CBGKシブゲキ!!『ゾンビフェス THE END OF SUMMER 2019』賑やかに開催!
“ゾンビ“をお題に多彩なパフーマンスが繰り広げられた『ゾンビフェス THE END OF SUMMER 2019』。そのレポートが到着した!公演は、8月31日、9月1日、渋谷の劇場・CBGKシブゲキ!! で開催された。
ゾンビをネタにした一人芝居を多く創作してきた“演劇界のゾンビマスター”、俳優・入江雅人が総合演出を担い、今年で3年目を迎えたゾンビフェス。昨年完売したことを受け、今年は2日間にわたって開催された。
9月1日14時開演。入江雅人、オクイシュージの二人芝居からスタート。入江雅人が作・演出し、漫才コンビの男二人がゾンビ騒動に巻き込まれていく物語。オクイ、入江の二人芝居は、冒頭に引き続き『脱出』『彗星』という2本が、ゾンビフェス中、中盤、終盤と上演される続きが気になる構成となっている。
入手杏奈の伸びやかなオープニングダンスを挟み、かもめんたるの新作コント「バッドナイト」に続く。ワケありカップルの性別を超えた痴話ゲンカに始まる。裏切りを責める岩崎う大演じる女(実は男)と、追い詰められる弱腰の槙尾ユウスケ演じる男(実は女)の関係がなんとも可笑しい。会場は笑いに包まれた。
次に登場したのは清水宏。スコットランド、韓国、を始め様々な国で、その国の言葉でスタンダップコメディを上演してきた清水だが、様々な困難な状況の中、“ゾンビ”という存在がいかに国境を越え観客を熱狂させるかの体験談を語り、その話芸に観客は笑い引き込まれた。
入江&オクイの『脱出』その2に続いて登場したのは、落語家・立川志ら乃。前日には自作の落語『ゾンゾンビンビン』を披露した志ら乃だが、この日は新作のネタおろしを用意。ゾンビを喰らわんとゾンビを煎じた薬を作る男の話で、最後のオチに爆笑が起きた。
休憩を挟み、2部のトップバッターは、ギタリスト&ソングライターの塚本功によるエレキギターの演奏と歌。入江雅人がお気に入りでリクエストしたというオリジナル曲「キャッチボール」ほか、夏の終わりを感じさせる選曲。情感のあるメロディアスなギターが会場に溶け込み心地よさに満たされた。
そして再び、入江、オクイの二人芝居、『彗星』。入江とオクイのゾンビ姿は悲哀と可愛らしさもあり、コンビネーションも絶妙でかつ微笑ましかった。
次に登場したのは、無声映画活弁士の坂本頼光(9/1のみ)。本人曰く、活弁がA版なら、B版であるという、作画から脚本、監督、全ての出演者の声も担当した完全オリジナルアニメ「サザザさん」の第4話を披露。ナンセンスネタを躊躇なく畳み掛け、観客の戸惑いも置き去りにする程のテンポ感には爽快感がある。
そんな坂本のギリギリネタの後には、打って変わって、入手杏奈のダンス『DANCE OF THE DEAD』。“ゾンビ”と“ダンス”を見事に融合し、伸びやかで美しく、生と死を超える存在感を生み出す入手のダンスはゾンビフェスの目玉の一つ。ずっと見ていたい気持ちにさせる不思議な浮遊感に会場が包まれた。
トリを飾るのは、入江雅人の一人芝居『帰郷』。幼馴染のある願いを叶えるため、故郷の福岡に戻ってきた男とその幼馴染の“ラストドライブ“を描く。夏の終わりの夕刻、海辺で幼馴染に語りかける姿が切ない。ゾンビという架空の存在とリアルな人間ドラマが混在し、一人芝居でありながら無限の風景が広がり驚かされた。
前日の31日は、玉川大福(三味線:玉川みねこ)による、浪曲版ゾンビも上演された。ゾンビ話を名調子で語る様子は不思議な和洋折衷を生み、新感覚を楽しめるひと時となった。
入江は最後の挨拶で、「この二日間のゾンビフェスを経て、これは是非、続けなければな、と思った」と語り、多彩な才能が“ゾンビ”という自由なお題を縦横無尽に遊び表現する、この「ゾンビフェス」を続けたいという想いを新たにしたようだった。出演者も「来年も是非、参加したい」と、楽しみにする様子を見せた。来年以降も、夏の終わりの風物詩として、この風変わりな”ゾンビのお祭り”を見られることが期待できそうだ。
【公演データ】
『ゾンビフェス THE END OF SUMMER 2019』
総合演出:入江雅人
出演:
入江雅人(一人芝居)
入手杏奈(ダンス)
オクイシュージ &入江雅人(演劇)
かもめんたる(コント)
坂本頼光(無声映画活弁・9/1のみ)
清水宏(スタンダップコメディ)
立川志ら乃(落語)
玉川太福&玉川みね子(浪曲・8/31のみ)
塚本功(エレクトリックギターと歌)
●8/31・9/1◎CBGKシブゲキ!!