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『あれよとサニーは死んだのさ』間もなく開幕! 高田聖子・池谷のぶえ・木野花 インタビュー

高田聖子の「月影番外地」が、いよいよ12月3日から下北沢ザ・スズナリで開幕する。(12日まで)
毎回、刺激的な作品を上演して話題を呼んでいるこのシリーズ、今回は3年ぶりで6作目となる。
その舞台『あれよとサニーは死んだのさ』は、脚本を劇団はえぎわのノゾエ征爾が手がけ、また新しいフィールドへと踏み込む意欲的な公演だ。
演出はもちろん「月影」のブレーンとも言うべき木野花。さらに注目を集めているのが、前シリーズ「月影十番地」の『約yakusoku束』以来、なんと13年ぶりという池谷のぶえの参加。そのほかにも川上友里、大鶴佐助、竹井亮介、入江雅人と一癖ある個性派揃いのキャストたちで、どんな舞台を作りあげるのだろうか?

そんな今回の「月影番外地」の世界について、高田聖子・池谷のぶえ、木野花が語り合った「えんぶ12月剛」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介。

高田聖子 木野花 池谷のぶえ

のぶえちゃんってあぶない人かなと

──作のノゾエ征爾さんは月影シリーズは初めてですが、どんな経緯から?

高田 私はここ数年ですがよく拝見するようになって、ニッポン放送のイマジンスタジオで上演した『其処馬鹿と泣く』とか、広島で滞在制作して東京でも上演した『飛ぶひと』とか、すごく面白いなと思ったので。

木野 私も『病は気から』とか『命売ります』など観ています。原作のあるものを独特の世界に作り直しているなと。

池谷 ノゾエさんは、私の勤めていたENBUゼミナール松尾スズキクラスの生徒さんだったので、「頑張れ!」みたいな気持ちでよく観ていました。

──今回の作品ですが、介護士と老人たちの物語だそうですね。

木野 近未来の話で、ミトリーマンという仕事があるという設定になっています。ノゾエさんは『病は気から』では1000人近くの60代以上の方とお芝居を作ったり、特別養護老人ホームで芝居したり、ある意味得意分野の話なので、きっと私たちの気づかない視点から書いてくれるのではないかと。

高田 良い話になってしまいそうな題材ですが、ノゾエさんなら、ぎりぎりそうならないところで作っていただけるんじゃないかと。それが出来る方なので。

──その作品で月影に13年ぶりに池谷さんが出演します。お二人から見てどんな女優さんですか?

木野 『約 yakusoku 束』の前に私の演出の『夏の夜の夢』に出ていて、シェイクスピア作品だったからか、普通の演技ができる上手い役者という印象でした。でも狂気もチラチラ見えて「のぶえちゃんってあぶない人かな」と。

高田・池谷 (笑)。

木野 今も普通みたいに見えるけど、装ってるだけで(笑)。その「あぶない」というか「あやしい」ものを、手なずけてて、芝居によってガーッと出してくるんです。『約束』で、それをとても感じたから、ぜひもう一度演出してみたかったんです。

高田 のぶえちゃんのお芝居は、いつも「なんかエロい」なと。

池谷 (笑)聖子さんはエロスに対して厳しい目を持っている方なので、そう言っていただけると嬉しいです。

高田 大っぴらではなくて、中で渦巻いているエロスなんです。

──池谷さんは高田さんについてはどんな印象を?

池谷 私は舞台の聖子さんを見てると涙が出てきちゃうんです。

木野 なんで泣くの?

池谷 悲しいんです。悪い意味じゃなくてノスタルジーというか、夕方にひとりぼっちな状態にいるような、そういう気持ちにさせてくれるんです。

木野 哀愁みたいなもの?

池谷 哀愁ですね。いつも客席でそれが見たいと思ってて。それと安心感ですね。自分が言われると嬉しくないんですけど、聖子さんに関しては誉め言葉で、絶対に期待したものは見せてくれるし、それ以上のものを見せてくれるんです。

100%の方たちから絶賛されないと

──このシリーズは木野演出の魅力も大きいですね。

高田 木野さんは「らしさ」とか「スタイル」を押し出さないのがいいんです。作家の色を大事にする。だから1作ごとに違った面白さが出せるんです。

木野 私は「らしさ」とか考えたことないし、「スタイル」も青い鳥の時代にいやというほどやって。でも『クラウドナイン』の初演(1985年)で、初めての脚本で初めての役者たちと、青い鳥のスタイルじゃなくやったら面白いものができた。そこからは、どうやったら役者が面白くなるんだろう、どう演出すれば脚本が面白くなるんだろう、そのことしか考えなくなったんです。そういう意味では「私」はないんです。月影でも福原(充則)さんは挑発的な人で、毎回違う本を書いてきたりするけど、私は脚本と役者に添っていくことだけ考えて。その結果、1作1作違う面白さになったと思います。

──高田さんも女優として新たな一面をこのシリーズで構築しました。

高田 私は「らしさ」の塊のような集団にいるので、そこにあえて乗らないことをいつも意識していたのですが、最初の時に木野さんから色々禁止令が出て。

木野 言い癖とかテンションの上げ方とか、面白くしようとする染みついたものを禁止事項にしたんです。せっかく月影でやるのだから、けれん味のないリアルな日常を、いわば小津安二郎作品のようなものをやってみたらと。それぐらい違えば変化がはっきり見えるから。でも今はもうあまり言わなくても大丈夫だなと。

──池谷さんは木野さん演出への期待はいかがですか?

