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葛藤とすれ違いの人間ドラマが紡がれる新作舞台『黒白珠』松下優也×青木豪×河原雅彦 インタビュー

青木豪による書き下ろし、河原雅彦による演出で生み出される新作舞台『黒白珠(こくびゃくじゅ)』が、6月7日からBunkamuraシアターコクーンで幕を開ける。(23日まで。のち兵庫、愛知、長崎、福岡で上演)

ジョン・スタインベックの小説『エデンの東』をモチーフにしたという本作は、1990年代の長崎で、同じ刻(とき)に生を受けた双子の兄弟が、家族を愛しながらも愛に飢え、逃れられない運命にもがきながら、葛藤とすれ違いの中に紡がれてゆく人間ドラマが描かれる

【ストーリー】

1994年、長崎。信谷大地(風間杜夫)は、真珠の加工・販売会社を経営していた。長男の勇(松下優也) は高校卒業後、職を転々とし、大地を心配させていた。勇には花苗(清水くるみ) いう恋人がいる。勇の双子の弟・光(平間壮一) は、大学に進学するために東京に出ていた。光に大地は期待を寄せていた。 勇は、周囲から、叔父に似ていると度々言われることから、いつの頃からか、自分の出自にある疑念を抱き始める。 勇と光は、母・純子(高橋惠子)の事をほとんど知らない。まだ二人が幼い頃、母は、叔父と不倫の末、駆け落ちし信谷家を出て行ったらしいが、その後の消息は聞かされていなかった。 出自へ疑念を抱えた勇。そして、ある出来事から母と再会することになった光…。 封印された家族の物語が、不協和音を立てがら動き出し、衝撃の真実を解き明かすパンドラの箱が、今開かれる。

。黒色と白色のように違う双子の兄弟を演じるのは、松下優也と平間壮一。タッグを組むのはM&O PRODUCE『八犬伝』以来13年ぶりという青木と河原。松下も青木とは『花より男子 The Musical』以来3年ぶり、河原とは『THE ALUCARD SHOW』5年ぶり。そんな3人に作品の話を聞いた「えんぶ6月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

青木豪・松下優也・河原雅彦

自分が生まれる前になにがあったか

──今回、この作品になった経緯は?
青木 まずプロデューサーから小説の『エデンの東』をモチーフに書いてみないかという話があって。小説は全4巻中の4巻でやっと、ジェームス・ディーンの映画(1955年)で描かれている父と息子の部分が出てくるんです。その前の1~3巻は父親と母親の話がメインなのですが、僕自身の体験として、親が亡くなると、自分が生まれる前の親のことを聞く機会が増えたんですね。そういう、「自分が生まれる前になにがあったか」という部分は面白いかなと。
──脚本の舞台を長崎にしたのは?
青木 僕は神奈川生まれなのですが、長崎と神奈川ってどこか似たところがあるんです。生々しく自分の故郷を舞台にするよりも、客観的に捉えられるということで長崎にしました。
──河原さんは演出で参加されます。
河原 今回、小説というモチーフがあるにせよ新作であることは楽しみです。これだけの人数で、シアターコクーンでやるわけですから。濃密な、ドキドキするような芝居になったらと思っています。
──皆さんそれぞれ過去にご一緒されていますが、どのような印象ですか?
青木 松下さんは初めて会ったときから「華があるなあ」と思っていました。
松下 ありがとうございます!
青木 『花より男子 The Musical』のときに稽古場で拝見したら歌もすごくよかったから、歌わせたくなったりもしますけどね。今回はそういう作品じゃないので、『花より男子』のイメージを一旦断ち切ってから書かないとと思っています。
──青木さんは役者が決まらないと書けないとおっしゃっていましたね。
青木 そうなんです。オリジナルの場合は本人を思い浮かべながら書きます。

