ミュージカル『ペテン師と詐欺師』で初共演! 山田孝之×石丸幹二 インタビュー
福田雄一が演出・上演台本を手がけ、山田孝之と石丸幹二がW主演するミュージカル『ペテン師と詐欺師』が、9月1日~26日まで東京・新橋演舞場にて上演される。
本作は1988年に、スティーヴ・マーティンのフレディとマイケル・ケインのローレンスで、映画『ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ』として公開。2005年にはブロードウェイでミュージカル化され、トニー賞で10部門11ノミネート、ミュージカル主演男優賞を受賞、大きな話題となった。
今回、TVドラマの脚本・演出や映画監督としてヒット作を連発し、数多くの舞台でもコメディ作品やミュージカルで人気を博す福田雄一が満を持して新橋演舞場に初登場!
そして、主演は山田孝之と石丸幹二。福田と山田は、山田の初舞台・初ミュージカルとなった『フル・モンティ』、舞台『シティ・オブ・エンジェルズ』、そして映像では「勇者ヨシヒコ」シリーズなどでタッグを組んでいる人気コンビ。ここにさらにミュージカル界を代表する俳優・石丸幹二を迎えて新たな『ペテン師と詐欺師』が生まれる。
【あらすじ】
若くケチなアメリカ人詐欺師、フレディ・ベンソン(山田)がやってきたのは、世界中の大金持ちが訪れる高級リゾート地・南仏リヴィエラ。そこでは既に凄腕の詐欺師ローレンス・ジェイムソン(石丸)が、相棒の警察長アンドレ(岸祐二)と共に、ダンディな魅力で大金持ちの未亡人ミュリエル(保坂知寿)を始めとする富豪の女性たちを騙して荒稼ぎしていた。ひょんなことからフレディはローレンスの正体を知り、その才能にほれ込んで強引に弟子入りをする。二人は協力して石油王の娘ジョリーン(大和田美帆)を騙すことに成功するが、詐欺師同士、縄張りをめぐって次第に敵対し、勝負をすることになる。狙う獲物は見るからに育ちの良いアメリカ人旅行者のクリスティーン(宮澤エマ)。彼女から先に5万ドルを巻き上げたほうが勝ちだ。
才気あふれる若手詐欺師と優雅なベテラン詐欺師との、騙し騙される勝負の結末は―――
この公演の取材会が行われ、山田と石丸が顔を揃えた。
──まずはこの作品の出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?
山田 僕ですら知っている作品で、しかも石丸さんと一緒にやらせていただける、ということで、プレッシャーよりも楽しみのほうが大きかったです。早く皆さんと稽古に入りたいという気持ちでした。
石丸 僕は山田さんとミュージカルの現場でご一緒出来ることができ、夢のようです。そんな想いと同じく、この作品はブロードウェイで観た時に「いつかやってみたい」と思いましたが、何秒かごとに客席が沸いていたのを思い出し、果たしてどれだけ自分がお客さんを笑わせる事ができるんだろうか、と。
山田 そうですよね。僕はまだまだ必死な状態なので、何とか皆さんについていこうかと思っています(笑)。
──演出が福田さんという事で、山田さんはもう慣れたものかと思うのですが、福田さん演出の印象や特徴はどのようなものですか?
山田 僕も過去2度だけ、ミュージカルの経験があって、どちらも福田さんが演出だったので、福田さん以外の演出を知らないんです(笑)。まあ、他の方に聴くと「福田さんは特殊」だそうです。ちょっとずつ詰めていきながら完成させるのではなく、かなり初期の段階から1幕2幕を通して何度も稽古をやってくださるんです。すると動きと共に台詞も勝手に入っていきますから、自ずと慣れていく……そういう進め方をしているんです。
石丸 過去に出演した役者仲間から、福田さんの演出は「勝手が違う」という話を聴いていました。「読み合わせした翌日から立ち(稽古)が始まるよ」と。でも今、山田さんの話を聴いて、そうか、やりながら台詞を身体に入れていけばいいんだなと安心しました。
山田 僕、ずっと台本持ったままやっていますよ(笑)!
──お二人はそれぞれ異なるフィールドで活躍されてきましたが、今回楽しみにしていることはなんですか?
石丸 ミュージカルの現場ですが、二人の台詞のやり取りも多くありますので、まったく新鮮な気持ちで迎えられる事で今はワクワクしています。
山田 歌や踊りは不慣れなのでただただ緊張ですが、芝居する事は楽しみですね。二人の掛け合いだけでもおもしろいので、早く立って稽古がしたいです。
──お二人が演じる役どころをどのように演じていきたいですか?
山田 僕の役はベテランの詐欺師のところにきた、スキルはないけれど、その若さから調子に乗っている男。それ故、時に自分の未熟さを痛感する事になるんですが、その根拠のない自信が彼の魅力でもあると思うので、そこを全うする事で二人の違いがハッキリする事に繋がると思います。だから調子に乗った感じで「あなたが10年かかって習得したものを俺は3日でやってみせる」という姿勢でいればいいキャラになるんじゃないかな?
石丸 僕が演じるローレンスは、自分の縄張りにフレディが来たことで、マンネリ化してしまっている自分に気づくんです。フレディがカンフル剤となっていくんですね。彼の腕を目の辺りにし、奮い立っていくところが、見どころになるんでしょうね。
──ご自身が演じる役に共感できるところはありますか?
山田 僕もフレディ同様、上品ではなく、行けるだろうと思ったところに突っ走ってしまうところでしょうか。まあ「何とかなるだろう」ってこの場(舞台)に突っ込んできていますから(笑)。
石丸 今、福田さんに「もっともっと上流風にしてみてください」と言われていて、ある意味、普段の私にはないものを見せていかなくてはと思っていています。フレディにいろいろな知恵を投げながら支え、それでいてただの二枚目ではない役……難しいですね。しかもただ喋っているだけでなく、たびたびお客さんを笑わせないとならないんですから!
──本作は以前、鹿賀丈史さんと市村正親さんがおやりになっていました。なかなかお二人ともキャラが濃かったそうですが、その二人とは違うご自身の色を出すとしたらどんなものにしていきたいですか?
石丸 お二人とも僕にとっては大先輩です。同年代のお二人は、手練手管を使うフレディとローレンスを見事な技で演じていらっしゃいました。山田さんと僕は、年齢差がある本来の役の設定に近いので、その“ギャップ”の面白さを出していけたら。台本がしっかりしていますし、歌詞も面白く訳してあり、それが見事にハマっているんですよ。だから台本に忠実にやれば自然と面白くなると思います。
山田 僕は過去の上演も映画も観た事がないのですが、作品を作る意識として、原作があるものを映画化する、映画化されたものをドラマ化する経験はあります。自分なりのフレディをやればきっと面白くなると思っています。
【公演情報】
ミュージカル『ペテン師と詐欺師』
脚本:ジェフリー・レイン
音楽・作詞:ディヴィッド・ヤズベク
演出・上演台本:福田雄一
出演:山田孝之 石丸幹二
宮澤エマ 保坂知寿 大和田美帆 岸祐二 他
●9/1~26◎新橋演舞場
〈料金〉1等席13,000円 2等席8,500円 3階A席5,500円 3階B席3,000円 桟敷席14,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489
チケットWeb松竹 www1.ticket-web-shochiku.com/t/
〈公式サイト〉www.petenshi-musical2019.com/
【取材・文・撮影/こむらさき】
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