野田秀樹作・野上絹代演出『カノン』リハーサルのスポット動画を公開!
昨年3月、新型コロナウイルスの影響で劇場入りしながら開幕直前に中止になった野田秀樹作・野上絹代演出の『カノン』が、8月にシアターイーストの舞台に戻ってくる。
カノンの戯曲に「走れ。」とあるように、俳優達は縦横無尽に舞台上を走りまわり、その疾走感がスペクタクルに昇華する場が、1年半の時を経ていよいよ実現する。
このほど、昨年の中止決定がされる前に実施したリハーサル映像から、抜粋したスポット動画が公開された。映像からも熱気が伝わる舞台となっている。
https://www.youtube.com/watch?v=hvtXq1VVlhA
野上絹代演出の『カノン』は、2015年に演劇系大学共同制作Vol.3として上演された。その才能を見込んで野田自身が再演を希望し、野田秀樹の戯曲に国内外の才能あふれる演出家が敢然と挑むシリーズの1つとして上演が決まった。
2019 年 7 月に出演者オーディションは開催。ベテランから新人まで、バックグラウンドが異なる芝居に俳優達が選ばれ、それと共に野田演出のオリジナル版では野田本人が演じた都の権力者、天麩羅判官役に「若者達と芝居がしたい!」という意欲で渡辺いっけいが参加する運びとなった。
主人公の太郎役には愚直な雰囲気とオーディションで野上の指示をフィジカル的にクリアできる素質にほれ込み、これまで映像での活動がメインだった中島広稀が抜擢された。
盗賊団の御頭、沙金役にはバンド「ゲスの極み乙女。」のドラムスで、ほな・いこかとしても活躍する女優・さとうほなみのクールな雰囲気と柔和な笑顔のアンバランスさが男達を翻弄していく沙金のイメージに通ずるという理由で選ばれた。また、太郎の弟役の次郎には、稽古中に小田龍哉が抜擢された。
ほかにも沙金の飼い猫で人間たちのやり取りを見守る猫役には名児耶ゆり、盗賊団の一味で沙金の義父の猪熊の爺役にはワハハ本舗の佐藤正宏、沙金の母・猪熊の婆役には家納ジュンコ、盗賊団の一味、刀野平六役には柿喰う客の永島敬三、ほかの盗賊団の一味や天婦羅判官の部下役など大村わたるや DOJO メンバーの川原田樹をはじめとする頼れる小劇場チームが固めている。
今度狙うのは「 自由 」だ。
『カノン』は<浅間山荘事件>を扱っている。それは演出の野上が取り組んでみたいと思っていたテーマだった。人類の歴史的局面にはいつも思惑、思想が複雑に絡みついており、野上自身が“今”の“日本”に歴史的局面を感じていたこと、この戯曲には思想と理想、人間の本質、そして“若者”の焦燥と躍動が全部詰まっていて、戯曲を読み進めていくうちに、本の中から登場人物たちが“自由”を求めて今にも弾けだしそうな勢いを感じたという。つまり、現在の国内外で起きている現象、私たちを取り巻く環境とも通ずるテーマが含まれていることは明らかであり、今でこそ上演すべき作品であり、「自由」の意味を問い直す機会となりうることは間違いない。
【あらすじ】
牢番の太郎(中島広稀)は、囚われの身の沙金(さとうほなみ)に心奪われ牢から逃してしまう。その罪の放免の為、沙金率いる盗賊団のアジトに潜り込んで『ある事』を探る密偵を都の権力者、天麩羅判官(渡辺いっけい)に命じられる。窃盗に対して弱腰の太郎だったが、思想犯で捕らえられた実の弟、次郎(小田達哉)を助けるために人を殺めたことをきっかけに、罪を重ね、更に沙金への想いを募らせていく。次郎は盗賊団に加わり、信念のもとに行われる盗みを説き、判官屋敷にある『自由』を盗むことを仲間達に提案する。一方、天婦羅判官は屋敷に保管している絵画の『ある事』に繋がる隠された真実を部下に漏らすのだった。
【公演情報】
『カノン』
作:野田秀樹
演出:野上絹代
出演:
中島広稀 さとうほなみ
名児耶ゆり 永島敬三 大村わたる 山本栄司 長南洸生 緒形 敦 川原田樹
手代木花野 佐々木美奈 前原麻希 本多 遼 湯川拓哉 小田龍哉 村田天翔
木津誠之 家納ジュンコ 佐藤正宏
渡辺いっけい
●8/19~9/5◎東京芸術劇場 シアターイースト
〈料金〉一般5,000円 65歳以上 4,500円 25歳以下 3,500円 高校生以下 1,000円(全席指定・税込)
〈一般発売〉 2021 年 7 月 17 日(土) 10:00~
〈お問い合わせ〉東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296(休館日を除く 10:00~19:00)
〈劇場サイト〉https://www.geigeki.jp
〈公式サイト〉https://www.geigeki.jp/performance/theater278/
宣伝美術:則武 弥 画:荻野夕奈
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