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舞台『RUST RAIN FISH』まもなく開幕! 西田大輔インタビュー

魚のいない水槽から生まれる想像力で

作・演出を西田大輔が手がけ、自らも出演する舞台『RUST RAIN FISH』が、9月23日から紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて東京公演を行う。(10月3日まで。そののち10月15日~17日、大阪公演をCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演)

本作は西田大輔が描く「世界に一匹だけの寂しい魚」をめぐる本格派ミステリー〈ONLY SILVER FISH〉シリーズで、すでに上演された『ONLY SILVER FISH』『+GOLD FISH』に続く第3弾となる。

“上質なミステリ”をテーマに、史実とファンタジーが混ざり合うワンシチュエーション会話劇として上演するもので、今回は第二次世界大戦時の日本を舞台に立ち上げる。

【あらすじ】
「その魚の名前を知る事が出来れば、たった一度だけ、振り返ることができる……その人にとって……大切な過去を」
本当の名前を知ることができた時、過去を振り返ることができると言われている魚《オンリーシルバーフィッシュ》。幾つもの時代、幾つもの場所を通り過ぎたその魚は今、第二次世界大戦時の日本にいた。
「本当の犯罪者は誰だ?」
ある館に集められた、振り返りたい過去を持つ14人の男女…
彼らは冤罪にかけられた過去を持つ者たちだった。
館の主人は本当の犯罪者を見つけたものに、「オンリーシルバーフィッシュ」の本当の名を教えると。
14名はどのように招待されたのか?誰が嘘をついているのか?一体誰がどんな罪を冒したのか?
それぞれが推理をしていく裏で、国家の命運をかけた大きな作戦が進行していた…………。

この公演では、同じ脚本をチームWHITEとチームBLACKの2チームの出演者が演じるが、それぞれ個性と実力を備えた役者が顔を並べている。また西田自身もチームBLACKに出演する。

このミステリアスな話題作に懸ける想いを西田大輔が語ってくれた「えんぶ10月号」のインタビューを、別バージョンの写真とともにご紹介する。

今、僕らが感じる痛みとして戦争というキーワードが

──このシリーズは「SILVER FISH」という魚が物語のキーになります。その発想はどこから?

「SILVER FISH」というのは世界に一匹だけしかいない魚で、その魚の本当の名前を知ることが出来れば、たった一度、大切な過去を振り返ることができるのですが、そういう物語を、魚のいない水槽と俳優の目線とお芝居の流れだけで作ってみようと思ったんです。それがまさに演劇ならではの想像力の面白さなのではないかと。それにその設定さえあれば、どこの時代でも国でも作れるので。

──その魚がいるところに、振り返りたい過去を持った人たちが集まってくるというのもユニークな設定ですね。今回の背景となるのは第二次大戦中の日本だそうですが、その理由は?

一言でいうと演劇で僕が表現したいこと、それは人間というのは何に痛みを持っているのだろう?みたいなことなんです。そして今、僕らが感じる痛みみたいなことを考えたときに、戦争というキーワードが浮かんできて、それを語るとしたら、自分の国のこととして語る以外は考えられないという思いがありました。

──つまり、このシリーズの登場人物たちは、皆過去に何かあったり、人としての痛みみたいなものを抱えているのですね。台本を読ませていただいて面白いなと思ったのは、登場人物たちが意外とよくある名前なのですが、よく考えると歴史上でキーパーソンとなる人の名前だったりします。

そうですね。登場人物たちはある館に招待されて、全員仮名で物語を生きるんですが、次第にそれぞれの本当の姿が見えてきます。戦争の時代の話は、たとえば戦争に行かされる人の物語はよくありますが、軍人とか指導者の話はあまり書かれていない。戦争する側の人間たちに痛みはあったのかどうか、僕はそこが知りたいなと思っていて。魚にそれを問うみたいな作品でもあるんです。

──西田さんの作品は、様々な時代を背景にした豊かな物語性が魅力ですが、同時に人間の人間らしさと心の葛藤などを描きたいのだろうなと。

その通りです。この作品も痛みと傷を持った14人の人間が1つの場所に集められて、一匹の魚という希望を必死で探していきますが、彼らの中の1人がこの時代に戻ることを特定したわけです。その人間とその心の傷について、観終わったあと皆様に考えていただければ、そこにこそ僕がこの作品を作った意味があると思っています。

その俳優だからこそ出来るものがある

──今回は2チームで日程を分けて演じるのですね。

初めてやらせていただく試みです。最近の舞台作品は原作があるものが多く、そこでは原作のキャラクターにいかに似せるかが大事だったりします。それはそれで1つの見せ方だと思いますが、僕はいつも俳優1人1人に、その人だからこそ出来るものがあるのではないかと思っていて、今回のように全く違う2チームで同じ物語を作ると、これだけ違うんだという発見があって、作り手としても刺激されるんです。

──そういう意味では、登場人物の名前が仮名だったり、それぞれ謎めいた背景を感じさせたりするので、個々の俳優の個性が生かされそうですね

ですから2つのチームをぜひ観くらべていただきたいです。こんなに違うんだと面白がっていただきたいですね。

──コロナ禍という状況ですが、その中で観にきてくださるお客様へメッセージをぜひ。

僕らは劇場で会えるということが一番の喜びですし、できれば今まで通り客席で沢山の方たちとお会いしたいと思っています。どんな状況でも、この場所が皆さんの明日を生きる扉になると信じていますし、その想いで芝居を作り続けたいです。

にしだだいすけ○東京都生まれ。1996年、日本大学芸術学部在学中にAND ENDLESSを結成。旗揚げ以来AND ENDLESSの作品全ての作・演出を手掛ける。2015年に新たな演劇表現の場として「DisGOONie」を設立。旗揚げ公演『From Chester Copperpot』では3作同時上演を果たす。現在、ドラマ脚本や漫画の原作に加え、映像にも進出中。最近の舞台作品は、DisGOONie Presents Vol.7 『PSY・S』(20年 作・演出)舞台『憂国のモリアーティ』(20年 脚本・演出)舞台『DECADANCE』―太陽の子―(20年 作・演出)舞台『真・三國無双 ~赤壁の戦いIF ~』(20年 構成・演出・振付)舞台『血界戦線』第二弾(21年 脚本・演出)ロックミュージカル『MARS RED』(21年 脚本・演出)など。

【公演情報】
舞台『RUST RAIN FISH』
脚本・演出:西田大輔
出演:(50音順)
チームWHITE:天野はな 板倉武志 尾崎由香 鶏冠井孝介 瀬戸啓太 高橋良輔 高柳明音 竹井亮介 廣野凌大 藤澤ノリマサ 松村龍之介 宮平安春 山本涼介 吉田ウーロン太
チームBLACK:赤塚篤紀 佐久間祐人 杉山健一 田中良子 谷口賢志 塚本拓弥 堂本翔平 西田大輔 能條愛未 萩野崇 松永有紗 宮下雄也 村田洋二郎 山口大地
●9/23~10/3◎東京公演 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
〈料金〉プレミアムチケット(特典付)12,500円 一般席9,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
●10/15~17◎大阪公演 COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
〈料金〉プレミアムチケット(特典付)12,500円 一般席9,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12時~15時)
〈公式サイト〉https://www.mmj-pro.co.jp/rustrainfish/
〈公式Twitter〉 @Rust_Rain_Fish

 

【構成・文/榊原和子 撮影/田中亜紀】

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