最年少座長“チコちゃん”登場!『チコちゃんに叱られる!on STAGE』~そのとき歴史はチコっと動いた!~上演中!
NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」初本格舞台作品である『チコちゃんに叱られる!on STAGE』~そのとき歴史はチコっと動いた!~が東京・日本青年館で上演中だ(21日まで。のち3月26日~27日大阪・サンケイホールブリーゼでも上演)。
「チコちゃんに叱られる!」は好奇心旺盛な「永遠の5歳児・チコちゃん」が、あまりにも当たり前になり過ぎていて、大人が何も考えずに使っている言葉や、行動に対して(例・「いってらっしゃい」という時に手を振るのは何故?等)素朴なギモンを投げかけ、答えられないと真っ赤な顔で巨大化し「ボーッと生きてんじゃねぇよ!」のキメ台詞を放ってから、ウンチクを語るNHKの雑学バラエティ番組。2017年に単発番組としてスタートし、2018年金曜日の19時57分スタートのレギュラー番組に定着。チコちゃんはもちろん、江戸川の黒い鳥「キョエちゃん」のグッズや、写真集なども広く販売されるほどの人気を誇っている。
今回の『チコちゃんに叱られる!on STAGE』~そのとき歴史はチコっと動いた!~は、そんなチコちゃんが番組を飛び出し、高品質な創作コメディを次々に生み出し続ける劇団「ヨーロッパ企画」の全面協力のもと“最年少座長”として初舞台を踏む作品で、髙橋颯(WATWING)、浅川梨奈、青木さやか、小川菜摘をはじめとした多彩なメンバーが、チコちゃんと共に時を駆ける明るいステージが展開されている。
【STORY】
ある日、いつものように大人たちに素朴なギモンを投げかけていたチコちゃんとキョエちゃんの前に突然、タイムマシンが出現する!
「チコちゃん、助けて!歴史のねじれを元に戻してほしいんだ!」
現れたのは、“タイムパトロール”と名乗るダイゴ(髙橋颯)とミライ(浅川梨奈)。
過去の偉人たちが何故か次々とボーっとしてしまい、歴史の事実がねじ曲がってきている。このままでは現代の生活にも影響が出てきてしまう!と言うのだ。
「それじゃあ、チコの初舞台もなくなっちゃうかも知れないの!?」
驚くチコちゃんを前に、早くもキョエちゃんの様子に異変が現れる。もうこれは過去へ行って、偉人たちに「ボーッと生きてんじゃねぇよ!」と叱るしかない!
チコちゃんは、タイムパトロールの二人と共にねじ曲がった日本の歴史をもとに戻すため、過去へとさかのぼるタイムスリップの旅に出るが……
おそらく「チコちゃんに叱られる!」が舞台化されると聞いた時に、まず真っ先に浮かんだのはどうやって?ということだったと思う。それはこの番組のチコちゃんを知っていればいるほど大きかった「クエスチョン」だろう。永遠の5歳のチコちゃんのあの独特の頭身バランス。何よりも、真っ赤になって火を吹くお馴染みの「ボーッと生きてんじゃねぇよ!」は、映像だからこそ成り立つ部分が大きく、生の舞台で長時間チコちゃんが活躍し続けるという設定には、ワクワクドキドキと同時に、できるのか!?というそれこそ素朴なギモンが湧いたものだ。
だからこそ、この『チコちゃんに叱られる!on STAGE』の舞台に、そのチコちゃんが「こんチコは~!」と言いながら走り出てきた瞬間、妙にジーンとしてしまった。映像で次々と主演を務める俳優が舞台作品にも積極的に関わるのが、嬉しいことに珍しくなくなったいまの時代に、誰かが生のステージに登場した途端「うわー!本物だ!」という感覚を覚えたのは、かなり久しぶりだった。それほど、テレビのなかにしかいないと思っていたチコちゃんが、目の前でパタパタと走り回り、歌い踊っている特別感が、このステージのスペシャルなムードを盛り上げてくれる。
しかも、チコちゃんがタイムトラベルをして歴史上の偉人たちに出会っていくという、映像効果やLDEを駆使していくらでもキラキラと作りこめるはずの題材にも関わらず、それらの効果は必要最低限に留められた舞台は、むしろ極めてアナログな手法で進んでいく。更には、最早ほとんど見なくなった、所謂「書き割り」と呼びたい装置までもが登場して、良い意味で舞台面が「芝居っぽい」。おそらくそれこそが「チコちゃんがそこにいる感」を高めることを、脚本・演出の諏訪雅や、監修の上田誠と揃った劇団「ヨーロッパ企画」の顔たちはちゃんと読んでいたのだろう。定番のピンクのワンピースから、着物、十二単、タイムパトロール姿と何を着ても似合ってしまうチコちゃんの魅力が生きる、素朴な舞台作りが絶妙だった。
