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観終わった後に心が温かくなる作品、明治座公演『いくじなし』玉城裕規インタビュー

 

玉城裕規がまた新たな地平を切り開く。9月20日から開幕する明治座主催「坂本冬美特別公演 中村雅俊特別出演」の第一部 『いくじなし』。平岩弓枝による人情物語。しかも、演出は石井ふく子と、これまでのキャリアとはカラーの違う作品で、新しい自分を発見する。

昨年上演されたKAAT神奈川芸術劇場プロデュース『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。』など貪欲に作品の幅を広げ続ける実力派は、今どんなことを考えているのだろう。「えんぶ10月号」に掲載されたインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

石井先生は、生きる伝説のような方

──台本をお読みになった感想はいかがですか

時代物の作品をやらせていただいたことはありましたが、こうした下町を舞台にした本格的な時代劇は初めてなので新鮮でした。坂本冬美さん演じるおはなからは女性の強さ、中村雅俊さん演じる六助からは男性の優しさが感じられて。観終わった後に心が温かくなる作品だなと思いました。

──石井ふく子先生ともすでにお会いになったとか。ぜひ感想を聞かせてください。

先生は相手の目の奥をご覧になるんですね。僕からすると、それがすべてを見透かされているような感覚で。テレビで先生のドラマを観てきましたが、改めて生きる伝説のような方だなと思いました。

──先生とはどんなお話を?

僕が演じる卯之吉について話を聞かせていただきました。一番印象的だったのは、目についてですね。沖縄生まれということもあって、僕は目が強いんですけど、卯之吉は葛藤を抱えた役なので、もっと目のあり方を研究してほしいと。先生と親しくされているヘアメイクさんからは「スッと遠くを見るような目で」とアドバイスをいただきました。目については今回いろいろ表現を工夫しなきゃいけないところかなと考えています。

──明治座での公演についてはどんな感慨がありますか。

明治座さんは舞台の上に立たせていただくだけで高揚感があるというか、背筋がピンとなる劇場ですね。あとはやっぱり明治座さんといえば、のぼり旗。みなさんそうだと思いますが、初めて掲げていただいたときは確実に写真を撮りますよね(笑)。公演が終わった後にのぼりをいただいたんですけど、思った以上に大きくて。今も事務所に大事に保管させていただいています。

改めて確信したことは、僕ってハート弱!(笑)

──玉城さんも今年の12月で37歳に。30代も半ばを過ぎ、役者としての心構えに何か変化はありますか。

若い頃は「我が我が」という意識が強かったんですけど、今はそういった自我はだいぶ削れて。何かを残そうと躍起になるのではなく、結果的に「玉城にしかできないらしさが出てたよね」と言っていただけるものがあればいいかな、くらいの感覚になりました。頭で考えすぎず、まっさらな状態で作品に臨めるようになったのは大きな違いかもしれません。

──なぜそう思えるようになったんでしょう。

その方が吸収できるんですよね。そして吸収した分だけ幅が広がるし、自分の知らない自分を知ることができるんです。

──たとえば最近だと自分に対してどんな新しい気づきがありましたか。

うっすら思ってたんですけど、改めて確信したのが、「僕ってハート弱!」と(笑)。周りからは緊張していないように見られるんですけど、ガッチガチですから。初めての現場だと前日はほぼ眠れません(笑)。

──そんな新人みたいな(笑)。

それが年をとるごとにそうなっていったんですよね。むしろ新人の頃の方がハートは強かったと思います。失うものがなかったからでしょうね。今は少なからず年齢と共に重ねてきたものがある分、変なプライドができてしまって、それを崩せなくなっているのかなと。

──タイトルにちなんで、玉城さんの「いくじなし」なところを伺いたかったんですけど、まさにそこですね。

まさにです(笑)。僕の「いくじなし」の部分を作品にしても、誰も共感できない。女々しすぎて、みなさん腹が立つと思います(笑)。

──じゃあ、今回も初めてだらけの現場ですが、緊張しすぎないように。

そうですね。縮こまってもいいことはないので。大先輩方の胸をお借りして、甘えられるところは甘えながら頑張りたいです!

たまきゆうき○沖縄県出身。2010年、Japan Anime Live で『NARUTO-ナルト-』サスケ役を務めたことをきっかけに舞台『少年ハリウッド』に出演し注目を集める。以降、舞台や映像で活躍中。最近の出演舞台は『湊横濱荒狗挽歌~新粧、三人吉三。』、ライブ・スペクタクル『NARUTO-ナルト-』 ~うずまきナルト物語~、舞台『文豪とアルケミスト 捻クレ者ノ独唱(アリア)』、『修羅雪姫 -復活祭50th – 修羅雪と八人の悪党』など。映画『刀剣乱舞-黎明-』と『NOT BEER』(主演)が2023年公開予定。

【公演情報】
「坂本冬美特別公演 中村雅俊特別出演」
第一部『いくじなし』
作:平岩弓枝
演出:石井ふく子
出演:坂本冬美 中村雅俊 小林綾子 玉城裕規 沢田亜矢子 横内正 ほか
第二部 『坂本冬美オンステージ 2022  艶歌の桜道(うたのはなみち)スペシャルゲスト中村雅俊』
●9/20~10/18◎明治座(東京都中央区日本橋浜町 2-31-1)
〈料金〉S席(1・2階席)13,500円 S席(1・2階席)13,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター:03-3666-6666(10:00~17:00)
[10 名様以上のグループ観劇予約]明治座営業部:03-3660-3941(9:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.meijiza.co.jp/lineup/2022/09/

 

【文/横川良明 撮影/岩田えり】

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