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チーズtheaterプロデュース『接点』間もなく開幕!

「社会的」なテーマを独自に描いてきた劇団チーズtheater、「SF(ちょっと不思議)」をコンセプトとする劇団フロアトポロジー、「普遍性」を描き続ける劇団TOKYOハンバーグの3団体が、タッグを組んで一つの作品を作り上げる!?
それぞれの団体が作った3作品が1つになる…!
本番まで10日と迫った稽古場にて、脚本家、演出家の4人にその構想・意気込みを聞いた。

大西弘記(TOKYOハンバーグ主宰・作家・演出家) 小崎愛美理(フロアトポロジー代表・演出家、俳優)
角畑良幸(フロアトポロジー脚本家、俳優) 戸田彬弘(チーズtheater代表・監督・作家・演出家)

3団体で1つの作品を作る!

——今回、3団体の合同企画と銘打っていますが、企画の意図から教えて下さい。
戸田 2つあって、1つは、個人的なことなんですけど、自分の現場で作品を掘り下げて、自分の方法論が出来上がってきて、一人で作業をしていると、深めることはできるけど、広がりを持たせるのが難しくて。新しい劇作家や演出家から刺激をもらいながらやった方が、新しい発見や次の可能性の広がりがもらえるかなと。もう一つは、横の繋がりが大事だなと思っていて。横の繋がりで切磋琢磨できる場所を作れたらいいなと考えて、今回の「接点」というプロデュース公演のタイトルになりました。
——今回は3団体が各1本の作品を作るに際し、ある共通項があるようですが、どのくらいの設定が決められていたのですか?
戸田 共通のテーマというか、モチーフは駅と電車です。それだけあって、新作を書き下ろしました。
——駅と電車というモチーフをもらって、大西さんはどのように書かれましたか?
大西 最初ね、電車っていうことで、電車の中の話を書いてたんですけど…。何に接点を持たせるかという点で、二転三転して。3団体とも毛色、系統が違うので、違いをそれぞれ粒立たせて行きながら、「駅」を一つの共通点として作品を書くということで、各々の作品の中で明確に接点を持たせるというので進めました。
——脚本を読ませていただいたのですが、3作品とも海が見えるのは偶然ですか?
戸田 海の見える無人駅というのがモチーフになっています。
大西 実はモデルになった駅があるんですけど。ある日、グループラインで戸田さんが、ここ!って写真を送ってきて。
——行ったことある方はいますか?
全員 いないです。
——フロアトポロジーさんはいかがですか?
小崎 (角畑に)本はどう書かれました?
角畑 3団体あって、みんなに寄り添い過ぎてもつまんないし、で、うちはとくにストレートプレイとはちょっと違うことをいつもやっていて。お二方は、我々からすると…
小崎 正統派なイメージ?
角畑 なんですけど、そこから浮き過ぎず、かといってうちらしさがなくなったら意味がないし…。3団体で1つの作品を作るのは、おもしろい企画だなと思ったし。それができればすごいおもしろいな、チャレンジだなと思いました。

共通のモチーフは「この海で、駅で!」

——同じモチーフなのに、まったく違う時間とか、使い方が、きれいに3つバラバラだったので。はっきり色が分かれてるなって思いました。
大西 ぼくがたぶん、一番、普通ですね。ノーマルな感じ。
小崎 大西さんすごいなと思ったのが、書けてない状態から、書き始めて仕上がりまでのスピードがめちゃくちゃ早くて。
大西 そうですね。書いてたんですよ、ちょっと。さっきも言ったように、戸田さんが、夜中の4時とか5時に、「この海で、駅で!」みたいなグループラインを送ってきて(笑)。
戸田 (笑)。送りましたね。
大西 それでぼくは目が覚めて。そこから2日くらいで書きました。そういう具体的なイメージがあると、早いんですよ。そんな頭使ってないと思う。おれ。
小崎 (笑)。書くときですか?
大西 いろんな引っかかりとかは考えるけど。

もう一つの「接点」

——あと、みなさん、家族、父親の不在というのが共通していましたね。
戸田 偶然です。角畑さんは、意識してくれたのかもしれないけど。
角畑 あんまり意識してないかも。
戸田 じゃあ、偶然かもしれない。大西さんはもともとありましたよね?
大西 ありましたっけ?
戸田 お墓参りに行くって。
大西 ああ! そうだ。最初に書いていた本がそうでしたね。
小崎 なんか、心痛めてるのかな、3人とも(笑)。
——偶然なんですね?
小崎 そこの打ち合わせしてないですね。
戸田 ありましたね、接点。
小崎 今、見つけましたね。プラス一つ。
角畑 でもよく考えると、うちの作品、ほとんどがそうかな。家族が欠けた話しかないな。
小崎 確かに。確執があったりとか。

