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Patch stage vol.13『カーニバル×13』間もなく開幕!田中亨インタビュー

劇団Patchの13回目の本公演、『カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!』(略称:カーニバル×13)が、10月31日にシアターサンモールで幕を開けた。(11/3まで、11/6~11/10◎大阪 ABCホール)

劇団Patch本公演第13回目となる今作は、脚本・演出に細川博司を迎え、劇団Patch史上、かつてないチャンバラエンターテインメント!
──最後まで立っていた者だけが地球に還る事が出来る、月の牢獄。
決して死ねない罪人達の、果てしないバトルロワイヤルが始まる!

この公演で主役の浦を務めるのは田中亨。まだ20歳になったばかりの若手俳優だが、外部舞台も数多く経験するなど期待を集めている。そんな田中にこの作品や劇団のこと、俳優としての今を語ってもらった。

罪人たちが送り込まれる牢獄で地球に帰るためのバトルが

──まず今回の作品ですが、初主演と聞いたときはいかがでしたか?

実は2年ぐらい前に、僕の主演について劇団の中で話が出たことがあって、その時は「まだ技術が足りない」という評価で、自分でも確かにそうだなと。そこから2年経って、この作品で主演をさせてもらえることになって、やっと責任を持たせてもらえるようになれたかな、先輩たちにも信頼してもらえるようになれたかなと、すごく嬉しかったです。

──今回は劇団バンタムクラスステージの細川博司さんが、初めてPatchで作・演出をしますが、これまでとは違うものになりそうですか?

そんなに違うものにはならないと思います。いつものように殺陣もありますし、どんちゃん騒ぎもあるし(笑)、いつも以上にPatchらしいものになるのではないかと。設定としては、罪人たちが送り込まれる牢獄があって、そこは地球ではない星で、そのバトルに勝ち抜かないと地球へ帰れないんです。僕の役の浦は、何故そんなところにいるのかわからないという無垢な少年なのですが、たぶん僕の新しい一面を見せられるのではないかと思っています。

末満(健一)さんに「努力するしかない」と言われて

──田中さんは劇団Patchオーディションでグランプリを受賞し、入団したわけですが、この世界に入ろうと思ったきっかけは?

最初は単純に憧れですね。華やかな世界に入って騒がれたい(笑)みたいな。でもPatchに入ってお芝居をするうちに、俳優という仕事の面白さに目覚めたんです。僕は劇団に入った当初は自分がないというか、お芝居についてもちゃんと考えてなかったんです。でも先輩たちが、人間としても役者としても必要な基礎の部分を教えてくれて、すごく鍛えてもらいました。だからPatchで俳優としてのスタートが切れて、本当によかったと思っています。

──劇団に入ってちょうど4年ということですが、作品ごとに成長していますね。

色々な作品に出演させてもらえることが大きいです。毎回沢山のことを学べるので。それに20歳になって視野が広がったこともあって、自分を客観視できるようになりました。そういう変化の中で、自分でも成長できているという実感があります。

──劇団Patchのメンバーは、それぞれ個性的だし元気な人が多いですね。

関西人ですからみんな熱いんです(笑)。でもその熱さをそのまま出してくる先輩もいれば、表面は穏やかでも内側でめらめら燃やしている先輩もいて、僕自身はどちらかと言えば内で燃やしているほうですが、どちらの先輩からもすごく刺激を受けています。うちの劇団は、先輩後輩の垣根なしに話し合えるところがいいし、お芝居でもどんどんぶつかっていける。とても居心地の良い場所なんです。

──劇団以外への出演も多くて、今年5月のTRUMPシリーズ『COCOON 月の翳り星ひとつ』「月の翳り」編では、貴族の御曹司ジュリオ役という大きな役どころで注目を集めました。

「月の翳り」ではキャリア豊かな俳優の方々の中に入れていただいて、毎日学ぶことばかりでした。出演者の中で一番年下なのに上級貴族5人組の1人という大役で、正直周りの方との経験の差をすごく感じて、演出の末満(健一)さんに相談したら、「努力するしかないよ」と言われて、「よし、とにかく努力しよう」と。末満さんも個人稽古を沢山してくれるなど鍛えてくれてありがたかったです。またいつか末満さんの舞台に出していただきたいです。

高校の時から観ていて好きだったiaku

──そして9月にはiakuの『あつい胸さわぎ』に出演しました。この作品への出演もオーディションで獲得したそうですね。

僕はもともとiakuの舞台が好きで、高校の時からよく観に行っていたんです。それで、次の公演のオーディションがあると知って「絶対に出たい!」と思って。

──iakuの芝居のどんなところが好きですか?

