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『両国花錦闘士』本日開幕! 雪乃童役の大鶴佐助インタビュー

岡野玲子の漫画原作の初舞台化となる『両国花錦闘士』は、明治座、東宝、ヴィレッヂというそれぞれ歴史もカラーも異なる三社から同じ年齢の男性プロデューサー3名が立ち上げた“三銃士企画”の第一弾となる公演だ。本年 12月5日~23日の明治座を皮切りに、2021年1月には大阪・新歌舞伎座と福岡・博多座でも公演を行う。
時代はバブル全盛の1980年代、女人禁制の国技ともいわれる相撲の世界を背景に、個性とクセが強すぎる人物たちが登場。ポップにセクシーに楽しく展開するエンターテイメントだ。
この物語の中で、原 嘉孝(ジャニーズJr.)が演じるやせ型のナルシスト・昇龍のライバルとなる、ぽっちゃり型の雪乃童(ゆきのわらべ)を演じるのが大鶴佐助。アングラから古典、現代劇と幅広く活躍する若手実力派俳優に、本作の役柄や俳優としてのこれまで、これからを聞いた。

100キロ以上の人間がガチンコでぶつかる、こんなにカッコいい競技なんだと

──出演が決まって最初の印象はいかがでした?

まず、作・演出が青木豪さん、豪華な共演者の方々、そして明治座という劇場に出演できるということを知って、とても楽しみだなと。そのあと内容について聞いたら、相撲の話だというので、「えっ?」という驚きがありました。原作をどうやって演劇にするのか、どんな見せ方をするのかなと。でも台本を読ませていただいたら、「なるほど!」と。想像していたものより上を行く面白さで、これは演じる僕たち次第でさらに面白くなるなと思いました。

──相撲そのものへの興味は?

とくに好きというわけではなかったのですが、父親(唐十郎)が好きで、毎日夕方になるとリビングでテレビを観ていて、身近にはあったんです。でも誰かを応援するということもなく、漠然と観ていました。今回、この作品に出演が決まったことで、ちゃんと観てみようと国技館に連れて行っていただきました。めちゃくちゃ面白くて、皆さんカッコよかったです。コロナ禍ということで、枡席も1人で座らせてもらって、すごく贅沢な空間で、しかもお客さんの数も制限があって少なめでしたから、土俵でぶつかり合う音などがそのまま伝わってきて、すごい迫力なんです。やはり100キロ以上の人間がガチンコでぶつかったときの凄さは、生で観ないとわからないし、こんなにカッコいい競技なんだと、初めてわかりました。

──やはり生で観ると迫力も楽しさも格別でしょうね。

幕下とかテレビでは放映されない取組みも観ることができたのですが、まだ15歳とか16歳の相撲の世界に入って間もないような若い力士も多くて、この力士たちの中から未来の横綱とかが出てくるんだなと思うと、すごくワクワクしました。相撲ってとにかく実力ですし、強くなることでしか上に行けない世界で。そういう勝ち負けが全ての嘘のない世界なんだなと感動しました。

勝負以外ではすぐボーッとする雪乃童は自分と似ている

──演じる役柄ですが、ぽっちゃり型の雪乃童という力士ですね。

雪乃童は小さい頃から太っていて、それでいじめられていて、でも相撲によって「あ、太っていてもいいんだ」と救われる。初めて人に認められたのが相撲なんです。だから相撲に対して真っ直ぐでバカ正直なくらい真面目なんです。相撲ってすべての所作に意味があって、四股を踏むのは邪気を祓うためとか、塵手水(ちりちょうず)も水のない場所で手を清める意味だったり、そういうところを雪乃童は大事にする人間なんです。だから演じる僕もそこを丁寧に心をこめて行うことで、役に近づいていきたいと思っているんです。

──共感できる部分もありそうですか?

ありますね。雪乃童は勝負以外ではすぐボーッとしちゃうんです(笑)。僕も気を抜くとすぐボーッとしたくなるほうで(笑)。オンオフの違いなどはリンクしやすいですね。

──いつも役になるためにどんなことを意識していますか?

