オリジナルミュージカル 『GREY』高橋由美子・梅田彩佳 インタビュー
ミュージカル『いつか~one fine day』で高い評価を得た板垣恭一(脚本・演出)と桑原まこ(音楽)のコンビが、3年振りに紡ぐ新作オリジナルミュージカル『GREY』が、12月16日~26日、俳優座劇場で上演される。
「社会派エンタメ」を標榜する板垣が今回のテーマに取り上げたのは〝SNS社会とコミュニケーション〟。板垣特有の軽やかなストーリーテリングのなか人の心の闇に迫り、その言葉に寄り添う桑原の楽曲が現代をどう映し出すかに大きな注目が集まる。
そんな作品で劇中のテレビ番組「ザ・レジェンド・メーカー」の噂を暴こうとする局員・九条紫役の高橋由美子と、野心家な美人アナウンサーの室井茜役の梅田彩佳が、新たに生まれるオリジナルミュージカルへの思いを語ってくれた「えんぶ10月号」からインタビューをご紹介する。
登場人物の悩みがどこかに刺さる
──いまの時点で作品に感じていることからお聞かせください。
高橋 時代にあった作品になるのではないかと感じています。とてもよく調べて書かれている作品でリアリティに溢れていますが、フィクションも上手く加味されていますから、面白い展開になれば良いなと思っています。
梅田 登場人物それぞれが抱えている悩みが、ご覧になる方々のどこかに刺さるんじゃないかなと感じます。私自身も台本を読んでいて様々にそう感じたので、皆様の悩みを解決するまでではなくても、何がしかのヒントですとか、希望が見えたら素敵だなと思います。
──その中で演じる役柄についてはいかがですか?
高橋 私はこれまでも稽古をしながら作ってきたので、あまり事前にこう演じたいとは決めないでいたいのですが、これはあてがきなのかな? とも感じるので、そこをどうお芝居として成立させるかを探っていきたいです。特にミュージカルですから、音の力を借りてやっていけたらいいですね。
梅田 今回私は皆様と「はじめまして」なので、このカンパニーの中でどう自分を出しながら役を見つけていけるか、台詞を交わし合うことで見えてくるものがたくさんあると思うので、お稽古に入るのがとても楽しみです。
──書き下ろし完全オリジナルの新作ミュージカルということですが、だからこその醍醐味、また一方で難しさなどはどうですか?
高橋 憧れていた役に挑戦するのとは違う、オリジナリティの中で演じる楽しみと怖さ、相対するものが混ざり合っています。でもゼロから創るということはつまり私達がオリジナルになれるし、翻訳ミュージカルだとどうしても日本語とメロディーの流れが合わなくなったりするのですが、日本語の為に書き下ろされる曲ではその心配がないので、楽しみですね。
梅田 私も過去に演じた人を意識せずに、本番まで試行錯誤しながら作っていけるのが嬉しいのですが、台詞や歌もどんどん変わっていくのかな、対応できるだろうか、がちょっと不安です。
高橋 そんなに変わらないでしょう? 変えたら板垣(恭一)さんに「できない!」って言う!(笑)。
梅田 本当ですか? 頼もしいです!
高橋 変わらないことを願おう!(笑)。
観る方にノッキングを起こさせる力がある
──お二人とも初共演とのことですが、お互いの印象は?
高橋 お見合いみたい!(笑)若いパワーがすごいのと、カンパニーで小柄な人が私だけじゃないのがとっても嬉しい(笑)。
梅田 私もです! しかも高橋さんはずっとテレビで拝見していた方なので、こうしてご一緒していてもドキドキしますし、同じ舞台に立てるので頑張らないと。特にこの作品って現代にそのまま通じる部分がたくさんあるじゃないですか。
高橋 そうだね。
梅田 だからこそ観たあとに皆さんに何を感じていただけるのか、それぞれの人生のなかで作品が何かのフックになってくれたらいいと思いますし、そうなれるようにこれからお稽古頑張っていきます!
高橋 観る方にノッキングを起こさせるくらい力のある作品になると思うので、願わくは帰り道で気が付いたらメロディーを口ずさんでいた、と言ってもらえるものにしていきたいです。是非劇場で観ていただけたら嬉しいです!
■PROFILE■
たかはしゆみこ〇埼玉県出身。1989年ドラマで女優デビュー。翌年歌手デビュー。94年主演ドラマ『南くんの恋人』(EX)と、主題歌『友達でいいから』が大ヒットし“20世紀最後の正統派アイドル”と呼ばれ人気を博す。98年スタートのドラマ『ショムニ』(CX)シリーズでも活躍。数多くの舞台、ミュージカル、TVドラマなどに出演。主な舞台作品に『時子さんのトキ』『夜、ナク、鳥』劇団☆新感線『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックIII』『モーツァルト!』『レ・ミゼラブル』等がある。21年には歌手デビュー30周年コンサートを日本⻘年館で開催した。
うめだあやか〇福岡県出身。2006年、第2期AKB48追加メンバーオーディションに合格。その後、総選挙16位となり選抜メンバーへ。チームBキャプテンとなる。NMB48での活動を経て、10年間所属したAKBグループを16年に卒業。14年に出演したブロードウェイミュージカルや、宮本亜門演出『ウィズ』への出演をきっかけにミュージカルに目覚め、19年より『Endless SHOCK』で同役キャスト最長となる3年連続ヒロイン・リカ役を務めるなど、本格的なミュージカル女優としての確立を目指し躍進中。
【公演情報】
オリジナルミュージカル『GREY』
脚本・作詞・演出◇板垣恭一
作曲・音楽監督◇桑原まこ
出演◇矢田悠祐 高橋由美子
佐藤彩香 竹内將人 梅田彩佳
遠山裕介 羽場裕一
●12/16~26◎俳優座劇場
〈お問い合わせ〉info@consept-s.com
〈公式サイト〉https://www.consept-s.com/grey/
【構成・文/橘涼香 撮影/中村嘉昭】
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