横山(拓也)さんの書く作品は、少人数での会話劇の面白さなのですが、とくに最後にかけての葛藤がすごいんです。『あつい胸さわぎ』で言えば母娘ゲンカのシーンで、人の意見がぶつかり合う瞬間は、観ていて鳥肌が立ちます。観終わったあともずーっと考えてしまいます。だから横山さんが新作を作ると聞いた時、ぜひその一員になりたいと。台詞が関西弁ということも、自分の持ち味を発揮できるんじゃないかと。

──関西弁はiakuの芝居では大きな要素ですね。それにしてもiakuの世界観にすごく馴染んでいて、リアルな演技でした。

読み合わせの時点からまったく違和感なく入れたんです。台詞もすらすら言えるし、物語の中にどんどん引き込まれていって。演じた川柳光輝という役も、年齢とか演劇をやってるとか、一見自分に近かったんですけど、稽古を重ねているうちに、自分とは別の光輝という人間に近づいていく感覚があって、気づいたら光輝としてあの世界で生きていた気がします。

──田中さんの等身大を生かしつつ、横山さんの視点でみた現代の青年像が丁寧に描かれていました。横山さんの演出はどんな感じでしたか?

台詞の裏にある感情を細かく話し合うんです。「なんでこんなこと言うんだと思う?」とキャスト1人1人に問いかけて、それぞれ意見を交換しながら作り上げていくので、とても濃い稽古時間でした。

──iakuで得たものは、これから演劇をやっていくうえで、田中さんの基盤になりますね。

本当にそう思います。オーディションを受けてよかった(笑)。初めての演出家の方の現場に行くと、演出する言葉が全然違うので最初は戸惑うこともあるのですが、吸収できることは吸収したいし、今のうちなら沢山失敗できるし、どんどん経験を増やしていきたいです。

Patchの良いところがすべてわかる作品

──そんな経験を重ねたうえで、これから俳優として目指すものは?

これが目標ですというのははっきりとはないのですが、毎回いい意味で期待を裏切れるような俳優になりたいです。ずっと観てくださっている方に「こんな一面もあったんだ?」とびっくりしてもらいたいし、自分も自分に驚きたい。

──最後に改めて、この作品を観る方へのメッセージを。

劇団Patchはこれまでも色々な作・演出家さんと作品作りをしてきましたが、今回はいつにも増してPatchらしさを感じてもらえる作品になっているのではないかと思います。どエンタメで、殺陣もありますし、日替わり出演も入れたらPatchの劇団員全員が出演します。これを観ていただけるとPatchの良いところがすべてわかります。そんな作品の主演をさせていただけるのは責任も重いのですが、みんなが支えてくれるという信頼感があります。全員で力を合わせながら、助け合いながら、作っていきたいです。タイトルも「カーニバル×13」ということで、いつもの13倍ぐらい(笑)気合いが入ってますので、ぜひ楽しみにしていてください。

たなかとおる○1999年生まれ、大阪府出身。「第4回 劇団Patchオーディション」でグランプリ受賞後、芸能界デビュー。劇団Patchの4期生として、数々の本公演や外部作品に参加。今作品が初主演となる。最近の出演作品は、Patch × TRUMP series 10th ANNIVERSARY『SPECTER』、TRUMPシリーズ『COCOON 月の翳り星ひとつ』、iaku『あつい胸さわぎ』など。

【公演情報】
Patch stage vol.13
『カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!』
脚本・演出:細川博司(バンタムクラスステージ)
出演:田中亨/近藤頌利/吉本考志 藤戸佑飛 尾形大吾/井上拓哉 竹下健人 星璃 /松井勇歩 ほか
*回替わり出演として、中山義紘、三好大貴、納谷健がいずれかの公演で出演予定。
●10/31~11/3◎東京 シアターサンモール
●11/6~11/10◎大阪 ABCホール
〈料金〉前売5,500円 当日6,000円(全席指定・税抜・未就学児童入場不可)
〈劇団Patch公式HP〉 https://www.west-patch.com/

 

【取材・文/榊原和子 撮影/田中亜紀】

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