藤田俊太郎・演出、大竹しのぶ一人芝居『ヴィクトリア』開幕!
さまざまなジャンルのストレートプレイやミュージカルを通して観客を魅了し続ける大竹しのぶ。これまで、「大竹しのぶ」という一人の俳優の存在を介して、どれだけ多くのヒロインが生命を得て目覚め、自由の翼を拡げて劇空間へと羽ばたいてきたことか。そんな彼女が、この度、2002年上演の『売り言葉』(野田秀樹作・演出)で高村智恵子を演じて以来、実に21年ぶりの一人芝居に向き合う。そのタイトルは、登場人物の名前でもある『ヴィクトリア』。
映画「野いちご」「沈黙」「叫びとささやき」など数多くの名作でさまざまなヒロイン像を描いてきた映画界の巨匠イングマール・ベルイマンが手がけた異色の一人芝居。原題「A Spiritual Matter」(魂の問題)が示唆するように、ある女性の自分の魂に語りかけるような独白を、過去と現在、幻想と現実が融合したかのような手法で描いており、当初、長編映画のために書かれた脚本だった。しかし、女性のクローズアップのワンショットのみでの映像化が求められていたため、その実験的なアプローチゆえに、どの映画会社も映画化を却下。その後、長い期間、ベルイマンの手元で温められ、1990年に彼自身の演出で、映像ではなく、あえてラジオドラマとして初めて世の中に発表されたという背景がある作品。
ベルイマンが当初、映像の「クローズアップのワンショット」で肉迫しようとしたヒロイン「ヴィクトリア」の魂の独白。それが導くのは、色あせた夢への執着なのか、真実への心の旅路なのか、彼女の現実の姿なのか、幻想なのか…。
1 人の女性の独白による多面的な心情の動きや、まるで映像を見るかのように鮮やかに広がる情景が堪能できる「大竹しのぶ、21年ぶりの一人芝居」。
演出は、大胆かつ細やかな描写に定評のある気鋭の演出家・藤田俊太郎。大竹と藤田の顔合わせは、2020年の藤田演出による朗読劇『ラヴ・レターズ』以来2 度目となり、本作で、いよいよ待望の1対1でのタッグが実現した。
~Introduction~
「ベッドから出たくない・・・」 ある朝、目覚めたヴィクトリアはつぶやいた。
カーテンの隙間からこぼれる光が眩しくて、頭痛がひどくなってきた。
そして、彼女の口からは、とめどなく言葉があふれ出る。
でも、彼女が今、語りかけているのは誰なのだろう?
使用人なのか? 自分に無関心な夫なのか?
それとも孤独を抱えた自分自身なのか?
それに彼女は何処にいるのだろう? 自分の部屋?人混みの中?旅の途中?
その答えはすべて、心に不思議な世界を秘めたヴィクトリアの独白の中にある・・
【大竹しのぶ メッセージ (ヴィクトリア)】
最初に台本を読んだ時、ベルイマンが描いた緻密で繊細な世界がとても魅力的で、「これは面白そう!やりたい!」と思ったんです。が、すぐ「あ、これを全部一人でやるんだ…一人芝居なんだ‥」という現実に改めて気づき、どうしよう…と(笑)。
この作品は、ヴィクトリアという孤独な女性の脳内をグルグル旅しているかのような劇構造で、孤独な少女時代、夫の裏切り、夢の中、パーティー、一瞬にして変わる場面、場面を衣装も装置も変わらず私の声、表情だけで表すのはとても難しいことですが、だからこそやり甲斐があります。
言葉で観客にイメージを渡す。それこそが、演劇の魅力です。しかも、ベルイマンの世界!
深くて、謎があって、哀しくて、とても美しいのです。 それが伝えられるよう、頑張ります。
【公演情報】
シス・カンパニー公演『ヴィクトリア』
作:イングマール・ベルイマン
演出:藤田俊太郎
翻訳: 肥田光久
出演:大竹しのぶ
●6/24~30◎東京公演 スパイラルホール (6/28 にアフタートークあり)
〈お問い合わせ〉シス・カンパニー 03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)
●7/5・6◎西宮公演 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888 (営業時間 11:00~18:00 日祝休業)
●7/8・9◎京都公演 京都芸術劇場 春秋座
〈お問い合わせ〉京都芸術大学 舞台芸術研究センター 075-791-9207 (営業時間 平日10:00~17:00)
●7/11◎豊橋公演 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337 (営業時間 平日12:00~15:00)
〈公演に関する問い合わせ〉シス・カンパニー 03-5423-5906 (営業時間 平日11:00~19:00)
〈公式サイト〉 https://www.siscompany.com/victoria/
【舞台写真撮影=宮川舞子】
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