池谷 初めて演出を受けたのが15年も前なので、今回が初めてのような気持ちですごく緊張しますけど、緊張しながらも木野さんの言ってくれる言葉が楽しみで。

高田 下がらない言葉なんです。後退しない。いつも前とか上を向いている。

木野 基本ポジティブですからね。演出していても「これ失敗するかな」とか思わないし、思う暇なんかないほどひたすら作っていく。面白がって、自分の今持っている精一杯を注いだ結果としてこれが出来上がったのなら、これしかないわけで。「これが精一杯だからごめんね」と。そこをポジティブと言うならポジティブです。でも相当きわきわの時もありました。脚本がなかなかできないとか。でもそういう時ほど面白い芝居になったりするから。

高田 ドキドキしますけど、へんなアドレナリンみたいなものが湧いてくるんですよね(笑)。

──池谷さんはネガティブを自認していますが、キャリアは自信になっていませんか?

池谷 少しはなってます。私はちゃんとやらなきゃとか、結果を残さなきゃと考えるたちで、目標が高かったのか、いつも出来なくてやだなと思っていたんです。でも歳を取ったせいか少し変わってきました。

高田 大丈夫だとわかったんじゃないの? すでにかなりのレベルに達してるもの。

池谷 自分ではそこは認めてないんです。

木野 それは欲です。みんなそう、満足しないのよ。

池谷 前はその満足のレベルが凄く高かったんです。

木野 それで満足しないってどんなレベルよ(笑)。

池谷 実際は無理なんですけど、観た100%の方たちから絶賛されるとか(笑)。70%とか80%では全然ダメで。完璧主義だったんです。今はだいぶダルダルになりましたけど(笑)。

つるまない人ばかりという感じの6人

──月影シリーズは「番外地」から数えるともう16本目で、女優さんが発信する公演としては、ここまで続くのはなかなかないことですね。

池谷 成功したのは聖子さんの人間力だと思います。聖子さんを中心に何かやろうと思える。女優としても人間としても素敵ですし、羨ましいですね。

高田 気恥ずかしい(笑)でも本当に幸せです。皆さんの力で続けさせてもらってると思っています。

木野 私も月影にパワーをもらってる部分は大きいです。最近、年齢差がある若い人が現場に多くなって、このシリーズでも福原さんと一緒にやるとき、30代の人の書く本を60代の私ができるかしらと思ったんです。でも全力でやってみたら、すごく楽しかったし、「あ、できるんだ!」と。楽しい楽しいと1作1作やってきたから続いたのかなと。

──今回また初参加の若い俳優さんもいて楽しみですね。

高田 大鶴佐助くんと川上友里さんが初参加です。今回のチラシビジュアルの微妙に他人行儀な感じがいいなと思って(笑)。

池谷 合わなそうな6人でいいですよね(笑)。

木野 みんな一匹狼なのよ。つるまない人ばかりという感じ。それにしても、チラシのつるまなさ加減はひどいけど(笑)。この顔ぶれでどんな化学反応を起こすか、始まったら必ず地獄をのぞくことになるんですけど(笑)、そこからみんなで上がっていきたいと思います。

■PROFILE■

池谷のぶえ 高田聖子 木野花

いけたにのぶえ○茨城県出身。94年劇団「猫ニャー」(のち「演劇弁当猫ニャー」)旗揚げから04年の解散まで全公演に参加。舞台・映画・ドラマ・CMなど幅広く活躍中。最近の出演作品は、映画『モリのいる場所』『長いお別れ』(公開中)『アルキメデスの大戦』(公開中)、TV『LIFE!』『執事 西園寺の名推理2』『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』『G線上のあなたと私』、舞台『ゲゲゲの先生へ』『どうぶつ会議』『恋のヴェネチア狂騒曲』など。

たかだしょうこ○奈良県出身。87年『阿修羅城の瞳』より劇団☆新感線に参加。以降、看板女優としてほとんどの作品に出演。座長をつとめるプロデュース集団「月影番外地」公演を定期的に開催、16年の『どどめ雪』では紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。最近の新感線以外の舞台は『俺節』『江戸は燃えているか』『夢の裂け目』『森から来たカーニバル』愛のレキシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』など。

きのはな○青森県出身。74年、演劇養成所時代の仲間5人と女性だけの劇団「青い鳥」結成。80年代小劇場ブームの旗手的存在に。86年退団。女優・演出家として活躍中。最近の舞台出演は、『蜜柑とユウウツ-茨木のり子異聞』『十二番目の天使』『リトル・ナイト・ミュージック』『鯨よ!私の手に乗れ』、演出作品は、「月影番外地」シリーズ(1~6)『海越えの花たち』『クラウドナイン』。2018 年『愛しのアイリーン』でキネマ旬報助演女優賞を受賞。

 

【公演情報】
月影番外地その6
『あれよとサニーは死んだのさ』
脚本◇ノゾエ征爾
演出◇木野花
出演◇高田聖子 池谷のぶえ 川上友里 大鶴佐助 竹井亮介 入江雅人
●12/3~12◎ザ・スズナリ
〈料金〉5,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(全日10:00~18:00)
〈公式Twitter〉https://twitter.com/bangaichi2012

 

【構成・文/宮田華子 撮影/友澤綾乃】

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