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ミュージカル『Ordinary Days』間もなく開幕! 相葉裕樹インタビュー

シンプルに研ぎ澄まされた空間を共にして欲しい

オフ・ウエストエンドで2008年に初演ののち、翌2009年オフ・ブロードウェイで上演されて話題を呼んだミュージカル『Ordinary Days』が、2月8日~12日東京六本木の俳優座劇場、2月18日大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて、日本で本格初上演される。

新進気鋭のクリエイターとして注目を集める、作詞・作曲のアダム・グウォンによる爽快で誠実な楽曲と共に、誰もが経験したことのある人を想い合う温かさや、ものごとがうまくいかずに葛藤することもしばしばある日常を、緻密な歌で表現して心に寄り添ってくれる、ささやかな幸福を大切にしたいと努力したことがある人たちに捧げるミュージカルだ。

そんな作品で主人公ジェイソンを演じる相葉裕樹が、2組のカップルだけで繊細に描かれる作品に臨む思いを語ってくれた「えんぶ2月号」のインタビューをご紹介する。

歌いつつも会話劇なんだということを大切に

──作品について、いま感じていることから教えてください。

まだ稽古がはじまっていないので、本当にこれから様々なことを深く知っていくだろうという段階なんですが、4人だけの芝居のなかで若者の葛藤や、様々にぶつかるものなどが描かれている。しかも全編ピアノだけの演奏で奏でられる楽曲に乗せてストーリーが進んでいく作品なので、とても濃密な世界になるだろうなと思っています。今回は共演者の皆様とも全員「はじめまして」なので、どんな稽古期間になるのかが、僕自身もすごく楽しみですね。

──そのなかで、演じるジェイソン役についてはいかがですか?

本当に、僕たちがいま生きている実生活のなかの、どこにでもいるようなとても実直な若者なんです。恋人のクレアとすれ違って喧嘩をしてしまったり、ちょっと意気地がなかったりと言った、本当にナチュラルな青年なのかなという印象ですね。クレアを演じる夢咲ねねさんともはじめてご一緒にお芝居をさせていただくので、稽古を通して二人の関係を深めていけたらいいなと思っています。

──歌を中心に物語が進むミュージカルということで、相葉さんは『レ・ミゼラブル』にも出演されていますが、こうしたミュージカル作品の形態についてはいかがですか?

『レ・ミゼラブル』と比べるとするならば、今回の『Ordinary Days』には台詞もあるのですが、でも確かに歌の比重はかなり高くなっている作品なので、音楽の力で作品を引っ張っていったり、物語を進めていく形になっています。楽曲でお客様に感情移入や共感を促したり、例えば1曲のなかだけで、長い間に起きていることを一気に伝えて時間を飛ばしたりできるのが、ミュージカルの良さだと思いますから、そういう魅力はふんだんにありますね。ただ、だからこそ如何に僕たちがナチュラルな芝居を乗せてお届けできるかだと思うので、そこは意識していきたいです。

──革命が起きるような、激動の時代を描いた作品ではない、ということも大きいのでしょうか。

そうですね。やっぱり視覚情報もそうですけれども、音楽が持っている情報量ってとても多くて、楽曲が良ければ良いほど、ある意味ではそれをちゃんと歌うだけで成立するというか、成立したかのように感じられるところがあるんです。もちろんその楽曲の力は素晴らしいものなのですが、良い曲を聞いた、良い歌を届けられただけに万一なってしまったとしたら、それはとても危険なことで、やっぱりどんなに素敵な楽曲に乗せたとしても、役の心が芝居としてお届けできていないといけないなと思います。特にこの作品は等身大の若者たちのいまが描かれていますし、楽曲もとても繊細なメロディラインだなと感じるので、歌いつつも会話劇なんだというところを大事にしたいですね。

儚くはじまり、儚く終わっていく物語のなかで

──相葉さんは大劇場のグランドミュージカルから、少人数の会話劇までと多彩な作品に出演されていますが、今回キャストが4人だけのミュージカルというところはどうですか?

キャストが4人だけということは、必然的に一場面の役割りが増えるということでもあるのですが、その分お客様にも集中してご覧いただけるという良さがあります。大人数の作品には迫力もありますし、メインで芝居をしている後ろで、様々な人たちがまた別の人生を生きていて多くの見どころがありますが、視覚情報が多いために、物語がどこにいったのかわからなくなることもあるのかなと思っていて。

──確かに自由に好きなところを観られるのが舞台芸術の楽しさでもありますが、うわー綺麗! と群舞に見入っていて、あれ? と思うことはあります。

その点この作品はたった2組のカップルの話なので、お客様の視線も分散せずに2組の物語に集中していただけるでしょうし、シンプルに研ぎ澄まされた空間をお客様が共にしてくださることによって、物語世界の空間そのものを楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。僕と夢咲さんが演じるジェイソンとクレア以外はダブルキャストなので、グッと集中した稽古期間になると思いますし。

──やはりお芝居をする相手が変わるというのは大きなことですか?

とても大きいですね。今回はジェイソンとクレア、斎藤瑠希さんと浜崎香帆さん演じるデイブと小池竜暉さんと中本大賀さん演じるウォーレンの、2組のカップルそれぞれに、そこまでたくさん絡みがあるわけではないのですが、もちろん人が変われば空気感をはじめ、何もかも変わると言ってもいいほどなので、お客様には面白くご覧いただけると思います。全部で4パターンになりますから、東京は5日間、大阪は1日だけの公演ですが、お時間が許せば違うパターンをご覧いただいても、きっとまた異なる世界をお楽しみいただけると思っています。本当に1回、1回の公演を大事に演じていきたいですし、儚くはじまり、儚く終わっていく物語で、どの回も一期一会なので、2月の寒い時期に六本木の俳優座劇場、大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで、是非エモーショナルな気持ちになっていただけたらと思っています。

■PROFILE■
あいばひろき〇千葉県出身。2004年映画でデビューののち、舞台作品を中心に活躍。近年は声優としても多くの作品に取り組み、多彩な活動を続けている。主な出演舞台作品に『ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち』『レ・ミゼラブル』『HEADS UP!』『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』『ダンス オブ ヴァンパイア』『アナスタシア』『CROSS ROAD』『スクルージ~クリスマス・キャルロ』などがあり、6月音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才』アントニオ・サリエリ役での出演が控えている。【公演情報】

オフ・ブロードウェイミュージカル『Ordinary Days』
Music and Lyrics by Adam Gwon
脚色・演出:田中麻衣子
音楽監督・ピアノ演奏:落合崇史
翻訳:藤倉梓
出演:相葉裕樹 夢咲ねね 斎藤瑠希/浜崎香帆[Wキャスト] 小池竜暉(GENIC)/中本大賀(円神)[Wキャスト]
●2/8~12◎俳優座劇場
●2/18◎COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
〈お問い合わせ〉https://supportform.jp/event (平日10:00~17:00)
〈公式サイト〉https://ordinarydays.jp/

【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】

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