伊礼彼方と河内大和が挑む不条理演劇の傑作『ダム・ウェイター』開幕!
劇作家ハロルド・ピンターが初期に発表した不条理演劇の傑作『ダム・ウェイター』(料理昇降機)が、本日、3月16日に下北沢の小劇場楽園で開幕する。(28日まで)
ただの不条理劇ではない面白さと、体感する人によってエンディングの理解も変わってしまう奥深さのあるこの戯曲。各所で度々上演されている二人芝居だが、今回はジャンルの異なる演劇界で個性を光らせ、切磋琢磨している伊礼彼方と河内大和という異色な舞台俳優二人が挑んでいる。
伊礼彼方は、ミュージカルを主戦場とし『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』等の大作やブロードウェイ作品、ジャンルを問わず確かな歌唱力と演技力を武器にストレートプレイからミュージカルまで活躍の場を広げている。
河内大和は、数多くのシェイクスピア作品で主演を務め、『ヴェローナの二紳士』(演出:蜷川幸雄)、『春のめざめ』(演出:白井晃)、『赤鬼』(演出:野田秀樹)等、名だたる演出家から熱い信頼を集めている個性派俳優。
演出は、新進気鋭の大澤遊。「空っぽ人間 <EMPTY PERSONS>」主宰で、フリーの演出として活動。さまざまな演出家(宮田慶子、三谷幸喜、小川絵梨子、長塚圭史など)の演出補、演出助手として多数公演に参加。平成28年度文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員としてイギリスのDerby Theatreにて1年間研修した。
上演する劇場はまさにこの作品におあつらえ向きの下北沢の小劇場楽園。観客が入ってくる時点で、すでにストーリーに没入するかのような地下へと降りる階段。舞台を2方向から観劇できる客席構造を活かした演出になっている。
【あらすじ】
二人の殺し屋ベンとガスは、地下室で仕事の指示を待っている。
するとそこにあるダム・ウェイター(料理昇降機)が突然動き出し、中には料理のオーダーが
書かれた紙切れが入ってる。奇妙な指示に踊らされ、困惑する二人。
これは何を意味している?何を試されている??
不可思議な時間を繰り返していた時、そして、そこへボスからの指示が・・・
この公演初日を迎えるにあたって、キャスト、演出家、プロデューサーからメッセージが届いた。
【コメント】
伊礼彼方
いよいよ始まったダム・ウェイター。
コロナ禍で空いてしまったスケジュール。
「せっかくなら自分の力になる作品を!」という思いのもと始まったこの企画。
本多さんを始め共演者の河内さん・演出家の大澤さん・スタッフさん、いろんな出会いが重なって仲間に恵まれ今日まで突っ走ってきました。
楽園で面白い事をやりたい!
河内さんとなら180度いつもと違う世界を見せられる!
大澤さんとならそのさらに奥深く向こう側に行ける!
と確信した時、この企画はもう既に成功の一歩手前まで進んでいました。
後はお客様に観て頂くだけとなりました。
1度観て理解するのは難しいと思いますが、観劇者のそれぞれの中に答えを見い出せる作品だと思います。大澤さんの言葉を借りるなら「これは不条理ではない、ヒューマンドラマ」です。まさにその言葉通り、大澤さんと共に物語の主人公たちの人生を紐解いてきました。
僕らが演じるベン・ガスは日常に生きる1人の人間。
皆さんと同様に沢山の悩みや不安を抱えながら人生のゴールを目指しています。
同じ食べ物同じ飲み物を口にし、同じ赤い血が流れている。
ただ僕らの知らない世界に住んでいるだけ。
今日彼らが指示された地下室で何が起きるのか、ぜひ目撃してください。
コロナ禍の厳しい状況ですが、スタッフ一同万全の対策をしてお待ちしております。
河内大和
不条理劇と言われるこの作品を、僕たちは不条理だと決めつけず、あらゆる可能性を探しながら稽古で実践していきました。やはりそこにはベンとガス、二人なりの理由や目的がしっかりとあって、ただ自分の人生を一生懸命に模索し生きている二人なんだと、今の僕たちと何ら変わらない人間なんだと気付きました。その創作は子供の時にした宝探しのようで、本当に大変で楽しい作業でした。僕自身、こんなに色んな要素が詰まった面白い作品になるとは思ってもみず、きっと皆様も、観劇後、この地下室に入る前には想像もしなかった心のわいを感じていただけると思います。
演出:大澤遊
伊礼さんと河内さん、このお二人と出会い、ピンターの戯曲と楽しく向き合うことができています。そのお二人がガスとベンとして舞台上で生きている姿をようやくお見せできる日が来ました。稽古を重ねれば重ねるほど、お二人と役が重なって見え、とても愛おしい物語になったように思います。(そんな物語だったっけ??)ただ僕らは毎日のようにピンターの手のひらで転がされているだけかもしれませんが。
ガスとベンが過ごす時間を、ぜひ楽園の客席で一緒に体験していただけたら嬉しいです。
本多劇場グループ総支配人:本多愼一郎
昨年 8 月より本多劇場グループ next として、少人数(二人)芝居をメインに、コロナ渦でも安心して観ていただける小劇場での公演形態の発信方法を模索してまいりました。
今回、役者 2 人の息遣いもわかる劇場で、伊礼彼方さん・河内大和さんによるハロルド・ピンターの『ダム・ウェイター』をお送りいたします。
演出には大澤遊さんを迎え、小劇場楽園を『ダム・ウェイター』の世界に入っていただける空間へと創り上げ、濃密な時間をお届けいたします。
是非皆さま、下北沢へいらしてください。
【公演情報】
本多劇場グループnext『ダム・ウェイター』
THE DUMB WAITER by Harold Pinter
原作:ハロルド・ピンター
翻訳:喜志哲雄
演出:大澤遊
キャスト:伊礼彼方 河内大和
●3/16~28◎下北沢・小劇場楽園
〈料金〉6,500円【ベンside】【ガスside】(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈officialサイト〉https://www.the-dumbwaiter.com/
〈チケットに関するお問い合わせ〉Ticket.info@BellaVita33.com
撮影:BUN
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