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『FLOWER DRUM SONG』ヒロインのメイ・リー役を演じる桜井玲香インタビュー

1940~50年代の〝ミュージカル黄金時代〟に『サウンド・オブ・ミュージック』や『王様と私』をはじめ、数々の名作を生みだした名コンビである、作曲家のリチャード・ロジャースと、作詞家で脚本家のオスカー・ハマースタイン2世のタッグで1958年にブロードウェイで初演された『FLOWER DRUM SONG』。
サンフランシスコのチャイナタウンを舞台に、ショービジネス界で生きる人々の夢や愛を描いた作品は、600回のロングランとなり映画化もされて愛され続けてきた。
2002年にトニー賞受賞作家デビッド・ヘンリー・ファンによってリバイバル上演され大きな話題を投げかけたが、そのリバイバル版の日本初上陸公演が、4月23日~27日東京・日本青年館、4月29日~30日大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。
その舞台でヒロインのメイ・リー役を演じる桜井玲香が、新たな作品に懸ける想いを語ってくれた「えんぶ4月号」のインタビューをご紹介する。

私にとって大きな挑戦になる作品だなと

──リバイバル版日本初の上演となる『FLOWER DRUM SONG』に、出演が決まった時に感じたことから教えてください。

お話をいただいてまず資料を調べたり、ブロードウェイでレコーディングされているアルバムも聞いたのですが、「演じてみたい!」という気持ちと同時に演じる難しさも感じました。私にとってとても大きな挑戦になるだろうと思っています。

──作品全体からそう感じられたのですか?

1950年代のサンフランシスコで暮らすチャイニーズ系の方達が、様々な差別を受けながらも頑張っていくという内容で、移民の問題をはじめデリケートな部分も描かれているので。特に私が演じさせていただくメイ・リー役は「もっと自分を大事にすればいいのに」と思うほど周りに振り回されていきますし、抱えている悩みもとても大きなものです。そこを自分でどう消化して演じていけるかが、本当に挑戦だと思いました。でもチャイニーズ系の人たちがやっているサンフランシスコのナイトクラブが舞台になっていることから、アメリカンな雰囲気とチャイニーズな雰囲気が融合されている曲調や、衣装やセットも素晴らしく華やかで、私の個人的な好みとすごくマッチしているので、すごく楽しみにしています。

──いまお召しになっているチャイナドレスも本当によくお似合いですが、ビジュアル撮影はいかがでしたか?

チャイナドレスを着るとピシッと背筋が伸びると言いますか、ボディーラインがとても綺麗に出るお衣裳なので、身が引き締まる思いです。これまでなかなか着る機会がなかったので少し恥ずかしい気持ちもありつつ(笑)素敵だなと感じています。

──いま演じるメイ役について「もっと自分を大切にして」とおっしゃいましたが、そういう役柄をどう表現したいですか?

何も知らない純粋無垢な女の子という印象があるので、古屋敬多さんが演じられるワン・ターに対しても、作品のなかで起こる出来事に対しても、ただひたすらにまっすぐに向き合い役を通して純粋さを表現したいです。

作品ごとに未知の世界が開かれていく

──先ほどもお話に出ましたが、この作品は「ミュージカル黄金時代」を築き上げたロジャース&ハマースタイン2世コンビの楽曲ですが、曲の印象はどうですか?

ひとつ前に出演させていただいた作品がストレートプレイでしたし、ここ最近はポップス寄りの楽曲が多い作品に出演が続いていたので、きちんとソプラノで歌う作品は久々です。とても綺麗で品のある楽曲ばかりですが、歌いこなすにはまた苦労もあると思います。

──残念ながら中止になってしまった『ウエスト・サイド・ストーリー』もそうですが、オペラに近い発想で作られている楽曲かなと思いますが、そうした違いや魅力は感じられますか?

新しい作品に関わらせていただく度、色々な歌い方を教えていただき、様々な表現があるんだなと。次々に未知の世界が開かれていく、決してゴールが見えないからこそ、探究し甲斐があるんだと思います。ですから毎回とても大変ですが、楽しみながら頑張って取り組んでいきたいです。

──演出の上島雪夫さんとはこれまでもご縁がありますね。

ご一緒させていただくのは、今回で三回目になります。ミュージカルに初めて出演した生田絵梨花さん主演の『リボンの騎士』で上島さんに振付・演出をつけていただいたのが最初です。最初に「好きにやっていいよ」と言われた記憶がとても強く、細かく指示を出されてその通りにやっていくよりも、自分でちゃんと喰らいついて意見を出していかないといけない印象です。

──それはある意味怖いと言うか、難しいですよね。

すごく難しいんです! ヒントが欲しい!(笑)。今回は特に作品の内容も難しいので、ちゃんと事前に考えて臨みたいと思っています。前回ご一緒させていただいた『ダンス・オブ・ヴァンパイア』では振付のみでしたが、今回久しぶりに演出家として見ていただくので、色々と伺いながら稽古をしていきたいです。

音楽があることによって表現の幅が広がる

──直近の作品がストレートプレイの『SLAPSTICKS』でしたが、これまでの経験と合わせて、ミュージカル作品との違いや、それぞれに感じる魅力はどうですか?