僕は普段からその役のことを研究したり考えていないとだめなほうなんです。なかには無意識にすーっとその役の人間になれる方もいますけど、僕はその役を客観視して分析して、観客目線を想像したり、役の内面に没頭もするけれど、俯瞰的な目も意識していきたい、そういうタイプだと思います。

──大鶴さんにとって演じるために客観視が必要なのですね。

役としてはきちんと生きながらも、そこに大鶴佐助という人物が滲み出るほうが面白いと思っています。そうでなくては自分がやる意味がないと思っているので。だから役との距離感というのが大事だし、それを測りながら役に入っていく。そういう感覚で役と向き合っています。

昔から観ていた唐組の芝居みたいなのが好きなんだと

──映画でデビューしてから15年、舞台も小劇場から翻訳劇、三島戯曲、もちろんお父様の唐組まで幅広く出演していますが、舞台にこんなに出演するようになったきっかけは?

最初は映像から入ったように、けっこう父への反抗期がありました。でも僕が18歳のときに父が倒れて、ちょうど大学の演劇学科に入ったばかりのときで、反抗すべき人が倒れてしまったので拍子抜けしたのと、学生仲間の舞台を観てもあまり面白いと思えなくて、そのときにいろいろ考えたんです、自分はどんな演劇が好きなんだろうと。そしたらやっぱり昔から観ていた唐組の芝居みたいなのが好きなんだと。そこでやってみないとわからないから、舞台をいろいろやってみようと。
実は舞台に立つまでは自分がもっとできると思っていたんです。絶対にうまくできるというつもりでいました。でも全然できなかった。口跡もよくないし身体の使い方も不器用で、台本の読み方も浅い。全然できない自分に気づいてしまった。僕にとってはあの唐組の芝居、あそこの芝居が理想だったので、どうしたらあそこに行き着けるのだろうと考えました。そのためには、とにかくいろいろな演出家の方、いろんな舞台に出会うことしかないと。運が良いことに出演の話をいろいろいただけて、その中で基礎的に出来なくてはいけないことは何なのか、技術的に必要なことについてもわかりました。自分の個性や人と違う良さなどもだんだんわかってきました。
そういう経験を積み重ねてきて、ちょうど3年前、5年ぶりに『吸血姫』で唐組のテントに出たんです。楽しかったし、その前に出た『糸女郎』よりは少しはインパクトを残せたかなと。でもまだまだですね。俳優として行きたい場所、理想はまだ遠い。テクニックだけうまくなっても面白くないだろうなと思うので、そこに自分の個性をより濃く滲ませるためにはどうすればいいのか、考えているところです。

──大鶴さんの演技は自然ですし感性の良さを感じるのですが、俳優としての取り組みはとても論理的なのですね。

本当は感性だけです、とカッコよく言いたいんですけど(笑)、けっこう論理で考えないと表現できないほうなんです。

──でも論理立ててそれを体現できるのも才能あればこそですから。

いや、まだ体現できる方法を少しだけ学んだというところですね。

父の唐十郎からは「自分の居方をしなさい」と

──先ほどの話の中で「とにかく沢山の演出家に出会いたいと思った」とありましたが、蜷川幸雄さんにも早い時期に出会って、何本か出演しましたね。

本当に僕は恵まれていると思います。蜷川さんの舞台は出たいと思っても簡単に出られるものではないので。恵まれているからこそ1作1作から吸収して糧にして、もっともっと自分の肉体、特権的な肉体の体現の仕方を突きつめていきたいなと。最近思うのは、「特権的肉体論」(※唐十郎の提唱する演劇論)とは、まず、そこにただ居ることであって、余計なことをすればするほどそれを消してしまうことになる。逆に削ぎ落としていくことが必要なのだろうなと。居るだけで体現できる存在、どうしたらそれができるのか考えているところです。

──唐さんからアドバイスとか、何か教えてもらうことなどは?

