名優2人の熱い競演! 加藤健一×佐藤B作の『サンシャイン・ボーイズ』上演中!
加藤健一事務所の公演で、2年前、多くの期待を集めながらも、緊急事態宣言により上演を延期した『サンシャイン・ボーイズ』が、3月3日から下北沢・本多劇場で上演中だ。(14日まで)
本作『サンシャイン・ボーイズ』は、ヴォードヴィルの演芸にも親しんでいたニール・サイモンが、よく知っている芸人たちを主人公に描いた作品。喜劇王としてブロードウェイで名を馳せていたサイモンが、悲劇も書けることを証明するために発表した “辛口三部作”のうちの1つとなる名作で、加藤健一と佐藤B作がタッグを組んで挑んでいる。
《STORY》
ニューヨークの古びたホテルの一室で、悲惨な生活をおくるひとりの男、ウィリー・クラーク(加藤健一)。元はヴォードヴィルの大スターコンビだったウィリーは、ひとりとなった今でも役者としての自分は終わっていないと必死にもがくものの、その気持ちとはうらはらになにもかもが上手くいかず仕事にありつけない。
ある日、テレビ局の副社長が頭を下げてお願いするほどの大仕事を、ウィリーの甥でマネージャーのベン(佐川和正)が持ってくる。ウィリーは当然引き受けると思いきや、出演の条件が元相棒アル・ルイス(佐藤B作)との“サンシャイン・ボーイズ”による往年の名作コントだと聞いて、出演拒否の一点張り!
喜劇の黄金時代が生んだ史上最高のコンビとまで言われたルイス&クラーク、11 年ぶりの名コンビ復活となるのか!ラストショーの最後に待ち受けるふたりの運命は…?
加藤健一と佐藤B作、それぞれ加藤健一事務所と東京ヴォードヴィルショーというカンパニーを率いて約半世紀、日本の演劇界で数々の名舞台を創り出してきた。そんな2人が、なんと舞台で初めて顔を合わせる。しかも演じる戯曲は、アメリカのヴォードヴィルの世界を描いたニール・サイモンの名作。まさに日本の演劇史的にも“事件”といっていい公演だ。
物語は、ステージでは名コンビだったが、私生活では犬猿の仲だったウィリー&アルが、テレビ出演のために再会することから始まる。
だが顔を合わせるなり痛烈な嫌味や文句をぶつけ合って火花を散らす2人。
それぞれのプライドや意地をかけた言葉の応酬がギャグを交えた笑いの中で炸裂する。同時に、いがみ合う2人の心の奥に燃えているコメディアン魂や相棒への密かなリスペクトなどが滲み出るのも、ニール・サイモン作品ならでは。
そんな骨の髄までコメディアンのウィリー&アルを、骨の髄まで役者の加藤健一と佐藤B作が丁々発止のぶつかり合いで演じるのだから、これはもう物語を超えたリアリティで胸に迫ってくる。
東京での本多劇場の公演は14日までだが、能登、京都、兵庫でも公演。そして大千秋楽は5月14日、東京近郊の所沢で上演する。加藤健一×佐藤B作という名優2人の奇跡の競演をぜひ各地で見届けてほしい。
【公演情報】
加藤健一事務所
『サンシャイン・ボーイズ』
作:ニール・サイモン
訳:小田島恒志 小田島則子
演出:堤 泰之
出演:加藤健一 佐藤B作
佐川和正(文学座) 田中利花 照屋 実 加藤義宗 韓 佑華
〈声の出演〉 清水明彦(文学座)、加藤 忍
●2022/3/3~14◎下北沢・本多劇場
〈料金〉前売5,500円、当日6,050円、学生2,750円[学生証提示、当日のみ](全席指定・税込)
〈公式サイト〉http://katoken.la.coocan.jp/
《地方公演》
●3/26・27◎能登演劇堂
●5/3・4◎京都府立府民ホール”アルティ”
●5/7◎兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
●5/14◎所沢市民文化センター ミューズ マーキーホール
【文/榊原和子 舞台撮影:石川 純】
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