フレンチコメディの傑作『しあわせの雨傘』で好評主演! 賀来千香子インタビュー
4月25日に緊急事態宣言発出による要請を受け、中止を決定せざるを得なかった、「しあわせの雨傘」ですが、スケジュール調整が出来ましたので、急遽5月22(土)、23日(日)に上演を致します。
キャンセルをお願い致しましたお客様には、ご迷惑をお掛けしましたが何卒お許し下さい。この公演は急遽の決定ですので、各プレイガイドの前売り開始日が異なります。またプレイガイドは前回と変更もございます。
なお緊急事態宣言が予定通りの期間で終わることで公演が成立致します。私共も感染予防に努め、安心してご覧頂けるようにして参ります。どうぞ皆様も感染予防にお気を付けてお過ごしくださ
公演を楽しみにしていただきましたお客様には、大変申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
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社会の中で自分の居場所を探す女性の姿をコミカルに描くフレンチコメディの傑作『しあわせの雨傘』が、全国での上演を経て、4月27日~29日、銀座の博品館劇場で上演される。
『しあわせの雨傘』は、『8人の女たち』のフランソワ・オゾンが、カトリーヌ・ドヌーヴ主演で映画化した大人のフレンチコメディ作品。物語は、1970年代後半。地方の傘製造会社の“飾り壺“=お飾りに過ぎない、と思われている社長夫人シュザンヌが、独善的な経営者である夫と労働者たちの対立を前に、父親が遺した会社を自ら取り仕切っていく姿をコミカルに描いていく作品。約50年前の世情と現在も変わらない女性と社会の関係を、あくまでもコメディとして、笑いの中に批判精神を込めているウィットとエンターテイメント性があふれている。
そんな作品で、初演・再演に続いてヒロイン・シュザンヌを演じている賀来千香子が、従順な妻であり家庭を大事にする母でありつつ、可愛いだけではない、隠れた実力を秘めた優れた女性を演じる上で大切にしていることや、鵜山仁の演出、作品や舞台に感じる魅力などを語ってくれた。
演じれば演じるほど学びがある
──各地での公演はいかがですか?
お客様が皆様とても温かくて! 何しろこのコロナ禍ですので、医療従事者の方々をはじめとして大変な状況にいらっしゃる方がたくさんおられる中で、舞台の幕を開けることは、果たしてどうなんだろうかと考えることも多くあったんです。でもお客様がとても喜んでくださっているのが伝わってきて、大きな拍手もいただけて、やっぱりこういう時だからこそ楽しむことが大事なんだと感じて、日々の公演を感謝と共に丁寧に過ごしています。
──そのような中で、改めてこの作品の魅力をどう感じていますか?
ずいぶん前に書かれた戯曲なのですが、いまちょうど女性が置かれてきた、ジェンダーによる差別の問題提起が色々と起こっている時期なこともあって、今の時代にもリンクする作品になっているんですね。また労働者と経営者との軋轢ですとか、色々なことが盛り込まれていつつ、全体を貫いているのはフレンチコメディの楽しさなのがとても良いなと思っています。勉強になることもたくさんあるのですが、それを楽しく観ていただける作品になっているのが素敵ですね。
──演じるヒロイン・シュザンヌ役についてはどうですか?
シュザンヌは大きな愛を受けて育った人だと思っています。お父さんが大好きで、職人魂や、社員の人を大切にしていた姿もきっと見てきている。愛を受けて育ったからこそ、人に愛をもって接することができる女性です。一見ただの飾り壺のような存在かと思いきや、実はすごくポテンシャルを秘めていて、前向きで、何事にもポジティブであることで可能性を切り拓いていく。彼女は心を込めてひとり一人に接すれば、物事は必ず改善されていくと信じているし、それが実際に作品の展開の中でちゃんと届いていくので、演じれば演じるほど自分にも学びがある役柄ですね。
──長く演じていらしても、まだまだ発見があるんですね?
そうなんです。日々発見があって、逆に日々反省もあるのですが、初演の頃からを考えると、きっとずいぶん演じ方も変わっているのではないかなと思います。
自信をつけても心は謙虚なまま
──そんなシュザンヌを演じる上で、大切にしていることは?
人に対して分け隔てがない人だというところですね。誰のことも愛せるチャーミングな女性なので、その時、その場の真実に向かっていく真っ直ぐさを大事にしたいと思っています。1幕は主婦としてはじまりますけれども、私は一家を取り仕切るってすごく大変なことだと思っていて。それをこなしてきた彼女には、それだけの力がちゃんとあって、1幕の最後には「私が会社をやっていく」と演説するんです。そこから2幕の冒頭では3ヶ月間社長として務めてきたあとの描写になるので、自信もつけていますから雰囲気は変わっていないといけないのですが、心はあくまでも謙虚な人のままで。初演、再演の頃は自信に満ちた女性に変化したということの方を意識して演じていましたが、今は自分が心を尽くせば社員も変わってくれる、そのことに感謝を持っている女性だということの方をより大切にしたいと思っているので、2幕の幕が上がる前には、緞帳の奥で「謙虚に、謙虚に」と思ってから演じています。
──そういうシュザンヌの真っ直ぐでチャーミングなところは、まさに賀来さんにピッタリだと思いますが、共演の皆さんについては?
