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赤堀雅秋 演出×早乙女太一・倉科カナらの出演『蜘蛛巣城』開幕!

KAAT神奈川芸術劇場にて本日、2月25日から赤堀雅秋の演出、早乙女太一・倉科カナらの出演による『蜘蛛巣城』が幕を開けた。

長塚圭史の芸術監督就任2年目となる2022-2023シーズンのシーズンタイトルは<忘(ぼう)>。その<忘>ラインアップを締めくくるホール公演として上演するのは、劇作家・脚本家・演出家・俳優として独特の世界観を表出してきた赤堀雅秋演出による『蜘蛛巣城』となる。

原作となる映画『蜘蛛巣城』は、“世界のクロサワ”と呼ばれ国内外の映画界に絶大な影響を与えた日本映画界の巨匠・黒澤明監督によって1957年に公開された。シェイクスピアの四大悲劇の一つとして有名な『マクベス』を、黒澤監督が日本の戦国時代に翻案し、能・狂言の様式を応用した日本的で無常観に満ちた戦国スペクタクル作品として知られている。

その映画作品を、2001年に松竹が舞台化。このときの齋藤雅文の脚本を下敷きに、上演台本と演出を赤堀雅秋が手がけている。

今回、マクベス夫妻にあたる鷲津武時と浅茅を演じるのは、舞台・ドラマで独特の存在感を放つ早乙女太一と、コメディから悪女まで変幻自在に演じ、第29回読売演劇大賞で優秀女優賞を受賞するなど舞台女優としても大きな期待が持たれている倉科カナ。

また、主君殺しの濡れ衣を着せられる軍師・小田倉則保役(マクダフ)を長塚圭史、武時の盟友で武時と共に予言に翻弄される・三木義明役(バンクォー)を中島歩。そして、武時らの運命を大きく変える森に棲む老女役で銀粉蝶が出演する。赤堀自身も出演するほか、舞台を中心に活躍する実力派俳優が集結した。

《あらすじ》
日本の戦国時代、天下統一の野望を抱いた者たちが群雄割拠の様相を呈した頃、蜘蛛巣城の城主・都築国春は味方の謀反により苦戦をしいられていた。一の砦の大将・鷲津武時は二の砦の大将・三木義明と激しい戦いの末、蜘蛛手の森の中をさまよっていると、二人は森に棲む謎の老婆と出会い、二人は予言めいたことを告げられる。武時には「今宵からはあなたは北の館のお殿様、やがては蜘蛛巣城のご城主様」、義明には「あなたのお子はやがて蜘蛛巣城のご城主様」。この予言を聞いてから武時とその妻・浅茅の運命は大きく変わり、予言に誘われるかのように動き出す──。

開幕に先駆け、2月23日にフォトコールおよび取材会が開催され、早乙女太一、倉科カナ、長塚圭史、赤堀雅秋が登壇した。

長塚圭史、倉科カナ、早乙女太一、赤堀雅秋

【コメント】
早乙女太一(鷲津武時役)
この作品は(鷲津)武時と浅茅が主軸の話にはなっていますが、二人の周りの登場人物たちも奥行き深く描かれていて、観る方によっては武時と浅茅だけでなく、ほかの登場人物のストーリーにも共感できる部分があるのでは、と思います。色々な立場の人たちの、何気ないシーンに心惹かれる一瞬があり、本当に、たくさんの人たちのストーリーが見えてくる作品です。
倉科(カナ)さんは役同様、力強くドシッと構えられていてお芝居の面でも本当に助けられていて、いつも支えられているなと感じています。稽古場の時から、一瞬一瞬をキャスト全員が真摯に向き合って、こういった時代に生きる人たちを演じるからこそ、体中から血を湧き立たせる想いで挑んでいます。
稽古が始まって1カ月半ほど経ちましたが、この時代に生きている人間のエネルギーと、その人たちの繊細な心情を、稽古場で皆さんとともにしっかりと作りあげてこられたと思いますので、早く皆さまにお届けしたいと思います。

