お芝居観るならまずはココ!雑誌『えんぶ』の情報サイト。

オリジナルミュージカル『いつか~one fine day』プレイベントトーク&ソング レポート

上段/内海啓貴 小林タカ鹿 藤岡正明 荒田至法 下段/入来茉里 皆本麻帆 佃井皆美 和田清香

 

人間ドラマを描き続ける韓国の映画監督イ・ユンギの最新作を原作に、ストレトートプレイからミュージカルまで幅広い作品を手掛ける板垣恭一の脚本・作詞・演出、新進気鋭の桑原まこの音楽による、オリジナルミュージカル『いつか~one fine day』が、4月11日~21日世田谷のシアタートラムで上演される。

オリジナルミュージカル『いつか~one fine day』は、2018年4月に東京芸術劇場シアターイーストで上演された『In This House~最後の夜、最初の 朝~』に続くconSeptのMusical Dramaシリーズ第2弾で、妻に先立たれた保険調査員テルと、昏睡状態の中で心だけ目覚めた目の見えない女性エミの交流を通して、誰の人生にも訪れる別れの絶望と、そこからの再生のドラマを生演奏と共に展開するオリジナルミュージカルとなっている。

【STORY】

保険調査員のテル(藤岡正明)は後輩・タマキ(内海啓貴)の担当だった仕事を引き継ぐよう新任の上司・クサナギ(小林タカ鹿)から命じられる。それは交通事故で植物状態の女性・エミ(皆本麻帆)の事故の原因を調べる というもの。しかし、エミの代理人・マドカ(佃井皆美)と従兄弟・トモヒコ(荒田至法)は調査に非協力的で敵対。仕事が進まないなか、病死した妻・マキ(入来茉里)のことをまだ整理できずにいるテルに声をかけてきたのは、意識がないはずのエミだった。俄かには信じがたいと思いながらも自分にしか見えないエミと交流を重ねるうちに、事故の陰に幼い頃にエミを捨てた消息不明の母親・サオリ(和田清香)の存在が浮 かび上がってきて……。

桑原まこ

そんな新作ミュージカルの開幕を前に、稽古の様子や楽曲の一部ご披露しましょう、というユニークなイベント『いつか~one fine day プレイベント トーク&ソング』が3月22日都内で開催され、公式からチケットを購入し、参加を希望した応募者の中から抽選で選ばれた幸運な50名が、キャスト全員と、脚本・歌詞・演出の板垣恭一のトークと、作曲・音楽監督の桑原まこの演奏による楽曲披露に立ち会った。

基本的に映画をベースに新たなミュージカルとして脚本を立ち上げる時に、板垣は各キャストを思い浮かべて、それぞれに役柄を当て書きしたそうで、更に本人たちから語られていく役柄の話が、それぞれとても面白い。

板垣恭一

藤岡は「テルという役はどこにでもいる人。大きな取り柄もないし、何かに秀でている訳でもない。でも人生をマラソンに例えた時に、今走っているのか、やっと歩いているのか、或いは立ち止まってしまっているのかを考えた時に、人生って色々な時があるというのが作品の裏テーマとも言えるのかなと。そうして見た時にテルは自分が立ち止まっていることを意識はしているけれども、それに向き合えないでいたのを、また歩き出そうとするまでが描かれています。きっと共感してもらえると思う役なので、劇場で観てください」

藤岡・皆本

皆本は「目が見えない女性が交通事故にあって植物状態になっている。そこに至るまでには色々な人生があっただろうと思うのですが、今この役に出会って様々なことを感じることができる稽古場に感謝しています。テルを強引に振り回す場面もたくさんあるのですが、それがすごく楽しいです」

佃井は「この年齢になると大切な人を亡くす経験をしているのだけれど、マドカという役もそうでとても身近に感じる。自分が大切に思っている人の為に何がしてあげられるのか?を毎日考えている。そういう想いを届けられるように頑張りたい」

佃井・和田

和田 「シチュエーションはそれぞれ特別で激しい部分もあるかもしれないが、意外と見ていただく方の半径5メートル以内のお話で、決して非現実的ではないストーリーなので、共感出来る部分があるのではないかと思います」

皆本・荒田

荒田は「ゲイのストリートミュージシャンが友達にいるっていう人いますか?」と問いかけて、改めて特殊なことではないけれども、多数派ではないマイノリティーな役柄であることを語り「でも誰しもがきっとどこかにはマイノリティーな部分って持っているから、そこに寄り添える人間でありたいと思ってやっています」

入来・藤岡

入来は「テルがいつまでも妻を亡くした衝撃から抜け出せない、そうなってしまうだけのテルにとっての大切な妻でありたいと思う。板垣さんが私に寄せて書いてくださっていることもあって、台詞はとても覚えやすくて入ってきやすいです」