すごく昔ですが、「自分の居方をしなさい」と。舞台上で自分の居方をすればいいと。親父っていわゆる上手い俳優、口跡もよくて立ち姿も綺麗で上手い役者って、あまり好きじゃないと思うんです。それよりもそこに居て説得力のある役者、その人しかできない居方のできる役者が一番なんだろうなと。僕はこれまでもいろんな引き出しを増やせるように吸収してきましたけど、そのうえで日常と地続きにどう居るかが大事で、そう考えるとお芝居って本当に難しいなと。案外なにも知らない子どもとか、そのへんの八百屋さんの店主の方とかがそのまま出てくると説得力があったりしますよね。だから、考えつつも考えずにそこに居るという、ゆくゆくはそういう役者になれたらいいなと思っています。

──最後に改めて『両国花錦闘士』を観にきてくださる方にアピールを。

大スペクタクルでケレン味あふれるお祭りみたいな舞台ですから、ぜひ一緒に楽しんでいただければと思っています。観た方が元気になる、それが一番嬉しいですし、出演者みんなで楽しみながら作っていますので、ぜひ期待して観に来てください。

おおつるさすけ〇1993年生まれ、東京都出身。2005年、映画デビュー。舞台、映画、TVドラマなど数々の話題作、大作に出演し、演劇界で注目を浴びている。近年の出演作品は、ドラマ『アイドル×戦士 ミラクルちゅーんず!』(17〜18年、TX)、映画『劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ 〜映画になってちょーだいします〜』(20年)『おかあさんの木』(15年)『神さまの言うとおり』(14年)、舞台は『ボクの穴、彼の穴。』『いかけしごむ』『ピサロ』(20年)『あれよとサニーは死んだのさ』『エダニク』『MANN IST MANN -男は男だ-』(19年)『豊饒の海』唐組『吸血姫』(18年)『プレイヤー』『あたらしいエクスプロージョン』(17年)『イトイーランド』(16年)『ジュリエット通り』『NINAGAWA×SHAKESPEARE ロミオとジュリエット』(14年)唐組『糸女郎』『盲導犬』(13年)など。

【公演情報】
『両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)』
原作:岡野玲子(小学館クリエイティブ「両国花錦闘士」)
作・演出:青木 豪
主題歌:デーモン閣下
出演:原 嘉孝(ジャニーズJr.)/大鶴佐助 大原櫻子/
木村 了(特別出演) 入江甚儀 徳永ゆうき 岸本慎太郎(ジャニーズJr.) 根岸葵海(ジャニーズJr.) 大山真志 橘 花梨 加藤梨里香/
市川しんぺー 福田転球 伊達 暁/
紺野美沙子/りょう
皇希 南 誉士広 梅澤裕介(梅棒) 遠藤 誠(梅棒) 中村味九郎 松田拓磨 遊佐亮介 近藤 廉
●12/5~23◎東京公演 明治座
〈料金〉S席(1階席・2階席正面)12,000円 A席(2階席左右・3階席)5,500円(全席指定・税込・未就学児入場不可)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00~17:00)
●2021/1/5~13◎大阪公演 新歌舞伎座
〈料金〉S席12,000円 A席7,000円 B席6,000円(全席指定・税込・未就学児入場不可)
〈お問い合わせ〉新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222 (10:00~18:00)
●2021/1/17~28◎福岡公演 博多座
〈料金〉A席13,500円 B席9,000円 C席6,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉博多座電話予約センター 092-263-5555
〈公式サイト〉https://www.ryogoku-oshare-rikishi.com/
〈公式twitter〉 https://twitter.com/sanjushi_MTV

2020年12月15日(火) ライブビューイング<全国生中継>開催決定!
http://www.village-inc.jp/ryogoku-oshare/LV/

(c)2020『両国花錦闘士』

 

【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃 Hair&Make-up/吉山裕樹(f-me) スタイリング/石橋修一】

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