キャストがスヌーピーミュージアムに集結!ミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』取材会レポート!
1950年の連載開始から70年、今尚世界中で読み継がれている、チャールズ・M・シュルツ著のコミック「ピーナッツ」を元に生まれたミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が、3月30日~4月11日東京・日比谷のシアタークリエで上演される。(4月15日~18日大阪・サンケイホールブリーゼ、4月20日愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、4月23日長野・長野市芸術館メインホールでも上演)。
『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』は、1967年にオフブロードウェイで初演された後、ブロードウェイに進出を果たしたミュージカル。1999年にはリニューアル版のブロードウェイ公演がスタートし、再び注目を集めた。まるでコミック世界がそのまま舞台になったかのような、ポップかつカラフルなキャラクターたちが紡ぎ出す、子供ならではのユーモアとシニカル、だからこそのハッピーが揃ったハートフルな作品は好評を博し、日本ではミュージカル初演から50周年のアニバーサルイヤーである2017年にシアタークリエに初登場。今回の上演は、世界一有名なビーグル犬と称される、スヌーピー役の中川晃教が初演から引き続いて登場する他は、何をやってもドジばかりだが、優しい「いい人」でスヌーピーの飼い主チャーリー・ブラウンの花村想太をはじめとした、登場人物たちに新たなキャストを迎えての待望の再演となる。
そんな作品の取材会が、東京町田市の南町田グランベリーパークに2019年12月にオープンした新しいスヌーピーミュージアムで3月9日に行われ、広々とした公園と多彩なショッピングモールの中で「ピーナッツ」の世界がたっぷり楽しめる特別な場所に、チャーリー・ブラウン役の花村。哲学的で知的だが安心毛布が手放せないライナス役の岡宮来夢。ライナスの姉で口うるさく辛辣だが、大好きなシュローダーの前では夢見がちの女の子に変身するルーシー役の宮澤佐江。チャーリー・ブラウンの妹で、要領が良くちゃっかりしているが、愛するライナスの心はつかめずにいるサリー役の林愛夏。いつもおもちゃのピアノに向かって敬愛するベートーヴェンの楽曲を弾き続けている天才音楽少年シュローダー役の植原卓也。そしてスヌーピー役の中川晃教が登壇。公演への抱負を語った。
【登壇者挨拶】
花村 チャーリー・ブラウン役の花村想太です。僕はミュージカル2本目なのですが、本当にワクワクして毎日を過ごさせて頂いています。劇場に足を運んで下さいましたら、小さな幸せや大きな幸せ、色々なことに気づける作品となっておりますので、こういう情勢ですがご覧頂けましたら嬉しいです。よろしくお願いします。
岡宮 ライナス役の岡宮来夢です。今の自分たちには気づけないような、子供たちならではの幸せ、大切なものに改めて気づかせてくれる作品だなと思いますので、全力で取り組んでいきたいと思います。
宮澤 ルーシー役の宮澤佐江です。お稽古真最中ですけれども、毎日新しい発見があって、共演者の方々から刺激をもらって楽しく過ごさせて頂いています。今、世界中が大変なことになっていますけれども、この作品を観ている2時間少々の間は、嫌なことや辛いことも忘れさせられる自信がある、そんな素敵なお話なので、たくさんの方に観て頂けたら嬉しいです。
林 サリー役の林愛夏です。今回このシュルツさんが描かれたピーナッツの世界にサリーとして出演することができるのが本当に幸せです。コミックから飛び出してきたようなキャラクターたちが活躍する楽しい時間になっています。是非皆さんお越しください!