河原さんに負けちゃいけない! と

──河原さんは青木さんについてはどんな印象ですか?
河原 伝えたいテーマがちゃんと本に宿っている、そういう信頼がありますね。
青木 僕は河原さんのやってらした劇団「HIGHLEG JESUS」は拝見したことがないのですが、当時「すごい劇団がある」と色々聞いていたんです。それで初めて彼が演出している作品を観たのが『父帰る/屋上の狂人』(06年)で。噂から思い描いていたものと全然違ったんですね。しかも本来だったらものすごく狭い空間でしかできないようなものをちゃんと広いところでも見せている感じもあった。だから今回、会話劇をコクーンという大きな空間でどう広げてくれるかなというのは一番楽しみです。
──河原さんは松下さんについては?
河原 プレイヤーになるために生まれてきた人。裏の仕事は裏の人間に任せとけばいいって…。
松下 思ってないです!!(笑)確かに前回ご一緒した『THE ALUCARD SHOW』の頃は周りがあまり見えていなかったので、そういう印象かもしれないですが。この数年で変わりました!
河原 別に悪い印象持ってたわけじゃないよ?
松下 よかった(笑)。
河原 人をワクワクさせてくれる資質を持っていると思うから、この作品でもそういうお芝居をつくりたいですね。
──松下さんからもお二人の印象を。
松下 豪さんは前回も脚本で入られていたので、稽古場で何度もお会いしたわけじゃないので、知らないことだらけなのですが、こういう取材で聞くお話が面白いです。それと目線も印象的。
河原 それは実際の目線ってこと?
松下 そうです。優しさに包まれている感覚になる。
河原 優しさとね、狂気がね!
青木 (笑)。
松下 河原さんはやっぱり厳しさも怖さもある方ですが、僕ら演者に対してものすごく気を使ってくださるという印象があります。ただ当時は「河原さんに負けちゃいけない!」と思ってやっていましたね。ちょっとでも揺らぐと自分が崩壊する、というような心持ちでした。今回は僕自身も変化していますし、違う感じになると思います。
──河原さんの演出を受けて発見したことはありますか?
松下 『THE ALUCARD SHOW』は歌も踊りもある芝居で、それは僕がアーティストとしてやる〝お客さんに向けたライブ〟とはまた違うものだ、ということを教えられたと思います。役として歌って踊るということを学ばせてもらったなと。
──その『THE ALUCARD SHOW』でも共演した平間壮一さんが今回、弟役ですね。
松下 壮ちゃんとは会話ができるんです。俳優としてだけじゃなくて、友達としての会話もできる存在。喋っていて楽しいし、すごく真面目だし、信頼できる人です。

このカンパニーで濃密なドキドキするような芝居に

──青木さんは以前、別の方が演出するときは、脚本に敢えてムチャブリを入れると。今回もそういう部分はありそうですか?
青木 まだ台本の段階で悩んでいるので、それどころではなくて(笑)。
──そういうときはどうやって突破されるのですか?
青木 今年の2月にやった音楽劇『マニアック』(作・演出)では、出演者の古田新太さんに「伏線を回収しなくていいんじゃないの」と言われて。「それだ!」と。
河原 そういうの大好きです。だってみんな伏線は回収すると思っているから。「しなくてもいい」と思ったときの広がりがハンパない。そういうちょっとした発想の転換で豊かになることってありますよね。なんかこの作品って、メインの松下くんと平間くんがやりあうのはわかるけど、今回はあえて村井國夫さんと風間杜夫さんがガチでやりあう長いシーンとかあってもおもしろいよね。
青木 そういう意見を聞きたいです。
河原 松下くんもやりたいことを言っといたほうがいいよ。
松下 (笑)。
河原 このカンパニーのメンバーだからこそできるお芝居になれば、自然と意味のあるものになっていくし、すごく良いものになると思います。みんなですごくおもしろい『黒白珠』になるようにがんばりますよ。

青木豪・松下優也・河原雅彦

あおきごう〇神奈川県出身。脚本家・演出家。1997年に「劇団グリング」を旗揚げし、2009年に活動休止、2014年に解散するまで全作品の作・演出を手掛ける。近年は歌舞伎への新作提供から劇団四季の演出まで幅広く活躍中。主な舞台作品に椿組『毒おんな』(脚本)、『MOJO』(上演台本・演出)、『エジソン最後の発明』(脚本・演出)、音楽劇『マニアック』(作・演出)など。

まつしたゆうや〇兵庫出身。俳優活動と共にダンスボーカルユニット「X4」のメンバーとして、またソロとして音楽活動も行う。近年の主な出演作品は新感線☆RS『メタルマクベス』disc1、ミュージカル『Romale』~ロマを生き抜いた女カルメン~、『僕だってヒーローになりたかった』、『暁のヨナ』、ミュージカル『黒執事』シリーズ、Broadway Musical『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』、など。

かわはらまさひこ〇福井県出身。脚本家・演出家・俳優。1992年から、2002年まで「HIGHLEG JESUS」で全作品を作・演出。ストレートプレイからミュージカルまで幅広く手がける。主な演出作品に、愛のレキシシアター『ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ』(原案、演出、上演台本 たいらのまさピコ名義)、Japanese Musical『戯伝写楽 2018』、『ロッキー・ホラー・ショー』、『人間風車』、音楽劇『魔都夜曲』、『夜が私を待っている』、ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』、など。

【公演情報】

 

『黒白珠』KOKU BYAKU JU
脚本◇青木豪 
演出◇河原雅彦
出演◇松下優也 平間壮一 清水くるみ
平田敦子 植本純米 青谷優衣
村井國夫 高橋惠子 風間杜夫
●6/7~23◎Bunkamura シアターコクーン
●6/28~30◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
●7/6・7◎刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
●7/10◎長崎ブリックホール 大ホール
●7/13・14◎久留米シティプラザ ザ・グランドホール
〈料金〉 S席10,000円 A席8,500円 コクーンシート5,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉キューブ 03-5485-2252(平日12:00~18:00) https://kokubyakuju2019.wixsite.com/official

 

【取材・文/中川實穂 撮影/岩田えり 】

 

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