3作品はこんな感じ。

——差し障りのない範囲で、それぞれ作品のお話を聞かせていただけますか?
戸田 ぼくはSNSの、昔の2ちゃんねるだと匿名で文字だけから、徐々に徐々に顔出し、Facebook、Instagramになっている今。完全に自分がパフォーマーになってきている、この、なんか、承認欲求の波及というか、そこに対して、何かを提示しなくてはいけなくなってきていることのストレス。そこに閉塞感というか、みたいな気持ち悪さがあって。敢えて、今の時代に顔の見えない、匿名的なまま出会わない2人のお話をやってみようという作品になっています。
大西 ぼくは、簡単に言うと旅立ちですよね。それは何に対しての旅立ちかと言うと、故郷であり、家族であり。旅立ちっていうのは新しい場所に行くっていう面もありますから。そういう意味合いで言うと、人生の中において、そういうシーンがほとんどの人が、というかみんなが絶対そういう時に遭遇する、あるいはした過去があるだろうし。そういうところの部分をちょっと負荷をかけて、純粋にシンプルに書きました。なんか大きい問題が起こるわけでもなく。それは相変わらずなんですけど。そういう対話劇っていうのをいつもよりも意識して書いてます。
角畑 旅立ち……。確かに、うちも旅立ち入ってますね。そういう意味ではちょっと似てるなって思うんですけど、うちはもっと内省的な…。
小崎 旅立ちっていうよりは、探してる人っていう感じ?
角畑 探求?
小崎 わたしの一番の印象は、たぶん、人だったり、自分だったりを許したいから旅をしている人のお話かなと思ったんですけどね。
——旅の途中ですか?
小崎 旅の途中で。旅をしているつもりが、まだまったく旅もできてないようなときって、あるじゃないですか。模索したけれども、一歩も進んでいなかったみたいな。そういうのが。ずっと足踏みしているような人が主人公ですけど。それがやっとちゃんと一歩、歩くまで…の30分かな。
角畑 半歩くらい。
小崎 進み始めれるかな、くらいなところですね。

出演メンバーは?

——どんな役者さんたちが出演されるんですか?
大西 劇団員の3人で、作っていて楽しいですね。永田涼香と小林大輔とはもう何作品も一緒に作ってますし、昨年劇団員になってくれた坂井宏充は2作品目なんですけど、今までの経験が、積み重なってるんだなという実感があって、こういう実験的な場を経験することで、また自信につながるなという予感がしています。
戸田 うちは、常連の客演で主演やってる佐藤睦と、もう一人は前に映画で主演してもらった竹下かおりの二人芝居。すごくピュアで真っ直ぐに役のことと向き合ってくれる2人です。劇団員ではないんですけどね。
小崎 うちは、わたしと角畑と女性の劇団員、須田マドカと駄場詩織の4人の劇団員全員と、今回は過去に何度も出ていただいている吉田直紀さんに主役をお願いしています。みんな基本人見知りかもしれないけど、集まってるとわりとひょうきんな人たちで、役者としての角畑さんが一番、楽しそうにしてます。

挑戦を受けに来て下さい。

——最後にこの公演のアピールを。
大西 ぼくは若い2団体のスタイリッシュなところにすごく刺激を受けますし、どちらもセンスがいいので、触発されています。そこで、ぼくらは何ができるのか。2団体も刺激を受けて、この3団体だからこその作品に仕上がる、なかなか見れない作品になると思います。
小崎 うちの団体が抽象的な表現が多かったりして、見せ方がもともと違う部分が多いと思うんですけど、だからこそ、良い意味で、接着剤的な効果を作れたらいいなと思っています。下手に浮くとか離れるとかじゃなくて、これも一つの作品としてお客さんに見てもらえるような。間、間にボンドが挟まって、キュッといい形にまとまってくるような。抽象表現をしているからこそ、入り込めたりもするのかなと思っているので。そういうまとまり方を目指していきたいなって思います。お客さんにもいろんな形の演劇があるんだっていうことを知っていただけるチャンスだと思うので、そこをぜひ見ていただきたいなと。
戸田 始めっから、分業にしてしまうと、形が見えちゃうと思っていて。今回、分業を決めずに走ってみたら、どこに行くんだろうみたいなことを、個人的には楽しみにしています。だから今日から合同稽古なので、どうなるか分からないけど、分業的にスタートして見えた物とは違う何かにはたぶん、辿り着くんだろうなとは思っていて。演劇って、何かが起こることだと思ってるんです。ぼくらの3団体が仕事として、役割として分業するんじゃなく、何かが3団体がこの場に集まって、何かをやるっていうところにいたから、何かが生まれる的なものがあるはずなので。それを観に来てもらえるといいですね。
角畑 何も考えずに「あー、楽しかった」っていうスタンスよりも、挑戦を受けに行くっていう身体で観に来ていただいた方が、より楽しめるんじゃないかなって思いますね。

【公演情報】
チーズtheaterプロデュース『接点』vol.1
脚本◇大西弘記 角畑良幸 戸田彬弘
演出◇大西弘記 小崎愛美理 戸田彬弘
出演◇佐藤睦 永田涼香 吉田直紀/小林大輔 坂井宏充 須田マドカ 駄場詩織 小崎愛美理/竹下かおり
2/13~17◎Theater新宿スターフィールド
https://twitter.com/setten_vol1

【取材・文・撮影/矢崎亜希子】

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