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春のつかこうへい復活祭『熱海殺人事件』『銀幕の果てに』連続上演2作品で奮闘中! 味方良介・石田明 インタビュー

 

今年も紀伊國屋ホールが「つかこうへい作品」で燃えている。今回は「春のつかこうへい復活祭」として、VOL.1『熱海殺人事件』、VOL.2『銀幕の果てに』の2作品を連続上演という気合いの入った企画だ。

間もなく千秋楽を迎える『熱海殺人事件』は“LAST GENERATION 46”と銘打って、初演から46年目の上演を飾る。木村伝兵衛部長刑事には三度目の味方良介、水野朋子婦人警官に今泉佑唯、犯人の大山金太郎にダンスボーカルユニット「lol-エルオーエル-」の佐藤友祐、富山から出て来たエリート刑事・熊田留吉には昨年に続いてNON STYLEの石田明という布陣で連日客席を沸かせている。

またVOL.2『銀幕の果てに』は、4月24日から29日まで紀伊國屋ホール、そののち大阪公演も行う。こちらは新作で、1994年に発表された長編小説をもとに、東京近郊の山の中にある大東映画撮影所を舞台に、伝説の大女優「野火止玲子」を巡って繰り広げられる告発サスペンスだ。主演の玲子に矢島舞美、彼女と対峙する大部屋女優の涼子に木﨑ゆりあ、彼女たちを取り巻く人間たちに味方良介、石田明、さらに佐久本宝、久保田創、岡田帆乃佳、黒川恭佑 磨世、そして松本利夫も出演する。

この2つの公演に重要な役で連続出演し、ハードな掛け持ちで活躍する味方良介と石田明に、『熱海殺人事件』開幕直前の稽古場で話を聞かせてもらった。

味方良介 石田明

「銀幕」と日本の現実が重層的に描かれる

──お二人は『熱海殺人事件』『銀幕の果てに』の両方に重要な役で連続出演するわけですが、この企画を聞いたとき、いかがでした?

味方 最初、岡村さん(俊一・演出家)にすごく軽い感じで言われたんですよ。

石田 そう。『熱海』のあともう1本やるけど、そんなに台詞もないから大丈夫!みたいな(笑)。とんでもない!大ウソで!

味方 大ウソつきです(笑)。

石田 台本みてびっくりしました!

味方 僕はまだしも石田さんの分量が、これ大丈夫か?っていうぐらい

──脚本家という設定ですね?

石田 一応そうですが、物語全体が自分から出ているというか、そういう位置にいるので、最初と後半は俺しかしゃべってないという(笑)。稽古を始めてから少し減ったので、ちょっと助かりました。

味方 まともな量になりましたね。

石田 やっと人権を取り戻しました(笑)。

──味方さんは村雨という役ですね。

味方 政府の要人の役なのですが、物語の本線からは少しはずれたところにいて、別次元といったらいいか。

石田 でも壮大なテーマを担っているポジションですから。

味方 この作品は主人公の玲子の17歳から60歳までという設定なので、時空が行ったり来たりするんですが、どれが現在で、どれが映画を撮っている時間なのか、どれが過去なのか、入り組んでます。村雨はその要所要所で、事態の進む中での緊迫感のようなものを伝える存在です。

──原子力発電所の話も背景にあるそうですが。

味方 そうですね。「銀幕」というものを描きながら、同時にこの日本とか政治とか、そういう面を描いています。その中で、物事を良い悪いで決めるのではなく、出来ないこともあるし必要なウソもある。それは映画も政治もある意味一緒だと。人間のやっていることは大小を問わず同じようなことなんだと。そういうテーマ的な部分に関わる役です。

──かなり重層的な作品ですね。昭和の映画界の部分と現代の政治に関係する部分が、テーマとして絡んでくるのですね。

石田 ツイストパンみたいになってます(笑)。

味方 そういう感じ(笑)。

──スケールも大きそうですね。

石田 スケールでかいです。かと思えばちっちゃなくだらない話もあって(笑)、その両方が重層的になっているのが面白いんです。どれが現実かそうでないか、一見わからない状態で話が進んでいくんですが、そこが稽古していても難しい。

味方 これは映画の中のシーン?いや現実?みたいに確認しながら、稽古を進めてます。

前向きで全力でぶつかり合うカンパニー

──矢島舞美さんと木﨑ゆりあさんは、劇中で女優同士の戦いもあるそうですが、お二人の役はお互いに?

石田 一切絡まないんです。

味方 僕が絡むのは矢島さんと(久保田)創くんですね。創くんが全部にちょっかいを出してくる刑事役で、彼の人間性が出てます。

石田 みんなに姑息デカと言われてますね(笑)。

(稽古場で聞いていた久保田創から「おいおいおい!」と抗議の声が。)

味方 実は美味しい役です(笑)。

──石田さんが絡むのは?

