KAAT×城山羊の会『温暖化の秋 -hot autumn-』開幕!
日本の演劇界において、ひときわユニークな存在感を放つ山内ケンジによる書き下ろし新作公演『温暖化の秋 -hot autumn-』が、趣里、橋本淳、じろう(シソンヌ)らの出演で、11月13 日にKAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>にて開幕した。(27日まで)
本作は、長塚圭史の芸術監督就任 2 年目となる 2022-2023 シーズンのシーズンタイトル、<忘>プログラムの一つとして、長塚が新作上演を委嘱したのが、劇作家・映画監督・CM ディレクターとして活躍する山内ケンジ。長塚自身、山内作品のファンの 1 人であり、その魅力を、「我々が普段忘れかけている、あるいは忘れようとしている本能、本来隠しておくべき欲望、人間の負の部分を絶妙なユーモアで包んでいる」と語る。
山内ケンジによる演劇プロデュース・ユニット<城山羊の会>はこれまで、下北沢・三鷹を中心に演劇活動を行ってきた。その書き下ろし新作『温暖化の秋 -hot autumn-』を、ぜひ神奈川県民に初めての演劇体験として観劇して欲しい、という長塚の強い希望で、この秋はじめて、神奈川県内での公演が実現した。
出演者は舞台はもちろん、テレビ・映画と幅広い活躍で存在感を示す女優・趣里、山内作品へは 3 度目の出演となる橋本淳、<城山羊の会>作品になくてはならない役者の岡部たかし、岩谷健司に加え、俳優としても活躍するお笑いコンビ「シソンヌ」のじろうという個性的な顔ぶれが揃った。
《あらすじ》
女は、男を好きで結婚したいと思っている。
ところが男は別の女と二股をかけていた。
女は悲嘆に暮れた。
暮れながら、女は、あたしはなんて感情が豊かなんだろう、と驚きつつ、自死することにした。
それはよくない、と言う者や、男に復讐するべきだ、と言う者がいた。
女は自死するのはやめ、復讐について考えるようになった。
復讐を考えている自分が嫌いじゃない、と思った。
あなたは、もともとあの人を好きではなかったのでしょう、と男が二股をかけた女が言った。
女は言われてドキリとした。
復讐はやめた方がいい、と言う者が現れた。
【コメント】
初日に際して、作・演出の山内ケンジからコメントが届いた。
山内ケンジ
感染状況が悪化しており、なかなかの緊張感の中で、無事に初日を迎える事ができました。緊張感、と言ったのは、稽古中からのそれもありますが、この劇の内容についてでもあります。
一昨年からの私の劇作はどれもコロナ禍を扱っていて、今回もマスクをする、しないに拘っているのですが、とはいえ、今思えば、企画の段階の頃、2022 年の秋には、「あの頃の風景」としてマスク題材を振り返ることになるかもしれないな、と思ったりもしました。ところが現在結局こうです。現在進行形の緊張感。
これ以上望むべくもない達者な俳優たちのおかげで、このリアルタイムな緊張と不安を、「その場所」へ行くのか行かないのかという形而下的な会話だけで表現できていると思っています。是非とも一人でも多くの方に観て頂きたいです。そして、観た後も、コンクリートに切り株が点々としているだけの「現在の」日本の風景に思いを馳せてもらえたら幸いです。
【公演情報】
KAAT×城山羊の会
『温暖化の秋 -hot autumn-』
作・演出:山内ケンジ
出演:趣里 橋本淳 岡部たかし
岩谷健司 東野絢香 笠島智 じろう(シソンヌ)
●11/13~27◎KAAT 神奈川芸術劇場<大スタジオ>
〈料金〉一般6,000円 早期割引5,000円(11/13~16)(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
神奈川県民割引、U24チケット、高校生以下割引、シルバー割引など各種割引あり。詳細は公式サイトにて。
〈チケット取り扱い〉チケットかながわ https://www.kaat.jp
〈お問い合わせ〉チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.kaat.jp/d/ondankanoaki
【舞台撮影:益永葉】
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