『SLAPSTICKS』では、演出の三浦直之さんがとても繊細なお芝居を大事にされる方で、舞台ならではの遠くにまで届く表現だけでなく、もっと細かい芝居を求められる事がとても新鮮でした。そこからまたミュージカル作品に向き合ってみると、音楽があることによって表現の幅が広がり、1曲のなかで台詞の倍以上の情報量をお客様にお伝えできるのが、ミュージカルが持つ武器だと思いました。あとはやっぱり華やかさでしょうか。演じていても、観ていても、あぁ綺麗だな、すごいなと感じるスペクタクルがミュージカルにはあるので、それぞれに魅力を感じます。

──そのミュージカルの世界ではお馴染みと言いますか、錚々たる共演者の方達が揃っていますが、期待されていることは?

皆さん本当に素晴らしい方達ばかりで、ご一緒させていただけるのが楽しみです。なかでも八十田勇一さんとは先ほどお話した『リボンの騎士』以来の再会です。それこそ私が右も左も分からず歌っていた姿を見ていらっしゃるので、いまの私をどう見てくださるかなと。

──こんなに成長されたんだと驚かれますよ!

そう言ってもらえたらいいなと思います。また同世代の方が多いカンパニーなので、気負いなくできるかなと。大先輩の石井一孝さんや彩吹真央さんとは「はじめまして」なので緊張もしますが、ビジュアル撮影で彩吹さんとは少しだけお目にかかれてご挨拶させていただいたら、とてもフランクに接してくださったので、色々教えていただきながらお稽古を頑張りたいです。

──そんな様々な作品でぐんぐん大きくなられている桜井さんですが、今後やってみたいものはありますか? 具体的な作品名でなく、ジャンルなどでも構わないのですが。

とことんハッピーな作品をやってみたいです。今までは恋人が死ぬような役柄が多くて、ファンの方から「闇落ちする役が多いですね」と言われるんです!(笑)。ですからラストはみんなで楽しくやっていこうね!! と、盛り上がって終われるような作品をやってみたいです。

──そういうハッピーな作品はいま本当に私達も観たいものなので、そんな機会も楽しみにしていますが、まず華やかなショー場面も多いこちらの『FLOWER DRUM SONG』を楽しみにされている方々にメッセージいただけますか?

ストーリーもとても面白いですし、品があって、綺麗なメロディーの曲がたくさんあるなかから、様々なメッセージも受け取れ、視覚的にもとても楽しめる作品になると思いますので、是非期待して劇場にいらしてください!

■PROFILE■
さくらいれいか〇神奈川県出身。2011年乃木坂46の1期生オーディションに合格しデビュー。同グループの初代キャプテンを務めた。2018年ミュージカル『レベッカ』でグランドミュージカルに初出演。2019年乃木坂46卒業後は女優に転身。舞台、映像と活躍の場を広げている。近年の主な舞台作品に『ダンス・オブ・ヴァンパイア』『フラッシュダンス』『ゴースト』「恋を読むinクリエ『逃げるは恥だが役に立つ』」『SLAPSTICKS』等がある。

【公演情報】
『FLOWER DRUM SONG』
作曲:リチャード・ロジャース
作詞:オスカー・ハマースタイン2世
脚本:デビッド・ヘンリー・ファン
原案:オスカー・ハマースタイン2世 ジョセフ・フィールズ
原作:C. Y. リー
演出・振付:上島雪夫
出演:古屋敬多(Lead)桜井玲香/フランク莉奈
砂川脩弥 泰江和明 八十田勇一
彩吹真央 石井一孝  ほか
●4/23~27◎東京・日本青年館ホール
〈お問い合わせ〉キョードー東京 0570-550-799(平日11:00~18:00/土日祝10:00~18:00)
4/29~30◎大阪・森ノ宮ピロティホール
〈お問い合わせ〉キョードーインフォメーション 0570-200-888(平日、土曜11:00~16:00)
〈公式サイト〉https://flowerdrumsong.jp/

 

【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】

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