第1幕/村人たちが集い、農場主の娘アディーナが本を読む。ネモリーノは彼女に恋している。軍曹ベルコーレが兵隊と共に登場、アディーナに目を留める。ネモリーノも彼女を呼び止めるがつれなくされる。偽医者のドゥルカマーラがネモリーノに「愛の妙薬」と偽ってワインを売りつけ、一日後に効き目が出ると騙す。軍曹に出発命令が届き、アディーナに「今日中に結婚しよう」と告げる。それでは妙薬が効かないと焦ったネモリーノはもう一日待ってくれと頼んで笑い者になる。アディーナは宴に皆を招き、ネモリーノはひとり偽医者の助けを求めて叫ぶ。
第2幕/アディーナと軍曹の結婚祝いの席。アディーナは姿の見えないネモリーノを気にする。ネモリーノは妙薬をまた買う金を求めて、ベルコーレに入隊を志願する。娘たちが「ネモリーノが親戚の莫大な遺産を相続した」と噂する。やってきたネモリーノを娘たちが急に持ち上げるので、彼は薬の効き目を実感する。アディーナはネモリーノが妙薬のために入隊を志願したと聞きほろりとする。彼女の涙を目にしたネモリーノは、名アリア〈人知れぬ涙〉で彼女の心のうちを悟ったと歌う。アディーナは、ベルコーレから買い戻した入隊契約書をネモリーノに差し出すが、彼は「愛してもらえないのなら兵隊になって死にたい」と叫ぶ。二人は本心を告げあう。ベルコーレが登場、潔くアディーナを諦める。村を去るドゥルカマーラを、一同がにぎやかに見送る。
【公演情報】
ガエターノ・ドニゼッティ『愛の妙薬』
全2幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
約2時間35分(休憩含む)
指揮:ガエタノ・デスピノーサ
演出:チェーザレ・リエヴィ
美術:ルイジ・ペーレゴ
衣裳:マリーナ・ルクサルド
照明:立田雄士
出演:
アディーナ:砂川涼子
ネモリーノ:中井亮一
ベルコーレ:大西宇宙
ドゥルカマーラ:久保田真澄
ジャンネッタ:九嶋香奈枝
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団
●2月7日、2月9日、2月11日、2月13日◎新国立劇場オペラパレス
〈料金〉S席24,200円 A席19,800円 B席13,200円 C席7,700円 D席4,400円 Z席1,620円(全席指定・税込)
新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10~18時)
https://www.nntt.jac.go.jp/opera/lelisirdamore/
【舞台写真/新国立劇場「愛の妙薬」2018年公演より 撮影:寺司正彦】
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