内海は「もう平成は終りますけど、平成の若者の典型として演じていて、わからないことはストレートに『わからない』と言う。当て書きをしたと言われた通りに、もし内海啓貴がサラリーマンだったらこんな感じじゃないか?と思う、当たってるなと感じる」

内海・小林

小林は「中間管理職でテルにこの案件を解決しろ、というプレッシャーを与えていく役。映画より役柄の背景が書き込まれているのもありがたいし、皆からひとつ離れたポジションから見ていることが大事な役だと思う」

と、それぞれに想いを披露。まだ稽古段階での話だけに、逡巡しながら言葉を探すキャストもいるのが印象的で、藤岡の「作品が難しいから、役に対することも簡単に語れないところがあるけれど、板垣さんの言葉を借りるとお客さんが入ってはじめて命が吹き込まれる作品で、お客様お1人ひとりに、それぞれ違った何かを持ち帰ってもらえると思う」という言葉に説得力があった。

佃井・和田

また、おススメシーンとしてエミの母サオリのソロをキャストが口々に挙げて「テーマとしては重いものを扱っているので、躊躇してしまうかも知れないけれど、遠慮せず笑ってください!」との声に、命を扱った作品に、軽やかさもたくさんあることが伺える。それを板垣が『社会派エンターテインメント』と表現し「ミュージカルでも、ストレートプレイでも、現代の日本を描いた作品はとても少ない。でもそれではいけないと思うし、現代社会をちゃんと描きながら、でも決して重すぎない作品を創りたい。その第一歩であるこの舞台を是非応援してください」と、見据えているものを語ってくれた。

その後、冒頭に歌われるナンバー「うつしおみ 現人」が披露される。現在PVも公開されているが、藤岡が音が出た途端に世界観が表現されていて、これは大丈夫だ!と思えたという楽曲だけはあって、美しいのはもちろん、現代を描いていて現実世界から舞台空間の演劇世界に誘ってくれる力がある楽曲だ。重唱として重なっていくキャストの声も美しく、それぞれのソロの言葉も深い意味を持ち、特に知らぬ人とていないだろう優れた歌唱力の持ち主の藤岡の歌唱が良い意味で浮かず、この歌を聴いてくれ!では決してない、切々と想いを届ける歌に昇華されているのが印象的だった。

更にもう1曲、この作品のタイトルの同名曲「いつか」が歌われる。これは作品の最後に歌われる楽曲とのことで、それぞれの未来に、明日に希望が持てる「いつか」がくることを信じられる、信じたいと願える力を持った歌詞とメロディーに、公演への期待が高まった。

最後に参加者全員がキャストの集合写真を撮影できる時間も設けられ、藤岡がここに参加してくれた皆さんの応援にかかっている、是非チケットをあと4枚買い足して下さい!と語り、作品に懸ける意気込みが感じられる、充実した時間だった。

何よりこのイベントの趣旨として、プロデューサーから語られた「誰もが2回、3回観にこられる訳ではないから、こういうプレイベントを経験してもらうとことによって、1回しか観られないお客様にも作品をより理解してもらえたら良いなと思っています」との言葉が印象的。キャスト全員がそれぞれオシャレな服装で揃えている中「今朝家を出る時、このイベントがあることを忘れていた!」と笑わせた藤岡が、真っ赤なロゴ入りトレーナー姿というのも微笑ましく、公演への期待が高まる時間となっていた。

尚、藤岡正明、皆本麻帆、和田清香、小林タカ鹿、板垣恭一による座談会も近日掲載予定です!お楽しみに!

〈公演データ〉

『いつか~one fine day』

原作◇映画『One Day』

脚本・作詞・演出◇板垣恭一

作曲・音楽監督◇桑原まこ

出演◇藤岡正明 皆本麻帆 佃井皆美 和田清香 荒田至法 入来茉里 小林タカ鹿 内海啓貴

●4/11~21◎シアタートラム

〈料金〉平日19時 7,500円 平日14時・土日 8,500円

「いつか」公式サイト
https://www.consept-s.com/itsuka/

 

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

 

記事を検索

観劇予報の最新記事

「僕のヒーローアカデミア」The  “Ultra”  Stage 本物の英雄 PLUS ULTRA ver.を7月に上演!
ミュージカル『アニー』で 4年連続ウォーバックス役を演じる! 藤本隆宏インタビュー
トップスターとしてのラストステージ「レビュー 春のおどり」桐生麻耶インタビュー
三島由紀夫没後五十年に三島歌舞伎第一作目『地獄變』を花組芝居がネオかぶき化!
タクフェス 春のコメディ祭!『仏の顔も笑うまで』宅間孝行・モト冬樹・肥後克広・樋口日奈 インタビュー

旧ブログを見る

INFORMATION演劇キック概要

LINKえんぶの運営サイト