ショーン・ホームズ演出、原田美枝子・八嶋智人・成河らの出演による『桜の園』開幕!
PARCO劇場開場50周年記念シリーズ『桜の園』が、8月8日に初日を迎えた。公演は東京公演終了後、宮城、広島、愛知、大阪、高知、福岡と巡演する。
ロシアの劇作家アントン・チェーホフが1903年に執筆、翌年に初演された『桜の園』。本作の大きな時代の転換点に人生の価値観の変化を余儀なくされ、内に葛藤や矛盾を抱えている登場人物の姿は、現在を生きる私たちに通じるものがある。
今回の台本は、サイモン・スティーヴンスが現代の俳優が語るにふさわしい軽妙な台詞に書き換えながらも、『桜の園』の本質を率直に捉え、戯曲を古典文学としてではなく現代の劇場で上演するものとしてアダプテーションしたもの。
『セールスマンの死』を新たな解釈で魅せたショーン・ホームズにより120年前の物語が、時代を超え、国境を越え、今なお現在に生きる私たちに問い掛けてくる「声」を掘り起こし、2023年に響かせる。
【あらすじ】
外はまだ凍えるように寒い5月。
女主人のラネーフスカヤがパリから5年ぶりに、ふるさと“桜の園”に帰ってくる。帰還を喜ぶラネーフスカヤの兄ガーエフ、養女ワーリャ、老召使フィールス、近くの地主ピーシチクたち。だが領地を任せたガーエフに経営の才はなく、ワーリャが取り仕切るも、負債は膨らむばかり。借金返済のため、銀行は8月に領地である“桜の園”を競売にかけようとしている。
“桜の園”の農夫の息子だったロパーヒンは今や実業家。彼は桜の木を切り払い、別荘地として貸し出せば、競売は避けられると助言する。しかし、美しい“桜の園”を誇りにするラネーフスカヤとガーエフは破産の危機も真剣に受け止めようとしない。
以前より管理人のエピホードフから求婚されていたメイドのドゥニャーシャは、ラネーフスカヤに仕えてパリで暮らしていた召使ヤーシャに惹かれるようになる。一方、競売まで一か月と迫り、ロパーヒンは重ねてラネーフスカヤとガーエフに、領地を別荘地にして競売を避けるようにと説くが、二人は承知せず、あてにならない話にすがろうとする。
母ラネーフスカヤと共に戻ったアーニャは、同行していた家庭教師シャルロッタの無駄なおしゃべりや手品に退屈していたが、大学生であるトロフィーモフが抱く新しい思想に触れて、“桜の園”の外で新しい生き方を選ぶことを考え始めていた。
“桜の園”競売の当日にもかかわらず、相変わらず呑気なラネーフスカヤたち。そこへガーエフとロパーヒンがやってきて、競売の結果を報告するのだが……。
来たるべき新しい時代を見据えて変革を厭わない人々。対して、落ちぶれてもなお、過去にすがり現実を見ようとせず時代の波に取り残される領主貴族たち。それぞれが向かう先とは……。
【配役】
ラネーフスカヤ役——- 原田美枝子
ロパーヒン役 ———– 八嶋智人
トロフィーモフ役 ——- 成河
ワーリャ役 ————- 安藤玉恵
アーニャ役 ————- 川島海荷
エピホードフ役 ——— 前原滉
シャルロッタ役 ——— 川上友里
ヤーシャ役 ————- 竪山隼太
ドゥニャーシャ役 ——- 天野はな
ピーシチク役 ———– 市川しんぺー
ガーエフ役 ————- 松尾貴史
フィールス役 ———– 村井國夫
【取材会】
初日を前に8月7日に取材会が行われた。登壇者のコメントは以下の通り。
演出:ショーン・ホームズ (テキストによるコメント)
PARCO劇場で3作目となる演出の機会をいただいたことをとても光栄に思っています。
そしてさらにそれがチェーホフの傑作戯曲「桜の園」であることは非常に光栄なことです。私の長きにわたる友人でありコラボレーターのサイモン・スティーヴンス版の「桜の園」は、ダイナミックでありながら、原作に忠実で、その奥深さ・矛盾・ばかげた不条理を捉えています。
原田美枝子さんをはじめとする、作品への情熱と才能に溢れるキャストの皆様とご一緒できたこと、そして「セールスマンの死」を共に創ったクリエイティブチームの皆様と再びご一緒できたことは本当に大きな喜びでした。このプロダクションが、同じようにまた観客の皆様を刺激し、楽しませ、そして感動させるものになることを願っています。そして、7日のプレビュー公演で初めて観客の皆様とこの作品が出会う瞬間を楽しみにしています。
原田美枝子:ラネーフスカヤ役
パワフルで繊細で楽しい、素晴らしい演出のショーンさんが船長となって大航海に出ていく感じです。良い船出ができると思います。ショーンさんは皆の力を引き出してくれるので、こちらもついついエネルギーを出してしまう程、毎日芝居をするのが楽しい稽古場でした。人の心を動かすとはこういうこと事なんだと体感できると思いますので、是非劇場に足をお運びください。
八嶋智人:ロパーヒン役
