シアタークリエでいよいよ開幕!KERA CROSS第一弾『フローズン・ビーチ』初日記念会見レポート!
2018年に紫綬褒章、2019年に第26回読売演劇大賞 最優秀作品賞・優秀演出家賞を受賞するなど、近年ますますその活動が高い評価を得ている劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の数々の戯曲の中から選りすぐった名作を、才気溢れる演出家たちが異なる味わいで新たに創りあげる、シアタークリエの連続上演シリーズ「KERA CROSS」(製作 東宝・キューブ)の第一弾公演『フローズン・ビーチ』が、人気演出家・鈴木裕美の手によって7月31日シアタークリエで開幕した。
『フローズン・ビーチ』はKERAが1998年に劇団「ナイロン100℃」公演として作・演出し、密室劇の傑作として第43回岸田國士戯曲賞を受賞した初期の代表作。大西洋とカリブ海の間に浮かぶリゾートアイランドにある別荘の一室で繰り広げられる、1987年、1995年、2003年、三つの場面16年に渡り偶然と因縁に翻弄された女たちを描いた室内劇だ。
そんな注目の公演の初日を前に、「シアタークリエ初日記念会見」が開かれ、鈴木杏、ブルゾンちえみ、花乃まりあ、シルビア・グラブが劇中の衣装とメイクで登場。いよいよ始まる東京公演への意気込みが語られた。
【囲み会見】
──東京公演がいよいよ初日ということですが、すでに各地での公演が始まっていての手応えはいかがですか?
鈴木 毎回、4人、役柄にしては5人で、5人の芝居にしては(台詞が)膨大な量なので、毎回未だに何かしら起こるのですが(笑)すごくチームワークが良いので、何か起こってもお互いにリカバーしながらやれていて、毎回新鮮にできていると思います。また昨日もチェックしたのですが、ここに来てまたちょっと変えてみようか、ということもできるとても柔軟なカンパニーだなと思います。
──4人の信頼関係はどうですか?
鈴木 どうですか?
ブルゾン 私はもう圧倒的に信頼しています!(一同うなづく)
──ブルゾンさんだいぶ雰囲気が違いますね?
ブルゾン 違う人のようですか?ブルゾンです!(笑)
鈴木 メイクがね。
ブルゾン そうなんです。メイクも違いますし、テイストがだいぶ違うので、ブルゾンではなく役の市子さんということで「女優」やっています(笑)。
──そのメイクがギリギリですか?
ブルゾン これでも今日はちょっと濃い方と言いますか。もっと薄いところもあったんですが、だいたいここら辺に落ち着きました(笑)
──女優としての手応えはいかがでしょう。
ブルゾン その土地、その土地によって笑うポイントが違ったりですとか「ここの土地はこんな反応なんだ!」というところが場所によって違うのが面白いなと思いましたので、東京は東京でまたお客さんの雰囲気も違うんだろうなと、またちょっと緊張し直しています。
花乃 緊張しますよね!
──その辺り、花乃さんはいかがですか?
花乃 私も今改めてまた緊張するなぁと思っているところなんですけれども、杏さんがおっしゃったように何が起こっても「絶対に面白くしてやるぜ!」(笑)という感じを先輩方が出してくださるので、安心して頑張りたいなと思います。
──シルビアさんは?
シルビア 今、東京公演の前に5公演やらせていただいて来まして、おそらく最後の8月31日まで緊張は続くのですが、徐々に舞台上に居て楽しむことができているので、楽しみポイントがもっともっと増えてくると思いますから、東京公演もすごく楽しみです。これから同じ劇場で毎日できるので、自分の中で消化できる時間があるので。
──花乃さんは二役ということですが。
花乃 初めての経験なのでどうしようと思ったのですが、双子なので違うんですけれどもちょっと似ているところもあったりして。でもキャラ立てはハッキリした方が面白くなると思うので、ちゃんと演じ分けて面白く作れたら良いなと思っています。
──相当に難しそうですが。
花乃 本当に難しいとは思っていますが(鈴木)裕美さんの演出もそうですし、皆さんからも色々ヒントやアドバイスを頂きながら作れたのかなと思っています。
ブルゾン 傍から見てもすごく忙しそうです!
鈴木 1番休んでないよね!
ブルゾン 着替えだのなんだのと。私はだいたい休んでるんですが(笑)。
花乃 真似して遊んでくるんです!(笑)
──真似したり遊んだりする余裕があるんですか?
ブルゾン あーちょっと待ってください!ダメダメダメ!(笑)
鈴木 めっちゃ余裕があるんですよ!(笑)
ブルゾン それでミスしたりしたら怖いので!全然です!(笑)人の台詞を真似して忘れないようにするとかしていて…
鈴木 でもその人の台詞を微妙に間違っている状態で横で言ったりするので!(笑)
花乃 混乱する(笑)
ブルゾン ご迷惑をかけていけないですね!
──ブルゾンさん、稽古期間中と実際に舞台に立ってみて、舞台の演技についてはどうですか?
ブルゾン 長い期間同じことを練習することも、台詞がこんなに長いことも今までなかったので。でも普段の「ブルゾンちえみ」とは全くキャラクターが違うので、違う癖がついたり、すごく姿勢が悪くなっちゃったり、太っちゃったりですとか…それは全然関係ないかも知れない!(笑)役のせいにしているのかも知れませんが、「いい女感」みたいなものは抜けていると思います(笑)。
──役を演じることで、自分本来の癖が変わることはあるんですか?
