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細部まで笑いと涙が詰まった舞台『マミィ!』上演中! 

熊谷真実の還暦を祝って、田村孝裕が新作を書き下ろし、演出も手がける『マミィ!』が、7月30日から赤坂RED/THEATERで上演中だ。(8月8日まで)

出演は熊谷真実を中心に佐藤B作、松金よね子というベテラン勢と、三津谷亮、宮﨑香蓮、伊藤桃花という若い俳優たち、全部で6人の舞台となっている。

物語は家に帰らなくなっていた父親が、高齢の祖母の危篤を知り、15年ぶりに帰宅したことから始まる。その日はなんと妻の60歳のバースディ。期せずして一同に会してしまった家族たちそれぞれの積年の思いが、ふとした会話の中でぶつかり合う。だが一番怒っていいはずの妻は、まるで夫の不在がなかったかのように帰宅を笑顔で迎える──。

 

高齢の母が危篤と聞き、心配して15年ぶりに帰宅したものの、なかなか家族の前に出られないで庭先をウロチョロする父親に佐藤B作。
そんな息子を見放して嫁と仲良く暮らしていたが、なぜか突然危篤状態に陥って家族をハラハラさせる祖母を松金よね子。
夫の残した借金を働いて返済し、愚痴も言わずに姑に仕え息子と娘を育てあげ、突然の夫の帰宅も笑顔で迎える妻は熊谷真実。
かつては野球少年だったが挫折してフリーター、今はUber Eatsで稼ぐ長男に三津谷亮。
頭が良くて自立している女性だが、それゆえに人に言えない悩みを抱える長女には宮﨑香蓮。
さらに後半だけの出番で、ケーキ屋の店員役を伊藤桃花が演じている。

ダメな父親とよく出来た母親、日本の家族によくあるこの構図の中に隠されている歪みや軋み。それが久しぶりに顔を合わせた家族の本音の中に浮かび上がってくる。それでもごまかしたり甘え合うことで救われたり、安らいだりしてしまうのが家族というものの困ったところでもあって…。

そんなシリアスなテーマを根底に据えつつ、佐藤B作の切なさを秘めたコメディセンス、松金よね子が繰り出す毒舌の切れ味、熊谷真実の底の抜けたような明るさ、三津谷亮や宮﨑香蓮の若さや現代性などが、ともすれば重くなりがちな感情のキャッチボールを弾ませ、笑いの中で家族の再会と再生のドラマをテンポよく運んでいく。

防犯センサーや物置、干した布団、トイレの水音などの道具使いも効果的で、後半に仕掛けられた伊藤桃花のケーキ屋店員のインパクトも絶妙。細部まで笑いと涙をこれでもかと詰め込んだ田村孝裕の凄腕ぶりと、それを抜群のチームワークで演じのける俳優たち。ラストのどんでん返しも含め、還暦を迎えた熊谷真実への愛に満ちた舞台となっている。

【公演情報】
プリエール プロデュース『マミィ!』
作・演出:田村孝裕(ONEOR8)
出演:熊谷真実 佐藤B作(東京ヴォードヴィルショー)松金よね子
三津谷 亮 宮﨑香蓮  伊藤桃花
●7/30~8/8◎赤坂RED/THEAER
〈料金〉前売5,500円 当日5,800円 25歳以下/前売4,500円 当日4,800円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※25歳以下は入場時身分証提示
カンフェティ 0120-240-540(カンフェティチケットセンター/平日 10:00~18:00)
チケットぴあ0570-02-9999(Pコード:506-580)
〈お問い合わせ〉プリエール 03-5942-9025(平日11-18時)
〈公式サイト〉https://priere.jp/performance/2107/

 

【文/榊原和子 撮影/宮川舞子】

 

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