植原 シュローダー役の植原卓也です。作品の持っている明るいエネルギッシュな雰囲気だけでなく、キャストの皆様ひとり一人がとても明るくて、ハッピーなオーラを持っている方々なんだと感じていて、日々幸せな気持ちで稽古に挑ませてもらっています。更に本番では温かい雰囲気を皆様にお届けできるのかなと今から楽しみにしています。
中川 スヌーピー役をやらせて頂きます中川晃教です。今回新たなメンバーの皆さんと一緒にピーナッツの世界をミュージカルでお届けしていく訳ですが、シアタークリエという劇場には幾度となく立たせて頂きましたが、その中でも思い出に残る瞬間というのがあります。このスヌーピーは人間ではない、犬を演じるということで、ステージ上から見る景色、共演者の皆様の表情、客席の雰囲気、例えばしゃがんだところで、四つ足で吠えたり、喋ったり、音楽の中でステップを踏んだり、大活躍するスヌーピーの、犬から見た景色が焼き付いているところがあります。人間の役者としてそれが体験できる役に出会えたことは、僕にとってすごく嬉しいことです。全身全霊でスヌーピーにぶつかっていきたいと思いますので、是非この作品、キャラクターたちの愛らしさを含めて、一緒に盛り上げて頂きたいとお客様にお願いしたいです。どうぞ一緒にこの作品を創って下さい。よろしくお願い致します!
【質疑応答】
──いよいよお稽古がはじまりましたが、演じるキャラクターの紹介と、ご自身と似ているところがあったら教えて下さい。
花村 チャーリー・ブラウンは純粋で、上手くいかないことの連続なんですけれども、だからこそ小さな幸せを噛みしめることができる男の子だなと思っています。天気が良かったらそれだけで幸せになれるって、今の子供たちだともしかしたらちょっとピンとこないかも知れない。ゲームがあったり、好きな食べ物がいっぱい食べられることなどが、今の子供たちにとっては幸せだったりするのかな?と思うのですが、チャーリー・ブラウンは空が晴れているだけで幸せになる純粋な男の子です。そういうピュアな男の子と自分の共通点とは?をすごく考えたのですが、どんくさいところがとても似ていて(笑)。エレベーターにはさまったりとかね(笑)。普通の人だとエレベーターにはさまりそうになったら、よけたり、中に滑り込んだりすると思うのですが、僕は固まって動けなくなる(笑)。そういうところが似ているかな?と思います。また、僕にはネガティブな面が結構あるのですが、子供時代にはもっとポジティブだった部分も絶対にあったと思うので、そこをうまくミックスして、繊細な憎めないチャーリー・ブラウンができたらと思っています。
岡宮 ライナスは「カボチャ大王」の存在を信じていたり、毛布が手放せなかったりする幼い部分と、哲学者な部分もある頭の良さとのギャップがすごくある男の子だなと思っていて。そのライナスと自分が似ている部分は、ギリギリ絞りだして顔が可愛いところくらいかなと(爆笑)。あとは、僕は子供時代にクイズ番組が大好きで、そこで得た知識をあたかも元々知っていたかのように翌日友達に言う、というところは似ているかなです。
花村 でも最大に似ているところは顔が可愛いことなんだ!(笑)
岡宮 最大はそうです!(笑)
宮澤 ルーシーは口うるさいガミガミ屋で、私とは正反対の子供なんです。本当です!
花村 (会場の)皆さんの空気が…(笑)。
宮澤 皆私のこと知らないじゃない!(爆笑)似ているところは正直あまりないかなと思っています。でも何故ルーシーが皆に嫌われずに、愛されるキャラクターでいられるのかな?と、今回の作品を創りながら考えた時に、何事にも一生懸命で、彼女なりの愛がいっぱい散りばめられている。たまたま発する言葉が強くて人を傷つけてしまうこともありますが、嫌味で言っている子ではないというのが、ルーシーと向き合ってみて私なりに考えた答えかなと思っています。稽古場でルーシーになる為にとても頑張っていることがあって、それは皆の会話をなるべくいっぱい聞くことで、色々な場所での会話を一生懸命聞いています。少人数のカンパニーだからこそできることだと思いますし、一人ずつのキャラクターを立てる為の努力をしている最中なので、それが舞台上でも発揮できたらいいなと思っています。
林 サリーはチャーリー・ブラウンの妹です。お兄ちゃんをいじめるのが大好きで、学校の宿題はお兄ちゃんに押しつけて、毎日を上手くすり抜けるように生きている女の子かなと。私も(宮澤)佐江ちゃんと同じで、サリーとの共通点は正直ひとつもないくらい正反対なのですが、天真爛漫なガキんちょの女の子であるサリーになる為に、SNSなどでガキんちょの女の子を観察することが今の私のマイブームです。作品に貢献できるように頑張ります!
