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歓喜とスペクタクルの『新版 オグリ』いよいよ開幕! 中村隼人インタビュー

スーパー歌舞伎屈指の人気作『オグリ』が、スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)の第三作『新版 オグリ』として新たによみがえり、明日10月6日、新橋演舞場についに初日を迎える。
今回の『新版 オグリ』は、市川猿翁の手によって1991年に初演されたスーパー歌舞伎『オグリ』から、脚本・演出を一新した文字通りの「新版」。変わらぬ魅力をもつ梅原猛の原作に、脚本はスーパー歌舞伎Ⅱ第二作『ワンピース』で大ヒットを放った横内謙介が手がけ、演出は市川猿之助と杉原邦生がタッグを組み、さらにスーパーバイザーとして猿翁が加わる。

その作品で大きな注目を集めているのが、主人公の小栗判官役を猿之助と中村隼人が交互出演で勤めることで、『ワンピース』や新作歌舞伎『NARUTO︱ナルト︱』などで人気上昇中の隼人にとって、さらなるチャレンジの機会でもある。
そんな大舞台を前にした中村隼人に、作品と役柄への思いを話してもらった「えんぶ10月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

未来が見える、先が見える、猿之助さんの凄さ

──本作に出演が決まったときはいかがでしたか?

初演の『オグリ』はスーパー歌舞伎の人気作品で、三代目猿之助(現・猿翁)さんが、現代のお客様の胸を打つ新しい歌舞伎作品をめざして作ったと伺っています。それから30年近く経った今、当代の猿之助さんと一緒に、また新しい時代のお客様の胸を打てるような芝居づくりが出来ることは、本当に嬉しいし、有り難いと思っています。

──猿之助さんと共演の多い隼人さんにとっては、リスペクトするところも多いと思いますが。

私は芝居でご一緒させていただいたのは、『獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』(2014)が初めてで、『ワンピース』で、本当に色々なことを教えていただきました。古典ももちろん素晴らしいのですが、新作を作っていく力やエネルギーにはいつも感動しています。初演の『オグリ』で猿翁さんは、「できるなら背景を全部テレビのモニターで埋めたい」とおっしゃったそうですが、そういう30年先を見越した発想は、猿之助さんにも引き継がれていて、『ワンピース』の演出でも次々に新しいアイデアを出して、幕が開くとそれが見事にお客様に受け入れられる。未来が見える、先が見える、それを目の当たりにしました。

──その猿之助さんと今回は交互出演で主役を勤めるわけですが。

そんな凄い兄さんと同じ役をさせていただくのは、畏れ多くもありますが、それ以上に大きな喜びで、全身全霊で精一杯勤めたいと思っています。吸収できることは吸収して、自分にしかないと思ったところは自分らしく伸び伸びとさせていただこうと。猿之助さんにも「遠慮しないで私を食うくらいの勢いで輝きなさい」と言っていただきましたので、少しでも飛躍することができるよう勤めたいです。そしてこの経験をもとに、歌舞伎俳優として古典もしっかりできるように精進したいと思っています。

歌舞伎では世界一美しい餓鬼病(がきやみ)に

──小栗判官役と遊行(ゆぎょう)上人役をお二人で交互に演じるわけですが、それぞれのイメージはどう捉えていますか?

小栗判官は共感できる部分が多い役です。若さゆえの傲慢さで自分の力でなんでも叶えてきた。そのせいで殺されて地獄に落とされますが、そこでもやりたい放題で、餓鬼病になって初めて自分のいたらなさと未熟さを感じるわけです。私も最近色々なことをさせていただく中で、意図せずに突っ走ってしまうこともあるので、小栗と重なることも多いなと。そういう意味では等身大で今までにない役ですが、自分を反映させながら成長させていける役ではないかと思います。一方の遊行上人役は、信仰に迷い、悩んでいるお坊さんなのですが、でもその悩んでいるという設定が自分には救いになるなと。もし悟っているお坊さんだったら難しかったと思いますから。

──小栗は餓鬼病の姿になって土車で引かれて行きますが、動けない中での内面の演技をどう表現しようと?

動けないときの表現には、演じる者の人生経験や人間的な魅力が必要だと思いますが、自分にはまだそういう部分は未熟なので、まずは肚(はら)だと思います。今までも肚の芝居を大事にと言われてきましたが、それを今回一番痛感するのではないかと。それから猿翁さんが「餓鬼病は普通なら爛れて汚れた姿だけど、この『オグリ』では世界一美しい餓鬼病に作ってほしい。歌舞伎だからこそ美しい餓鬼病でなくてはいけない」とおっしゃったそうです。その真の意味を考えながら演じたいと思います。

ダブルの宙乗りもある大スペクタクル作品

──猿之助さんは、この作品では「歓喜」という哲学を打ち出したいと言っています。「苦労することや人のために何かすることではなく、自分が歓喜の渦の中にいることが人を救うことになる」と。隼人さんはその言葉をどう受け止めましたか?

前回の映像や今回の台本を読んでみると、小栗も妻の照手も遊行上人も他の人々もそれぞれ悩みを持っていて、もがきながら答えを見つけていきます。それが最後には「歓喜」につながる。苦しみを経てこその「歓喜」だと思います。そういう意味では、わりと若い人たちにも共感してもらえる哲学かなと思います。

──隼人さん自身にとっての「歓喜」とは?

舞台や映像に限らず色々な作品を一から作っていって、出来上がったときの喜びですね。歌舞伎の舞台も、古典は先人たちによって作られ、時を経て削ぎ落とされて出来上がった。でも新作は一から手探りで、みんなで一緒に悩みながら作っていきます。それがお客様に評価されたとき、一番「歓喜」を感じます。

──この『新版 オグリ』も隼人さんにとって「歓喜」に充ちた作品になりそうですね。最後に改めて見どころを。

まず猿之助さんとダブルの宙乗りがあります。上手と下手、両側で馬に乗って飛ぶのですが、自分にとって動物に乗る宙乗りは初めてです。それから血の池地獄での本水の立廻りも見せ場で、『ワンピース』以上の大スペクタクルになると思います。さらに、テーマの「歓喜」を表現する「念仏踊り」では、お客様を巻き込んで踊り狂う予定ですから(笑)、一緒に盛り上がっていただきたいですね。

なかむらはやと○平成5年生まれ、東京都出身。2代目中村錦之助の長男。平成14年に初代中村隼人を名乗り初舞台。立役を中心に、古典歌舞伎からスーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)『ワンピース』や新作歌舞伎『NARUTO─ナルト─』まで活躍。本年5月~7月のNHK-BS時代劇 『大富豪同心』では主演を勤めた。10月にはNHK地上波で放送予定。

【公演情報】
スーパー歌舞伎II(セカンド)
『新版 オグリ』
原作◇梅原猛 
脚本◇横内謙介 
演出◇市川猿之助・杉原邦生 
スーパーバイザー◇市川猿翁 
出演◇市川猿之助 中村隼人 ほか
●10/6~11/25◎新橋演舞場
〈料金〉1等席16,500円 2等A席9,500円 2等B席6,500円 3階A席6,500円 3階B席3,000円 桟敷席17,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉新橋演舞場 03-3541-2600
チケットホン松竹 0570-000-489
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/shinbashi/play/622/

 

【構成・文◇宮田華子 撮影◇田中亜紀】

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