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『アルジャーノンに花束を』再演に挑む!矢田悠祐 インタビュー

 

ダニエル・キイスの不朽の名作小説として世界で読み継がれている「アルジャーノンに花束を」。
2006年2月荻田浩一脚本・演出、浦井健治主演によるミュージカル版が博品館劇場で本邦初演され大きな話題となり、2014年に再演。更に2017年、矢田悠祐を主演に迎えた新生『アルジャーノンに花束を』も大好評を博し、人々の心に深く刻まれる傑作ミュージカルとして成長を続けてきた。
そんな作品が2020年、初演された博品館劇場に還り上演されることが決定! 再び主人公チャーリー・ゴードンに挑む矢田悠祐が、作品と役柄への想い。更に、自身の俳優としてのこだわりまでを語ってくれた「えんぶ10月号」のインタビューをご紹介する。

ひたすら全てのセリフに命をかけていた

──前回公演の思い出、特に作品に感じたことから教えて下さい。

僕にとって初主演の作品でしたので、毎日寝ても覚めてもチャーリー役について考えていました。もう起きた瞬間に通し稽古が出来るくらい(笑)、役に没頭していて。特にこの作品では自分がチャーリー・ゴードンの人生を生き抜いた感覚になって。
というのもいくら主演と言ってもこれほどセリフ量や、歌う曲数が多い作品は無いんじゃないかと思ったほど、チャーリーの人格、成長、心理状態などがこと細かく描かれているんです。元々原作がチャーリーの手術前、手術後の経過報告として進みますし、読めば読むほど、演じれば演じる程自分が自分で無くなり、どんどんチャーリーになっていく。そんな経験をした初めての作品でした。
とても簡潔に纏められる作品ではないのですが、幸福というのは本人の感じ方次第、善し悪しを決めるのも本人なんだと、感じた作品でした。

──チャーリーを演じるにあたって、特に大切にされたことは?

チャーリーはフェニルキトン尿症を患っていることから精神遅滞が発生しています。それが脳手術の結果、徐々に知能と精神が発達していき、最終的には常人も、自分を手術した医師達をも超えた知能を手にしていく。
ですから子供のように無邪気なたどたどしさから、並外れた頭脳を持つ天才までをどれだけ細かなグラデーションで描けるかだと、演出の荻田浩一さんが仰っていて、それはとても大切にしていました。
特にその場面時点の知能での細かな心理描写を、芝居と歌で表現しないといけないので、昔の台本を出してみたら全てのページが書きこみで真っ黒になっていました!(笑)もうまるで精密機械の説明書のような台本で、ひたすら全てのセリフに命をかけていたなと思います。

自分の持っているものを全て使って演じている

──そのチャーリーに再び挑む訳ですが、目指すものや更に高めたいものは?

前回は荻田さんと歌唱指導の福井小百合さんの力を借りて、自分ができる限界でなんとかチャーリーをやりきった! という感じでした。でも今回は一度作りあげたものがある分、更に奥深くまでチャーリーを探しにいきたいです。矢田悠祐という本人の影が何処にも見当たらない、チャーリー・ゴードンそのものになるのが目指すところですし、新しいキャストの方々との化学反応で、チャーリーの新たな側面が出てくることにも期待しています。

──そんな矢田さんが、俳優としてここは譲れない、ここにはこだわっているということがあれば教えて下さい。

役を演じるには、中身をひたすら詰め込んで行かなければなりません。無意識で演じられる程僕は天才ではないので、その役になるには色々な事に意味を持たせて、自分の持っているものを毎回限界まで全て使って演じています。その意識がこだわりと言えばこだわりかも知れないです。それは歌のあるミュージカル作品でも、ストレートプレイでも変わらないですね。

──では、改めて作品への意気込みを。

自分の初主演作品だったという思い入れもあり、それ以上に大好きな作品です。素晴らしい楽曲が沢山詰まっているミュージカルで、また歌うことが出来るのも非常に楽しみですし、前回観て下さった方はもちろん、初めての方にも観て頂きたいです。チャーリー・ゴードンの人生を、また共に歩みましょう!

■PROFILE■
やたゆうすけ○大阪府出身。2012年に舞台『合唱ブラボー!』で俳優デビュー。同年、ミュージカル『テニスの王子様』7代目青学・不二周助役で人気を博し、舞台を中心に活躍を続けている。主な舞台出演作に、『Defiled─ディファイルド─』『ホイッスル・ダウン・ザ・ウイン~汚れなき瞳~』恋を読むvol.2『逃げるは恥だが役に立つ』『ハムレット』『アルジャーノンに花束を』『王家の紋章』『マラソン』『Red Hot and COLE』『The Silver Tassie 銀杯』『ロジャース/ハート』『ドッグファイト』等がある。

【公演情報】
ミュージカル『アルジャーノンに花束を』
原作◇ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」(ハヤカワ文庫)
脚本・作詞・演出◇荻田浩一
音楽◇斉藤恒芳
出演◇矢田悠祐
大月さゆ 元榮菜摘 青野紗穂
大山真志 長澤風海 和田泰右
戸井勝海
水夏希
●10/15~11/1◎博品館劇場
〈料金〉10,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉博品館劇場 03-3571-1003
http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2020_10_15.html

 

【取材・文/橘涼香 写真提供/conSept】

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