植原 シュローダーは楽聖ベートーヴェンをこよなく愛するキャラクターで、コミックに登場する時にも基本的におもちゃのピアノの前に向かっている、皆さんの中にもそのイメージが一番大きいと思います。僕自身はピアノが弾けないのですが、唯一の共通点を見つけるとすると、本当に幼少期の頃から音楽が好き過ぎて、ずっと日々音楽と隣り合わせの生活をしていました。音楽を聞いては一人で踊り出したりしていたことが、今のお仕事につながっているところもあるので、それはすごく嬉しかったですね。僕自身は大人になってからなのですが、特に自粛期間中にはずっと音楽を創っていて、パソコンのキーボードに打ち込んでいる姿は、まさにシュローダーがピアノに向かっている体勢と同じでした!実際に音楽を通して喜びを伝えていくシーンもあるので、そこは楽しく表現できたらいいなと思っています。
中川 子供の頃って自分の中に必ずスーパーヒーローがいたと思うんです。スーパーヒーローという言葉こそ使っていないけれども「カッコイイ」とか「スゴイ!」「いいなぁ」という言い方で、憧れのヒーローがいる。この作品、『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』はチャーリー・ブラウンが主軸となっている物語ですが、チャーリー・ブラウンをはじめとする登場人物全員が、それぞれのスーパーヒーローを持っているんじゃないかと、今回の再演に向かう中で思いました。そこからスヌーピーのスーパーヒーローって誰なんだろう?と考えると、スヌーピーって七変化の如く、色々な人の扮装をしますよね。自分は犬なのに犬ではない「フライング・エース」や「ジョー・クール」の扮装をする。つまり彼が憧れているのは人間なんじゃないかな?と思ったんです。そんな人間の持っているポテンシャルを、スヌーピーを演じるからこそ考えさせられたことがたくさんあり、仲間たちからも感じることが多くあるので、スヌーピー役はやりがいがあります。自分にしかできない犬を突き詰めていきたいと思っています。
──6人で作品を創っている中で、稽古場の雰囲気や面白かったエピソードなどはありますか?代表して花村さんお願いします。
花村 面白かったことで言わせてもらうと、今はもう大丈夫ですけれども、稽古初期の林さんの縄跳びがヤバかったです(笑)。縄跳びが上手なサリー役なのに全然跳べない!スキップができない人のスキップより酷かったです(爆笑)。
林 まさか私の話題が出るとは思いませんでした!(笑)。でも皆様が代わる代わるに跳んでお手本を見せて下さって、素晴らしい先生がたくさんいるので、本番はしっかり跳びたいと思います。
──今日スヌーピーミュージアムの見学を皆様されたと思いますが、心に残った展示や施設を教えて下さい。
花村 2階のスヌーピールームに、これから皆様と移動しますが、大きなスヌーピーがいて!あのスヌーピーが持って帰れるくらい大きな家に住みたいです。
岡宮 展示の最後にウッドストックの部屋があるのですが、僕の部屋の壁紙をあれに変えたいなと思うくらいで、あんな風に黄色にしたら気分が明るくなるだろうなと思いました。
宮澤 今皆さんといる3階のピーナッツギャングギャラリーで、それぞれのキャラクターが紹介されているのですが、作品の中ではなかなか大好きなシュローダーに近づけないので、さっきシュローダーのパネルにキスをしました!(爆笑)作品の中では縮められない距離を縮めることができて嬉しかったです。
林 この階の最後の外の展示が可愛くて!スヌーピーがたくさん壁に描かれていて、窓から外の景色も見えて、とてもお気に入りです。
植原 僕は原画の展示に驚きました。購入できるものじゃないんですが、買ったらいったいいくらになるんだろう!と思ったくらい、シュルツさんご自身が修正されたあとなども見られるので、びっくりしました。
中川 僕は全部なんですけれども、階段にも小さなスヌーピーが描かれていたりもするんです。これだけの展示で十分満たされているのに、更に階段にもスヌーピーやピーナッツの世界が描かれていることに感動しました。
──中川さんは初演から唯一の続投になりますが、作品の見どころを教えて頂くとすると?