良いチームワークが築けている「仲間」だと思っています。鵜山さんの演出をはじめとしたスタッフの方々が素晴らしいので、キャストが心地良くいることのできる、手前味噌のようですが、本当に良いチームになっていて。その中で皆さん、ご自分が演じるそれぞれの役どころをとても気に入っていらっしゃるので、皆が生き生きしているのが、私にとってもすごく嬉しいことです。
──鵜山さんの演出についてはいかがですか?
非常に緻密な演出で、一字一句計算されたもの。鵜山さんの理想の頂きに行く為に、一つひとつ積み上げていくことを大事に丁寧にしてくださる。あれだけの大演出家の先生なのに「こうしなさい」一辺倒ではなくて、「ここはどうでしょうか?」という役者側の発信も柔軟に受け入れて下さり、独特の鵜山先生語録も(笑)。もちろん緊張はしますが、稽古に威圧感がないんです。その上で全てを見ていて下さるので、私は鵜山さんの演出が大好きです。ダメ出しのひと言、ひと言をクリアしたいと思っていますし、他の方へのダメ出しも全部お聞きしていたい、最高の学びの場ですね。
博品館劇場にとてもあったお芝居
──その作品がまた博品館劇場に帰ってきますが、博品館劇場についてはどうですか?
もちろん全国の色々な劇場での上演も楽しいのですが、特に博品館劇場のキャパシティにとても合ったお芝居だと思っています。お客様を近くに感じられる劇場なので、皆様と共演させていただいている感覚がありますね。
──客席からも舞台をとても身近に感じられる素敵な劇場ですが、舞台からもそう感じていただけているんですね!
そうなんです! しかも初演の時からずっと博品館劇場での上演が、全国で上演してきたツアーのファイナルなので、千秋楽が来たら皆とお別れなんだなという寂しさも感じます。でもだからこそ一日、一日に、更に良いものを博品館でご覧いただけたらと思っています。
──映像でも大活躍を続けている賀来さんですが、映像と舞台作品との違いはありますか?
本当にそれぞれの良さがあって、映像は映像でとても素敵なのですが、舞台でひとつの戯曲を読み込んで、演出家の方のご指導のもと、初日に向かって皆で格闘しながら作っていく舞台が自分は本当に好きなんだと感じていて。大きく表現する事は、気持ちがないと決して出来ないものなので、ひとつの目標に向かって皆で共有して作り上げていく、安心と緊張と共に毎日公演していくのは、プロが勉強になるを連発してはいけないのかも知れませんが(笑)、本当に勉強になって大好きです。やはり毎日の公演がライブなので、その日その日の空気によって、台詞の交わし方も変わってきますし、お客様の反応も「ここで笑いが起きた!」と日々変化していて、お客様にも励ましていただけるのがありがたいし、嬉しいなと思っています。舞台でひとつの役を丁寧に構築していく経験は、必ず映像にも生かせると思うので、舞台作品にもできるだけ毎年、出演して行きたいと思っています。
──それは本当に嬉しく楽しみですが、ではこの博品館劇場での上演を楽しみにされている方達にメッセージをお願いします。
コロナ禍にあって、笑いってとても尊いものだと改めて感じました。エンターテイメントや娯楽、芸術って心を豊かにできるものですし、特にこの作品はフレンチコメディで、クスッと笑っていただけるものなので、状況はまだまだ厳しいですが、この作品をご覧になっている間には楽しく笑っていただけたら。お客様に少しでも元気になっていただけるように、私達も心をこめて演じていきますので、是非劇場にいらして下さい!
かくちかこ◇東京都出身。 スカウトされたことをきっかけに芸能界入り。雑誌『JJ』などで活躍したのち、ドラマ『白き牡丹に』で女優デビュー。『男女7人夏物語』『七人の女弁護士』『ずっとあなたが好きだった』など話題作に出演。女優芝居の殿堂として名高い『細雪』では、次女・幸子、長女・鶴子を歴任。映像、舞台で活躍を続けている。NHK Eテレ『あしたも晴れ!人生レシピ』(毎週金曜、夜8時~放送中)では、司会を務めている。
オフィシャルインスタグラム www.Instagram.com/chikako_kaku_official
【公演情報】
『しあわせの雨傘』
作◇Barillet & Grédy(ピエール・バリエ&ジャン=ピエール・グレディ)
訳◇佐藤康
演出◇鵜山仁
出演◇賀来千香子
永島敏行 井上純一 遠野なぎこ
小泉駿也 吉越千帆(吉の字は土に口になります)
●4/27~29◎博品館劇場
〈料金〉6,500円(全席指定・税込)
※28日視覚障碍者向けの音声ガイドサービスあり。
〈お問い合わせ〉博品館1F TICKET PARK 03-3571-1003
http://theater.hakuhinkan.co.jp/pr_2021_04_27a.html
【取材・文/橘涼香 舞台写真提供/NLT】
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