石田 僕は味方くん以外は全員絡んでます。僕は撮影所で昔あった事件、女優がシャンデリアの下敷きになって死んだという事件を調べていて、その謎を解くために創くんの刑事を連れて探りに来ているんですが、「これは野火止玲子が殺したんじゃないか」と疑っているんです。さらに撮影所の人たちが秘密を隠していることに気づいて、それは一体なんなのかと考え始めるわけです。

──それで告発サスペンスとキャッチについているのですね。カンパニーの雰囲気はいかがですか?

味方 とにかくみんな前向きで、全力ですね。

石田 無から作り上げていく状態ですから、誰かのやることからヒントを掴もうとしてるし、何でも良いからやってみてそれについて話し合ったり、一緒に考えていくという感じで熱い稽古をしてます。

味方 キャストも負けん気の強い子が多いんです。ゆりあは去年『熱海殺人事件』に出た経験があるから、さらに上に行きたいという気持ちがあるし、矢島は矢島で、去年の『LADY OUT LAW!』の主演をして踏ん張ることを覚えたので。

石田 2人とも良い女優さんですよね。

味方 それに(佐久本)宝は度胸あるし、MATSU(松本利夫)さんは頼りになるし、ほかのみんなもやる気が溢れている面子ばかりです。最初に日程を見て、このスケジュールで本当に新作が作れるか心配していたんですけど、実際にやってみたら全然大丈夫だなと。稽古が楽しいし、やろうやろうって気持ちにさせてくれる。それは全員のやる気があるからだし、僕もそれに刺激されてますね。

何度もやっているからには「すごいね」だけではなく

──今回、『熱海殺人事件』と並行していますが、すでに三度目になった伝兵衛への取り組みはいかがですか?

味方 三度目だからこそ、今まで持っていたものとか考えたものを捨てて、今、僕が一番やりたいことや、出来ること以上の伝兵衛を作りたいと。これまで2作、その時その時全力でやっていたんですけど、平成最後の今回は、この『熱海殺人事件』という作品がこれから未来に残っていくために、伝兵衛だけでなく、熊田もそうだし、水野も大山金太郎も、きちんと完成形にするために、「ここの台詞はこうしなきゃだめだ」「こうしなきゃ届かないな」とか、1つ1つ丁寧に繊細に考えながら、絶対に逃さないようにという気持ちでやってます。

──伝兵衛の台詞もすっかり板についてますね。畳みかけるように話して、しかも説得力があります。

味方 スピード感とか圧力だけではなく、その人に喋らせるためとか、その人の言葉を止めるためとか、感情を持ち上げるためとか、それによって言葉の圧を変えることが必要で。一言一言をちゃんと相手に当てないと相手が乗ってこないし、そのワードワードを大事にしないと深まっていかないんです。『熱海』を何度もやっているからには、ただ「すごいね」じゃなくて、それだけの使命感と熱を持って届けたいという気持ちです。

──石田さんももう二度目ですから盤石の熊田刑事ですね。

石田 一度目はとにかく必死で、今回から思うと体当たりでしかなかったなと。今回色々なことに気づけているし、色々なことをキャッチできているのは確かです。また今回、味方伝兵衛がめちゃくちゃ言葉を大切にしているので、全部こちらに入ってくるんです。だから重いし、揺さぶられますね。それもあって、昨年ほど体当たり感はなくなっているかなと。

『熱海』は登場人物が全員成長する物語

──お二人の伝兵衛と熊田がとにかくカッコイイです。そういう意味では全員カッコイイのが『熱海』ですが、今回新加入の今泉佑唯さんと佐藤友祐さんはいかがですか?

味方 今泉さんは、ほぼほぼ初舞台で、こういう圧力を持ったオジサンたち(笑)の中に飛び込んで、そこに居るというだけで根性があると思いますし、彼女が今後女優として生きていこうとするのであれば、蹴散らしていくパワーが必要なんですが、それが稽古初日に比べるとどんどん伸びてきている。まだ元アイドルという肩書きが付いているけど、この作品の舞台で、「もうアイドルじゃないんだ」と思ってもらえるように、僕らもバックアップするけど、彼女自身が持っている強さを貫いていけばいいんじゃないかな。

石田 よくも悪くも敏感というか感じやすい。それがいいほうに転べば輝けるし、悪いほうに転べば若さになってしまう。そこが安定していけばもっと素敵になるなと。あと目力が凄い(笑)。

味方 友祐は自分の後輩が金太郎を去年やってますから、負けたくないという気持ちが強い。音楽をやっているから振りを覚えてるみたいなところが最初はあったけど、それを取っ払って無我夢中になってやるようになってカッコよくなったなと。すごく熱心で、稽古が終わると「どこがダメでしたか」って聞きにきたり、根性がありますね。大山金太郎がいるからこそ、この物語は成長するので。もちろん伝兵衛も水野も熊田も成長してるんですが、一番成長するのが金太郎なので、この作品を終えたときに友祐自身もすごく成長しているんじゃないかな。

石田 友祐くんはすごく忙しくて、稽古中もライブと掛け持ちしてて、声カスカスなのに、このあと歌ってきますとか(笑)、全力で挑んでる姿はオジサンとしては愛おしいです。それにわからないことをちゃんとわからないと言える。それはすごく大事なことで、聞いてくれれば僕たちも解決策をすぐ言えますからね。

つかこうへいの人間くさくて熱い愛を感じながら

──そんなお二人に改めて聞きたいのですが、つか作品に出ているからこそわかる、つかさんの書く言葉の魅力は?