そんな舞台でチコちゃんと歴史を遡る旅に出るタイムパトロールダイゴの髙橋颯とミライの浅川梨奈が、キビキビと舞台を引っ張っていく。何しろチコちゃんの存在感が絶大なので、所謂「子役と動物には勝てない」になりかねないところを、伸びやかな二人の魅力がダイゴとミライをちゃんと舞台の中心人物に見せていて頼もしい。特に偉人たちに出会った都度、彼らの説明のナンバーを二人が歌い踊るという展開が全編で貫かれていて、同じことを繰り返すことを好む子供の視点にも叶い、楽曲の変化を二人が多彩に踊りこなすことで大人にも飽きない構成に見せているのは二人の力と、振付のTOMO(DA PUMP)と音楽の伊藤忠之の手腕故。どこかのんびりした個性が、踊り出すとキリッとカッコよく決まる髙橋と、自然体で演じながらあくまでも溌剌とした姿を維持する浅川の、コンビとしての相性もとても良かった。
また、清少納言の青木さやかと紫式部の小川菜摘が繰り広げるバトルが、お子さんも多く観る舞台だというところから、はみだしかかるギリギリで軽やかさを失わないバランス感覚をはじめ、聖徳太子の久保田秀敏、西郷隆盛の藤村忠寿、フランシスコ・ザビエルの石田剛太、徳川家康の土佐和成、織田信長の中川春樹の面々は、他にも意外な役柄で登場しているので、舞台を隅々まで見つめてその活躍ぶりを確かめて欲しい。特に一見行き当たりばったりで話が進むようでいて、何故これだけの時代を越えた人たちが普通に会話できるのか?や、出トチリ?!と思わせた場面もちゃんと回収していくなど、整合性を手放していない作りに俳優たちが大真面目で応えているのが楽しさを生む要素になっている。
中でもテレビ「チコちゃんに叱られる!」のゲスト回答者として最多出演している大竹まことが「ボートサス」という、そう来たか!の役柄で声の出演をしているのも番組ファンには楽しい工夫だし、「チコちゃんに叱られる!」と言えば欠かせないあの人も、意外な形で出てくるかも知れない!?に是非注目を。豪華な「日替わりゲスト」の登場シーンも全体の中で捻りが効いていて、最後はCD化もされている皆で踊れる某曲も登場!という嬉しいプレゼントもある盛りだくさん。老若男女問わず「2022年の春休みにチコちゃんに会ったよ!」という、カンバセーションピースにも最適な明るい舞台だった。
【公演情報】
『チコちゃんに叱られる!』~そのとき歴史はチコっと動いた!~
脚本・演出:諏訪雅(ヨーロッパ企画)
監修:上田 誠(ヨーロッパ企画)
振付:TOMO(DA PUMP)
出演:チコちゃん(声の生出演 木村祐一) キョエちゃん
髙橋颯(WATWING)浅川梨奈/久保田秀敏 藤村忠寿
石田剛太(ヨーロッパ企画)土佐和成(ヨーロッパ企画)中川晴樹(ヨーロッパ企画)/青木さやか
小川菜摘
大竹まこと(声の出演)
●3/18~21◎東京・日本青年館ホール
●3/26~27◎大阪・サンケイホールブリーゼ
〈料金〉一般シート 8,000円 ファミリーシート2名13,000円 ファミリーシート3名19,500円 ファミリーシート4名26,000円(全席指定・税込)
※ファミリーシートの販売対象は、大人と子供(4歳以上~12歳以下)の組み合わせのみとなります。
※ファミリーシートご購入の方は、皆様お揃いになってからご入場お願い致します。
〈チケット問い合わせ〉
東京公演 サンライズプロモーション東京:0570-00-3337(平日12:00~15:00)
大阪公演 キョードーインフォメーション:0570-200-888(平日・土曜11:00~16:00)
〈公式サイト〉 https://chico-stage.com
〈公式Twitter〉 @chicostage
【東京日替わりゲスト】
3月18日(金)13:00公演 TOMO(DA PUMP)
3月18日(金)18:00公演 崎山つばさ
3月19日(土)12:30公演 朝夏まなと
3月19日(土)17:30公演 ガレッジセール 川田
3月20日(日)12:30公演 佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)
3月20日(日)17:30公演 曽野舜太・山中柔太朗(M!LK)
3月21日(月祝)12:30公演 伊藤理々杏(乃木坂46)
【大阪日替わりゲスト】
3月26日(土)12:30公演池乃めだか・小寺真理・伊丹祐貴(よしもと新喜劇)
3月26日(土)17:30公演池乃めだか・小寺真理・伊丹祐貴(よしもと新喜劇)
3月27日(日)12:30公演宮里ソル・A.rik・瀧澤翼(円神-エンジン-)
【文/橘涼香 舞台写真提供/© チコちゃんに叱られる!on STAGE /撮影:岩田えり】
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