倉科カナ(鷲津浅茅役)
この舞台は、武時と浅茅のストーリーでもありますが、群像劇にもなっていて、一人ひとりが色々なものを背負って生きている様は、今の時代にも共通する部分があると思います。武時と浅茅が、頂点に立って二人の気持ちが一致したところから、別々の方向に墜落していくシーンがお気に入りのシーンなので、どのシーンか皆さんに探していただけたらと思いますし、武時と浅茅はどの瞬間が一番幸せだったんだろう、と探しながら観るのも楽しみ方の一つかなと思います。
早乙女(太一)さんは最初クールな方という印象だったのですが、実はチャーミングな方で、場をほぐしてくださったり、新たな一面も拝見して、すごく魅力的な方だなと思いました。一緒にお芝居をしてみると、全てにおいて繊細で、俳優としてすごく尊敬できる方で、今回の舞台は早乙女さんと夫婦役として夫婦愛を表現することがとても大切なのですが、役作りの上でも、自然に慕うことが出来て、とてもありがたい存在だな、と思っています。
全員一丸となって稽古をしてきて、早く皆さんにお届けしたいなという想いで、気を引き締めると同時に、気合が入っております。全ての公演で浅茅として生きることができればいいなというのが目標で、『マクベス』とも(映画の)「蜘蛛巣城」とも違う、新たな感情が芽生えるようなストーリーになっているので、全ての公演を浅茅としてしっかり生きて、儚く散っていきたいなという思いです。

長塚圭史(小田倉則保役)
KAAT神奈川芸術劇場は、2022年度のメインシーズンは、忘却の「忘」というシーズンタイトルを掲げて進んできました。
作品は鷲津武時とその妻・浅茅が自分たちの本分を忘れ、自分たちが何者であるか、正体を忘れてより高みを目指してしまうということが大きなテーマになっていると思います。しかし、何かを得るともっと欲しくなるというのは人間の業のようなもので、シェイクスピアの『マクベス』と、黒澤明監督の『蜘蛛巣城』、そして22年前に齋藤雅文さんが戯曲化した作品に貫かれていることだと思います。
そういった普遍的な作品を私たちの時代に繋いでいく意味でも当劇場はこの作品を選びました。赤堀さんは一貫して市井の人々の機微を描く作品を手掛けてこられましたが、何か違うスケールの作品をやっていただきたくて、本作を赤堀さんにお願いしました。
それから私は、思いがけなく赤堀さんから出演依頼をいただいて、小田倉という大事な役を演じさせていただいております。本当に時間をかけて創ってきているので、良い作品にしたいと思っています。楽しみにしていてください。

赤堀雅秋(上演台本・演出・出演)
いわゆる時代劇というジャンルの作品を演出するのは初めての事で、本当に右も左も分からないままスタートして、稽古場でもまさに暗中模索という言葉がぴったりなぐらい、四苦八苦した稽古場でしたが、スタッフの皆さんとキャストの皆さんのご尽力で、何とか今お客様にお見せできるものになったんじゃないかなと思っています。
この作品は、黒澤明監督がシェイクスピアの『マクベス』を原案に映画化した『蜘蛛巣城』(三船敏郎、山田五十鈴出演)、そして、2001年に齋藤雅文さんが脚本・演出を手掛けた舞台(中村吉右衛門、麻実れい出演)の台本を元に、改訂して上演します。前作2作はそれぞれに魅力のある作品ですが、今回は、早乙女太一と倉科カナという若い夫婦のエネルギーでより生々しく青臭く、リアリティのある、今を生きるお客様の心に届く作品になれば、という思いで作っております。早乙女さんも倉科さんもとても繊細に大胆に力強く演じてくれているので、現代のお客様の心を揺さぶるような作品になっていると思います。ぜひ特に若いお客様に足を運んで観て頂きたいなと思っています。

【公演情報】
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『蜘蛛巣城』
原脚本:黒澤明 小國英雄 橋本忍 菊島隆三
脚本:齋藤雅文
上演台本:齋藤雅文 赤堀雅秋
演出:赤堀雅秋
出演:早乙女太一 倉科カナ
長塚圭史 中島歩 長田奈麻 山本浩司 水澤紳吾
久保酎吉 赤堀雅秋 銀粉蝶 ほか
●2/25~3/12◎神奈川公演 KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
〈お問い合わせ〉チケットかながわ 0570-015-415(10:00‐18:00)
https://www.kaat.jp
《全国ツアー》
●3/18・19◎兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
●3/25・26◎枚方市総合文化芸術センター 関西医大大ホール
●3/30◎やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館) 大ホール
〈公演サイト〉https://www.kaat.jp/d/kumonosujo

 

【撮影:阿部 章仁】

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