石田 人間くさい。そして人間というものを美しいものにまでもって行ってくれます。

味方 愛ですね。『熱海』なんかたった4人の芝居なんですけど、人間愛というか、壮大な愛が詰まっている。誰かが誰かを愛することとか、嫌いになってしまうこととか、その一瞬で人を殺してしまったり、逆に殺さなかったり、そういう訳の分からないところを描いている。愛していた人を殺す人間の気持ちなんかわからないですけど、この作品を通すと「あ、殺しちゃったんだ、それだけ愛してたんだな」と。熊田が恋人を捨てて出てきて、でも捨て切れなくて、「自分にはユキエで十分なんです」というけど、「いやお前じゃなくあっちから見て十分なんだろ」とか(笑)。そういうそれぞれの愛が『熱海』はドアタマから続いてるわけですよ。そういう人間力の塊がつか作品なんです。

石田 だから古くならないですよね。人間の真の部分が描かれているからハッとさせられるし。4人それぞれが人間の強いところも弱いところも持ってる。だからえぐられます。

──そんなつか作品の新作として『銀幕の果てに』を皆さんで作り出すわけですが、つかさんの作品が1作でも多く世の中に出るのは素敵なことですね。

味方 僕は直接お会いしたことはないのですが、生きる糧が増えたというか、『熱海殺人事件』『新・幕末純情伝』、そしてこの『銀幕の果てに』と、平成を越えて次の時代にも、つかさんの作品を生かしていくこと。それが僕らの仕事だし、つかさんの名前を出す以上は恥じない作品にして、見ている方に納得してもらえるものにしなければと思っています。初めて舞台化されるというので、内容がわからなくて迷っている方もいるかもしれませんが、この出演者の顔ぶれですから期待していただいて大丈夫です。きっと良い作品になるという確信がありますので。ぜひ観に来てください。

石田 つかさんの人間への優しさとか厳しさが詰まってます。しかもこれだけの、10人という出演者全員にサビを歌わせてる感があって、そこはすごいなあと。誰1人コーラスじゃなく、全員にちゃんと歌わせてあげてる。そのへんも「銀幕」というか映画や芸能の世界らしい作品で、つかさんからのメッセージを毎日感じながら頑張ろうと思っています。

味方良介 石田明

【プロフィール】

みかたりょうすけ〇東京都出身。俳優として舞台を中心に活躍中。近年の主な出演作品は『恋するブロードウェイ♪』ミュージカル『テニスの王子様』『We are ウォンテッド!』『ボーイバンド』『ライチ☆光クラブ』『回転する夜』『グランドホテル』など話題の舞台に数多く出演。近作に『リメンバーミー』『MOJO』『ウエアハウス ~Small Room~』『ミュージカル 黒執事 』『熱海殺人事件』『Take Me Out』『新・幕末純情伝 FAKE NEWS』『ラヴ・レターズ』『LADY OUT LAW!』などがある。

いしだあきら〇大阪府出身。井上裕介とともに2000年にお笑いコンビ「NON STYLE」を結成。07年に「爆笑オンエアバトル」9代目チャンピオンに輝き、翌年に東京進出。同年に「M-1グランプリ」で優勝を果たすなど、高い評価を得ている。脚本家、俳優としても活躍中。最近の出演舞台は、『熱海殺人事件 CROSS OVER 45』、『新・幕末純情伝』、『火花』など。

 

【公演情報】

春のつかこうへい復活祭 2019 VOL.1

『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』

作◇つかこうへい

演出◇岡村俊一

出演◇味方良介 今泉佑唯 佐藤友祐 石田 明

●3/28~31◎クールジャパンパーク大阪TTホール

●4/5~21◎東京・紀伊國屋ホール

〈料金〉7,000円(全席指定・税込)

〈お問い合わせ〉Mitt 03-6265-3201(平日12:00~17:00)

http://www.rup.co.jp/

春のつかこうへい復活祭VOL.2

『銀幕の果てに』

作◇つかこうへい

演出◇岡村俊一

出演◇矢島舞美 味方良介 木﨑ゆりあ 石田明(NON STYLE) 佐久本宝 久保田創

岡田帆乃佳(劇団4ドル50セント) 黒川恭佑 磨世

松本利夫

●4/24~29◎東京・紀伊國屋ホール

●5/8~9◎大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TT ホール

〈料金〉7,000円(全席指定・税込)

〈お問い合わせ〉Mitt 03-6265-3201(平日 12:00~17:00)

大阪公演/チケットよしもと予約問合せダイヤル 0570-550-100(10:00~19:00)

http://www.rup.co.jp/

 

取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃

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