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地球ゴージャス二十五周年祝祭公演『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』

岸谷五朗・寺脇康文が主宰する演劇ユニット「地球ゴージャス」が結成25周年を迎えたことを祝し、2009年に10作目として上演された不朽の名作が『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』として蘇った。

今回は岸谷・寺脇以外の全キャストを新たにし、脚本を書きなおして、よりミュージカルの要素がアップされた。

【あらすじ】
理想を求めて、国の中で戦が繰り広げられていた時代に、一人の青年(新田真剣佑)が海で溺れ、ある小さな島にたどり着く。そこはタバラと呼ばれる民族が住む島で、青年は島に住む女性・ステラ(笹本玲奈)に助けられる。自分がどこから来たのか、誰なのか、記憶を失った青年は、島の人々からシャチと呼ばれるようになる。ほどなくして同じように島に流れ着いたトド(岸谷五朗)とともに、ステラや島のリーダー的な存在であるザージャ(寺脇康文)らに支えられ、共に暮らし始める。

互いの言葉が分からず、うまくコミュニケーションが取れなかったり、シャチとトドが倭人であることに不満を持つカイジ(松本利夫・EXILE)とぶつかったり、いろいろな出来事を乗り越えるうちに、島の人たちと心が通い合うようになる。しかし失っていた記憶が戻った時にシャチを待っていたのは悲劇的な出来事だった…。

シャチを演じる新田真剣佑は、前回の地球ゴージャス公演『ZEROTOPIA』に続いての出演となり、本公演で舞台初主演。殺陣やダンスなど、新田の身体能力の高さがいかんなく発揮されており、岸谷が前回公演で絶賛したというのもうなずける。特にスピード感のある殺陣は、型が美しいだけでなく力強さがあり迫力満点だ。そして何よりも歌声が美しい。繊細で透き通るような歌声は、力強いダンスや殺陣とのギャップに驚かされる。舞台上に新田が登場するとパッと華やかな雰囲気になるところは、舞台俳優として大きな強みだろう。

シャチを助け、支える女性・ステラを演じる笹本玲奈は、数々の大作ミュージカルでヒロインを演じてきたが、今回は母のような優しさでシャチを温かく支える姿に、これまでの笹本とは違った魅力を感じることができる。ソロで歌うシーンも多く、その歌声は言うに及ばず、新田とのデュエットも声質などの相性がいいのか聴いていて心地よい。

島の女性たち、メリュー(湖月わたる)、アンジュリ(愛加あゆ)、シーナ(島ゆいか)の存在も華やかだ。ザージャの妻・メリューを演じる湖月は、抜群のスタイルを強調した衣装に身を包み、華麗なダンスを披露。湖月らしいダイナミックなダンスは宝塚出身ならではのカッコよさ、一方でザージャとのやり取りでみせるコケティッシュさも魅力的だ。

トドと心を通わせるアンジュリを演じる愛加は、その愛らしさと美しい歌声で観客を魅了。

ステラの妹・シーナを演じる島は、愛らしさの中に強さを持つ女性を好演している。3人のダンスシーンがふんだんに盛り込まれている。

タバラをこよなく愛するカイジを演じる松本利夫(EXILE)は、ダンスに殺陣に大活躍。時にシャチやトドにつらくあたるものの、その根底にあるものは島や民族への愛だということを深みのある演技で表現する。

島の長老を演じる森公美子は、登場するたびに客席から笑いが起き、さすがのコメディエンヌぶり。ソロで歌うシーンも多く、その歌声が響き渡ると舞台が一際引き締まるのはさすがだ。

そして、豪華なキャストたちとともに初演と同じ役を演じる岸谷五朗と寺脇康文は、ダンスに殺陣、歌にコント(?)にと大活躍だ。

寺脇が演じるザージャは、島の人々のため荒海に漁へ出るほど勇敢な男だが、妻・メリューにはメロメロ。尻に敷かれている様子を面白おかしく演じている。殺陣やダンスで魅せるカッコよさとのギャップが楽しく、メリューとのラブラブなやり取りは、本作品の見どころの一つと言ってもいいだろう。

岸谷が演じるトドは、登場シーンから笑いを誘う。自然で独特の間の取り方は、実力派俳優の岸谷だからこそ。しかし笑いの場面だけではなく、ダンスや歌などでも見せ場は多く、それに加えてアンジュリとのラブロマンスも見どころ。「歳の差なんて関係ない」と言いながら少しシャイな様子も魅力で、甘く切ないシーンをスマートにこなしていた。

 

初演に比べてミュージカルの要素が濃くなったことで、メインキャストはもちろんのこと、その他のダンス・アクション・アクロバットに長けたキャストを加えた迫力あるミュージカルシーンがこれでもかというほど盛り込まれていて、二十五周年祝祭公演にふさわしい華やかな仕上がりとなっていた。

そして、エンターテインメント性に加えて随所に仕込まれている笑いの力。笑えば笑うほどこの物語の結末がジーンと心に響いてくる。歴史上の話だと思っていることが現代にも通じることだという作品が訴えるメッセージを、しっかり受け止めたいと思わせてくれる見事な舞台だ。

【公演情報】
ダイワハウス Special 地球ゴージャス二十五周年祝祭公演
『星の大地に降る涙 THE MUSICAL』
作・演出:岸谷五朗
主題歌:EXILE「愛すべき未来へ」
CAST:新田真剣佑 笹本玲奈
松本利夫(EXILE) 湖月わたる 愛加あゆ 島ゆいか
猪塚健太 松浦 司 大平峻也 大嶺 巧
碓井菜央 原田 治 神谷直樹 おごせいくこ 田口恵那 砂塚健斗
加藤真央 大音智海 咲良 鈴木百花 織 里織 高木勇次朗
Sarry 杉山真梨佳 青山恵梨子 神田朝香 内木克洋 田邉浩仁
髙城 徹 筑紫珠楽(和太鼓) 佐藤史織(津軽三味線)
森公美子
岸谷五朗・寺脇康文
●3/10~4/13◎東京 舞浜アンフィシアター
〈料金〉タバラシート13,500円 S席12,500円 A席9,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※3/10~19、3/28~4/13までの公演は新型コロナウイルスの影響で中止
●5/3~14◎大阪 フェスティバルホール
料金〉S席12,500円 A席10,500円 B席8,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉
東京/チケットスペース(03-3234-9999)
大阪/キョードーインフォメーション(0570-200-888 全日10:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.chikyu-gorgeous.jp/25th/

【取材・文/咲田真菜 写真提供/地球ゴージャス】

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