鈴木 あります。まず姿勢は変わっちゃいますし。
シルビア それは女優として正しいです。
──花乃さんもシルビアさんもそういうことはある?
シルビア それは結構ありますね。役柄によって高貴な役をやっていれば姿勢が常に良くなりますし、そうじゃないと足元がだらしくなくなったり、猫背になったり、あとは目つきが違うとかね。顔が緩みまくったり、とてもキツい顔になったり、役によって変わってきますね。
──皆さんから見てブルゾンさんの演技はどうですか?
三人 (口々に)最高です!
ブルゾン こうやって上げられると怖い!
鈴木 繊細だし、でもエネルギーもあって、すごく素敵な女優さんだと思います。
シルビア 舞台上に立っている身として、見ていて愛されるというのはすごく大事なことだと思うんです。それを最初から持ち合わせていらっしゃるので、稽古場からどうしてもニコニコして観ちゃうんです!
花乃 可愛い!
シルビア 可愛くてしょうがない!
ブルゾン 何も出ねぇぞ!(笑)
──公演中の8月3日にお誕生日も迎えられますね!
ブルゾン はい。でも祝ってもらおうなんて思ってないです!(爆笑)いや、こんな時にタイミング良く誕生日なんか挟んじゃって!(笑)でも新しく29歳の自分としてパワーアップして舞台を迎えたいなとは思っています。
──先輩方にお祝いをしてもらうことは?
ブルゾン もう買ってもらいました!
鈴木 舞台上で私が着るシャツがすごく可愛くて、私がそれを欲しいなと思っていたら、横で全く同じ感じで欲しがっていて!
ブルゾン 私が先に欲しいと!
鈴木 いやいや!(笑)それで衣装さんにお願いしたのですが、誕生日だから考える手間が省けるから(笑)それでいいんじゃない?と(笑)
ブルゾン 本番で着る衣装を私が誕生日プレゼントにもらいました。
──3日はパーティの予定などは?
シルビア 私達で良いのか?っていうこともあるしね(笑)
ブルゾン もうもう、誕生日の話はいいです!(笑)
──東京公演のあとの全国公演で楽しみにしていることは?
花乃 まず美味しいものですね!
シルビア なかなかいけない土地にも今回行かせて頂くので、それがとても楽しみですね。そこの美味しいものを探したり、美味しいお酒を探したり、観光する時間はちょっとないところもあるかな?なのですが。
花乃 シルビアさんが美味しそうなお店を調べて下さるんです!
シルビア 飲み会長だからね!(笑)
──東京公演は11日までの長丁場ですが、この暑さを乗り切る為の秘策があれば是非!
鈴木 やせ我慢せずに頼れるものには全部頼ります。栄養ドリンクでもなんでも!結構ハードスケジュールなのですが、集中力を切らす訳にはいかないお芝居なので、自分の中で息を抜ける時には抜いて、無理をし過ぎない程度に頑張れたらなと思います。
ブルゾン やっぱり癒しの時間は大切ですよね!
シルビア 何で癒されているんですか?
ブルゾン 私は観葉植物を育てていて、それが今一番生き生きと新芽を出しているので、それに触ったりして「可愛いな!」と言っている時間が楽しいです。
花乃 私は今皆さんといる時が1番楽しくて、ワクワクウキウキして、早く楽屋に行きたい!という気持ちがしているので、今が1番元気です!
鈴木 素晴らしい!
シルビア それこそ我慢せず、美味しいお酒を皆で飲んで、良い会話を楽しんで翌日の舞台に向けて、ストレスをためずに発散していくっていうことですね。
──「ブルゾンちえみ with B」の「with B」の皆さんは観にいらっしゃいましたか?
ブルゾン それなんですよ!今のところ連絡が来ていないんです!
花乃 サプライズじゃないですか?
鈴木 誕生日とかに!
ブルゾン そんなに気がきく奴だと思う?(爆笑)本当に「 with B」これで来なかったらちょっとびっくりですよね!「ノーwith B」にこれからなる!(笑)私からは敢えて連絡はしていないので「観にくれば?」とも言っていないし、彼らの自主性にね(笑)。ちょっと今様子を見ています。
──観て欲しいですか?
ブルゾン 一応やっぱり私が頑張っている姿は観ておくべきだろう!とは思ってますけどね(爆笑)
──では鈴木さんから代表してご挨拶をお願いします。
鈴木 いよいよ東京シアタークリエにての公演がはじまります。女5人の16年に渡る話で、どんどん予期せぬ展開が起こっていく物語です。観てくださる方一人一人にたぶん違う楽しみ方をして頂ける作品だと思いますので、是非劇場に目撃しに来て頂けたらなと思っています。お待ちしています!
【公演情報】
KERA CROSS第一弾『フローズン・ビーチ』
作◇ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出◇鈴木裕美
出演◇鈴木杏 ブルゾンちえみ 花乃まりあ シルビア・グラブ
●7/31~8/11◎東京 シアタークリエ
●8/16~18◎大阪 サンケイホールブリーゼ
●8/21◎静岡 静岡市清水文化会館マリナート
●8/23◎名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
●8/28◎高知 須崎市立市民文化会館 大ホール
●8/31◎高松 レクザムホール(香川県県民ホール) 小ホール
〈公演HP〉https://www.keracross.com
【取材・文・撮影/橘涼香】
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