演出家のショーンさんは演劇的スタミナがすごくあって、稽古の密度もあり楽しいから、ついつい我々もどんどん役に入っていきました。役の関係性が、素の関係性にも入り込んでいくので、八嶋は美枝子さんにメロメロでした。(安藤玉恵さんから突っ込みが入り、「あなたの事は好きなんですけど」と笑わせる場面も )ショーンさんを中心にチェーホフの作品が新しい形で出来上がっていて、我々もつくりながらワクワクしていました。たくさんの人に劇場で体験をしていただけたら嬉しいです。
成河:トロフィーモフ役
演出のショーンさんや美術のグレイスさんの発想が刺激的で、そんな考え方や表現の仕方があるんだ!と日々驚きの連続でした。今日のプレビュー公演はショーンさんもいらっしゃるので、まだまだ作品を尖らせて、余分なところも削ぎ落としていけると思っております。お越しいただいた皆様からのご意見もいただいて一緒に作品を作っていただければと思います。
安藤玉恵:ワーリャ役
演出のショーンさんは稽古中に「Lovely」とか「Well done!」という言葉で導いてくれたのですが、言われるだけでやる気が出てくるし、「Are you happy?」とキャストがhappyか聞いてくれるので、演じるのが楽しくてしょうがない稽古場でした。チェーホフの作品は難しいと思われるかもしれませんが、ショーンさんと一緒に理解しやすい作品になったと思います。ぜひ皆さまに見てもらいたいです。
川島海荷:アーニャ役
海外の演出家の方とのお仕事は初めてだったのですが、ショーンさんはセリフの語尾など些細な部分から心の中がバレてしまうんです(笑)初めて『桜の園』読んだ時は難しい印象だったのですが、稽古を重ねていくうちにやればやるほど面白い作品になっていきました。私は初舞台がPARCO劇場だったので、成長した姿をみせられるように頑張りたいです。
前原滉:エピホードフ役
ショーンさんの演出作品に出演するのは今回が3回目ですが、毎回毎回、面白い作品が続いていて、「こういうふうに作品を組み立てていくんだ!」という驚きがあります。今日の稽古でも直前に変更があったりしましたが、どんどん豊かになっていくのを自分でも感じるので皆さんが観たことのない『桜の園』が観られると思います。是非劇場にお越しいただいて楽しんでいただければと思います。
松尾貴史:ガーエフ役
ショーンさんとの稽古は泉のようにアイデアが湧き出てくるので毎日が驚きの連続でした。公演が続いていく中でどのように成長していけるかがテーマかと思いますので、全国の皆さまにも楽しみにしていてもらえたらと思います。稽古が始まる前に『セールスマンの死』に出演していた鈴木保奈美さんにショーンさんのことを聞いたところ「雰囲気がリベラルでアイデアを採用してくれる」と聞いていたので安心して稽古に臨みましたし、全くその通りでした。
村井國夫:フィールス役
ショーンさんは、言葉の一つ一つの裏を考えて、なぜその言葉になったのかを深堀し、人間の欲望、裏切り、醜いものまでを掘り起こして、我々に演出をしています。日々、深いものを感じさせていただいてるので、これから全公演演じるのがとても楽しみです。自由さと美しさが日々変わっていっているので、参加できてよかったなと思っています。
【公演情報】
PARCO劇場開場 50 周年記念シリーズ『桜の園』
作:アントン・チェーホフ
英語版:サイモン・スティーヴンス
翻訳:広田敦郎
演出:ショーン・ホームズ
出演:原田美枝子、八嶋智人、成河、安藤玉恵、川島海荷、前原滉、川上友里、竪山隼太、天野はな、市川しんぺー/松尾貴史、村井國夫
●8/8~29◎東京公演 PARCO 劇場
〈チケット問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(月~金 12:00~15:00)
〈公演に関する問い合わせ〉パルコステージ 03-3477-5858
〈公式サイト〉https://stage.parco.jp/program/sakuranosono2023/
●9/2◎城公演 東京エレクトロンホール宮城 大ホール
●9/6◎広島公演 上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)
●9/13◎愛知公演 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
●9/16・17◎大阪公演 森ノ宮ピロティホール
●9/20◎高知公演 高知県立県民文化ホール・オレンジホール
●9/23・24◎福岡公演 キャナルシティ劇場
【舞台写真撮影:細野晋司 会見写真撮影:岡千里】
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