中川 稽古初日に演出家の小林香さんが「思いやりを持ってこの作品を皆で創っていって欲しい」とおっしゃって。やっぱり初めて一堂に会した瞬間って緊張もするし、それぞれのキャリアの違いもありますけれども、そういう皆が気持ちをひとつにして作品を創って行こうとした時に、必ず思いやりは出てくる。それぞれひとり一人が温かい気持ちで作品を創っていったら、必ずシンプルなこの物語の良さが伝わるからと言われた時に、4年前の初演での経験を礎に、新たな今の時代に生まれるこの作品の魅力が伝わったらいいな、皆さんに観て頂けたらいいなと思いました。
──花村さん、中川さん、3月11日で東日本大震災から10年を迎えます。更にいま、こういうコロナ禍でお稽古も大変だと思いますが、そうした中で改めてライブのエンターティメントを皆さんに届けるお気持ちを聞かせて下さい。
中川 僕は仙台出身ということもありますし、津波の被害にあった気仙沼が父の故郷という由来もあって、仙台と気仙沼の大使もさせて頂いているのですが、10年という時間が、この経験に於いては「あっという間だった」という言葉がどうしても出てこないんです。この10年はあっという間だった訳ではないですし、復興に一歩ずつ向かって行っている途中で。ままならない現実も見つめながら、でもその先には明るい未来があると信じて、一歩、一歩進んでいる、そんな気持ちが沸き上がってきた節目ではあります。またここから新たな一歩を勝ちとっていく為に、僕はミュージカルや音楽という仕事をしている。ちょっと前までは、この仕事が世の中のどんな力になるのか?という答えを探していたんですが、ライブの舞台活動が色々と制限されている中にも、私たちの仕事ができること、人の心に伝えるパワーってすごいんだ!ということを、逆に教わっているように思います。この仕事と出会えたこと、このミュージカルに出られることを大切にしながら、未来に向かって歌い続けていきたいと思っています。
花村 僕自身は阪神淡路大震災を経験しています。当時は4歳でした。それから10年前の東日本大震災の時には関東に出てきていて経験しました。両方を経験している若い世代という方に入る身として、その恐ろしさや、大変さを下の世代に伝えていくこともすごく大切だなと思います。2011年の東日本大震災の時には、僕は未だデビューもしていなくて、何もすることができなかったからこそ、今このエンターティメントでたくさんの方に希望を届けられるような存在になれていたらいいなと思います。そんな中で新型コロナが発生して、自分が出演していた舞台も中止になってしまったりしましたが、今回またシアタークリエの舞台に立たせて頂けるので、より強い気持ちを持って、たくさんの方に小さな幸せを届けていける作品にしたいと思っています。このコロナ禍だからこそ劇場に足を運んで下さった方に、幸せを届けたいと思います。
中川 僕たち共通の使命を持っていますよね、「世を幸せにする!」。
花村 頑張ります!
和やかな会見はフォトセッションのあと、ミュージアム2階のスヌーピールームに移動。圧倒的な大きさのスヌーピーオブジェの前で、ぬいぐるみを手にしたキャストたちが集う楽しい姿の撮影も行われ、コミック世界そのままに、小さなエピソードが次々に舞台上で繰り広げられる、全ての瞬間が絵になる、愛らしく心温まる舞台への期待が膨らむ時間となっていた。
【公演情報】
『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』
原作◇チャールズ・M・シュルツ著コミック『ピーナッツ』より
脚本・音楽・詞◇クラーク・ゲスナー
追加脚本◇マイケル・メイヤー
追加音楽・詞◇アンドリュー・リッパ
訳詞・演出◇小林香
出演◇花村想太 岡宮来夢 宮澤佐江 林愛夏 植原卓也 中川晃教
大和悠河(声の出演)
〈料金〉11.000円(全席指定・税込)
●3/30~4/11◎シアタークリエ
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
〈公式ホームページ〉https://www.tohostage.com/charlie/index.html
【全国公演】
4/15~18◎大阪・サンケイホールブリーゼ
〈お問い合わせ〉ブリーゼチケットセンター 06-6341-8888
4/20◎愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466
4/23日◎長野・長野市芸術館メインホール
〈お問い合わせ〉NBS長野放送 事業部 026-227-3000
【取材・文・撮影/橘涼香】
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